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 思い切り頬を叩かれた為、再びミーシャは床に倒れ込んでしまう。そこへライラの凛とした声が響き渡る。

 「あなた方は何をしているのですっ!」

 ライラがミーシャに駆け寄り、助け起こし状態を確認する。

 「あなたは確か、ライオネル伯爵令嬢でしたね。何と無礼な事をしたのでしょう。ココに来たからには、この方がどういう方なのかわかっていると言う事でしょうね!?」

 ライラは凄い剣幕で怒っているが、ライオネル伯爵令嬢は気にした様子が無い。

 「どういう方ですって?番だと嘘を言っている借金男爵令嬢でしょ?嘘つきはココにいていい筈は無いわ!早く追い出しなさいよっ!私こそが王太子妃に相応しいのよ!」

 怒鳴りながらミーシャに掴みかかろうとする。

 「ほう。私が嘘も見抜けない愚か者だと言うのだな?伯爵令嬢が王家を愚弄すると?」

 周りが一瞬で凍り付くような声が響き渡る。

 フレッドだ。でも、こんな声のフレッドは初めてだ、ライオネル伯爵令嬢に対する怒りがヒシヒシと伝わって来る。ライオネル伯爵令嬢はフレッドの方を向き手を伸ばすが、その手をピシャリと叩き落とす。

 そしてゆっくりとミーシャに近づいて行き、優しく抱き上げる。

 「私の妻となるべき女性に対する暴行並びに
暴言、許せるものでは無い」

 ライオネル伯爵令嬢を睨みつけ言い放つ。しかし、

 「私の方が血筋も顔も全てにおいて、ソコの女よりも優っておりますわ!番だなんて信じられません、匂いなんていくらでも誤魔化しがききます!」

 「ほう、だからお前はいつもクサイ匂いをさせていたのか?」

 「クサイですって!番の匂いとか花が舞うとか手品ですわっ!」

 「下衆なお前に見せるのはもったいないが、マクシミリアンとライムの婚約発表を、医務室で嘘の体調不良を理由に見ていなかったから、特別に番同士のキスを見せてやるよ。よく見て頭に叩き込んでおけっ!」

 荒々しい言葉とは裏腹に、フレッドは優しく甘い口付けをミーシャに落とす。啄む様なキスを何回かし、深いモノに変えていく。

 2人の周りには愛の花が降り注ぐ。

 「嘘よ!嘘に決まっているわ!こんな事許されないわっ!」

 ライオネル伯爵令嬢が叫び、地団駄を踏む。

 「では、お前はこの国から出て行くがいい。ライオネル伯爵令嬢は国外追放とし、2度と我が国に入る事は許さぬ!伯爵にもすぐに伝令を飛ばしておけ」

 フレッドは従者に言いつけた。






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