番は君なんだと言われ王宮で溺愛されています

ゆきりん(安室 雪)

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 夕方の身代わりミーシャ達を迎える準備で、王宮内は慌ただしく侍女達や護衛・騎士が動いている 。ミーシャとサリナは最長明日の朝まで、誰も人の出入りをさせない為に、食料・お菓子・お茶・水などの準備をしてもらった。部屋の外には護衛では不安だと言うフレッドの言葉により、騎士が警備している。廊下にも多くの騎士が配置された。

 ミーシャがいる部屋からは、王宮の正面が見える。煌びやかな馬車と沢山の護衛がついた一団が遠くの門から入り、ゆっくりと王宮に近づいてきた。

 「やって来ましたね」

 サリナが呟いた。

 「そうね、緊張するわ。ふふっ、私達は何もする事は無いのだけどね」

 「そうですね、早く犯人が捕まるといいですけど」

 男爵の屋敷ではサリナは砕けた口調だったのに、王宮に戻ってからは侍女口調に戻ってしまって残念だ。

 馬車が入り口に着いた。フレッドが馬車に駆け寄り、扉を開け、上半身を中に入れる。そのフレッドの肩に女性の手が回される。事情を知らない人が見れば、久しぶりに会う2人が抱き合い、キスをしている様に見える。馬車の外には愛の花であるピンクの薔薇が舞い散る。

 「薔薇の巻き方、上手いですね~。ホントにその場で出て来たみたいですね」

 「ふふっ、ガイナード様がサリナに入れ知恵されたからって、身代わりの2人に薔薇の蒔き方を練習させるっていってたわよ?」

 「あはっ、番同士にはやはり愛の花でしょう」

 サリナは力説した。

 少し時間が経ち、ガイナード様が馬車に近づき、フレッドに声をかける。そして馬車の中からはフードを被った2人の女性が出てきて、1人はフレッドにエスコートされ歩く。

 フレッド達は王宮の中に入り、ミーシャが今まで使っていた部屋に行く事になっている。彼らはどこから敵が現れるかわからない為、緊張しているだろう。

 今、ミーシャとサリナがいる部屋からは少し離れているので状況が全く分からない。

 「とりあえず、お茶を淹れ直しますね?」

 サリナが新しくお茶を用意し、

 「フレデリック様からミーシャ様にとマカロンを頂いてますよ?フランボワーズとイチゴです」

 お皿に沢山載せてくれるが・・・。

 「さすがにその量は食べれないわね、サリナも食べましょ」

 他に人がいないので、サリナにソファーに座る様に促し、一緒にお茶をする。

 「このマカロン美味しい~」

 サリナはご機嫌で食べる。

 うん、美味しいよね。私も初めて食べた時は感動していっぱい食べちゃったよ。

 「犯人は誰だと思う?」

 サリナに話を振ってみる。

 「う~ん、外国ではないと思う」

 おっ、サリナはフランクな話し方になった。

 「そうだよね~、私も国内の上級貴族かなと思う。上級貴族が私みたいな貧乏令嬢を認めないわっ!てやらかしてそう」

 「うわぁ、ライオネル伯爵令嬢2号!!あり得そう。でもそれなら父親が娘の恨み~っ!てのもアリじゃない?」

 サリナが真面目にふざけている。

 「無くはないよね、王宮にも入って来れるしね。あ~、早く片付いて欲しいなぁ」

 切実に思いながらマカロンをかじった。

 

 
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