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 フレッドとの朝食が終わり、与えられている客室に戻ると、ライラがお茶の用意をし始める。

 「ライラさん、今はお茶はいいです」

 するとライラさんは

 「ライラと呼び捨てでお願いします。ミーシャ様には今からお茶会のマナーを早急に覚えて頂きます。時間がありませんからビシバシいきますよ?」

 そしてホントにビシバシされる。

 お茶会の席に向かう所からダメ出しをされ、修正されやり直し。椅子の座り方・姿勢・相槌の打ち方・言葉遣い・カップの指の添え方・スプーンとフォークの使い方・食べにくいタルトの食べ方・お茶の追加の頼み方・席を外すタイミング・お暇する際の言葉・お茶会のお礼・椅子の立ち方などなど。

 う~ん、一応基本は習ってるんだけど。

 腐っても男爵令嬢なんだけどな。ソレが顔に出てしまったのだろうか。

 「ミーシャ様、確かに基本は出来ているのですよ?ですが、より綺麗に淑女としてのマナーを今後は覚えて頂きます。王太子妃は他国の王族の方をお相手しなくてはなりません。マナーギリギリではダメなのです。よろしいですね?」

 「はい・・・」

 午前中みっちりお茶会のマナーレッスンをし、午後からはお茶会用のドレスに着替え指定されたローズガーデンに向かう。王妃様はまだいらっしゃって無いようだ。緊張しながら薔薇を見る。どれも綺麗に手入れされ、最良の状態で咲き誇っている。

 「ミーシャちゃん、お待たせしたわね」

 王妃様が現れる。

 「本日はお招き頂きありがとうございます」

 先程ライラにみっちり教え込まれた作法で挨拶する。

 「まあ、ライラの教育はバッチリね。まあ、気楽にしてちょうだい」

 気楽に出来る訳もなく、王妃様とのお茶会が始まった。

 ミーシャがフレッドの番で、王太子妃になる説明や今後についてのアレコレを説明され、頭がいっぱいになる。私、大丈夫?

 無理っぽくない?

 「大丈夫よ、ミーシャちゃん。私だってあなたと同じ様に番として選ばれて、いきなり王太子妃になり、王妃になったのだから。不安はあると思うけど、私はあなたの味方だし、フレッドだって他の兄弟だってあなたの味方よ?道を道を踏み外さない限りね?確かに責任は重いわ。でも、周りには相談出来る人がいるのよ?だから1人で抱え込まないで。これからあなたには、自分の私利私欲の為に近づいて来る人がくるわ、大勢ね。最初はいい人ぶってたり・親切ぶったりしていても、あなたの地位を利用したいと考える愚か者はいるのよ。だから1人で悩まずに素直にちゃんと相談なさい。私は経験者だし、フレッド達も似たような経験はあるわ。誰も相談が迷惑なんて思わない。ね?」

 「はい、ありがとうございます」

 王妃様の凛とした眼差しの中には安心感もある。ミーシャの弱い心も分かってくれそうだ。

 「はい、硬い話はここまで。ライムちゃんいらっしゃい」

 王妃様が声をかけると、ライム様がそばに控えていた。




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