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 私はミーシャ・ラクリマ、男爵令嬢ですが、訳あって(借金で)王宮でコッソリ住込みメイドをしています。どこかで知り合いの令嬢に会ってしまっては外聞が悪いので、髪は三つ編みにし、黒縁の伊達メガネをしてます。今の所は誰にもバレてないけど、注意するに越した事はないわ。

 メイド達は朝6:00から朝食を食べ、7:00から仕事を開始する。寝坊すると朝食が食べれないので目覚ましは必需品だ。

 私は同じ歳のサリナとペアを組んで仕事をしている。サリナも実は男爵令嬢だ。しかし彼女は行儀見習いでやってきたらメイドだったらしい。なので、ミーシャもコソコソしなくていい気もするが、やはり借金があると後ろ暗いのだ。

 「もうすぐマクシミリアン殿下の婚約発表だねっ。いいなぁ~、番が王子様なんて~」

 サリナは掃除しながらも、うっとりした顔をする。マクシミリアン殿下と番様は2ヶ月程前に出会い、間も無く婚約発表されるのだ。

 「はいはい、羨ましいねっ。手は動かしてね~。サクサクやらないと午前中までにココ終わらないよ~」

 羨ましいけど、とりあえず掃除しなきゃと私はモップを手に取る。箒で掃いてからモップをかけるのだ。手間だがモップだけよりも綺麗になるので、必ずやる。

 午後からは他の場所に移らなきゃいけないので早く片付けたい。

 ミーシャ達メイドは基本王族とばったり出会う事は無い。掃除している姿を見せないように、王族の人が行動する時間を避けるのだ。なので、ミーシャはまだ王族の人達の顔をちゃんと見た事は無いのだ。もちろん、貴族は王宮のパーティに招かれるがラクリマ男爵家は父のみ参加していた。母もミーシャも、もう何年もドレスを新調する事が出来ていないので、着れるドレスが無いのだ。このままだと、デビュタントパーティも行けないかも知れない。

 


 舞踏会兼婚約発表当日、会場には既に綺麗な花が飾られている。ミーシャはテーブルクロスや食器類を運んでいたが、段々と気持ち悪くなってくる。

 風邪でも引いたかな?身体には自信があるんだけどなぁ。ダメだ、吐きそう。

 「ミーシャ、大丈夫?顔真っ青だよ、医務室だ休んできなよ」

 サリナが駆け寄ってきた。返事をするのも億劫で、かすかに頷き医務室に向かった。





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