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何だかんだで、30人ほどから求婚や食事などに誘われたが、全て上手くあしらった。後は一条パパが何とかするだろう。
受付の時間も終わり、招待客の来訪が途絶えたので綾美は会場内に進む。ココからは涼が従兄弟としてエスコートしてくれる予定だ。
あ~疲れた。
「真理亜お疲れ様。少し休むか?椅子に座るか?」
「ええ、少し喉が渇いてしまったわ」
「じゃあ飲み物を選んで少し座ろう」
これも真理亜さんに聞いている。中に入ったら20分ほど椅子で休憩という名の息抜きをするのだ。毎年恒例で、この時間に話しかけられる事はない。
その後は一条パパとママの横に行き、笑顔でニコニコ相槌を打つ作業が暫く続く。そして一条本家の人が壇上で締めのスピーチをすれば一通りの懇親会は終わり。
涼は仕事関係の人と話しているが、視線はたまに綾美に向けてくる。
出口でお見送りをしつつ、再度の食事の誘いを蹴散らしていく。その時に鋭い視線を感じた。どこからーーー。
会場内ではない、外だ。
綾美が気づいた時には、1人の男がナイフを持って走ってくる。護衛は気づいていない。
「キャーッ!!」
と、わざとらしく叫び護衛の背後に逃げる。それでようやく護衛は走ってくる男に気がついたようだ。おいおい、護衛の意味ないじゃん。ただし、ちゃんと男を確保すると言う仕事はした。
ふぅ。と息を吐いたが反射的にすぐ背後にあった扉で身体を庇う。もう1人、ナイフを持った男が会場内から綾美に突進してきたのだ。お~い、会場内の護衛っ!何やってるの!!
男が扉にブチ当たり、よろめいた所で更に綾美はドアで殴りつける。少し離れた所にいた護衛達が慌ててやってくる。
「真理亜さんっ!大丈夫ですか!?」
・・・、遅いよ。
「ああっ、真理亜大丈夫か?もう部屋に行きなさい。涼君、真理亜を頼めるかね?」
一条パパが近づいてきつ、綾美を気遣うように声をかける。
「真理亜、部屋に送るよ。大丈夫か?怖かっただろ?こんなに震えて・・・。ああ、上手く歩けないんだね?」
いかにも『真理亜は震えて動けません』アピールを周りにして、綾美を抱きかかて歩き出す。
「涼さん、ごめんなさい。迷惑かけて」
弱々しく微笑む真理亜を演じた。
受付の時間も終わり、招待客の来訪が途絶えたので綾美は会場内に進む。ココからは涼が従兄弟としてエスコートしてくれる予定だ。
あ~疲れた。
「真理亜お疲れ様。少し休むか?椅子に座るか?」
「ええ、少し喉が渇いてしまったわ」
「じゃあ飲み物を選んで少し座ろう」
これも真理亜さんに聞いている。中に入ったら20分ほど椅子で休憩という名の息抜きをするのだ。毎年恒例で、この時間に話しかけられる事はない。
その後は一条パパとママの横に行き、笑顔でニコニコ相槌を打つ作業が暫く続く。そして一条本家の人が壇上で締めのスピーチをすれば一通りの懇親会は終わり。
涼は仕事関係の人と話しているが、視線はたまに綾美に向けてくる。
出口でお見送りをしつつ、再度の食事の誘いを蹴散らしていく。その時に鋭い視線を感じた。どこからーーー。
会場内ではない、外だ。
綾美が気づいた時には、1人の男がナイフを持って走ってくる。護衛は気づいていない。
「キャーッ!!」
と、わざとらしく叫び護衛の背後に逃げる。それでようやく護衛は走ってくる男に気がついたようだ。おいおい、護衛の意味ないじゃん。ただし、ちゃんと男を確保すると言う仕事はした。
ふぅ。と息を吐いたが反射的にすぐ背後にあった扉で身体を庇う。もう1人、ナイフを持った男が会場内から綾美に突進してきたのだ。お~い、会場内の護衛っ!何やってるの!!
男が扉にブチ当たり、よろめいた所で更に綾美はドアで殴りつける。少し離れた所にいた護衛達が慌ててやってくる。
「真理亜さんっ!大丈夫ですか!?」
・・・、遅いよ。
「ああっ、真理亜大丈夫か?もう部屋に行きなさい。涼君、真理亜を頼めるかね?」
一条パパが近づいてきつ、綾美を気遣うように声をかける。
「真理亜、部屋に送るよ。大丈夫か?怖かっただろ?こんなに震えて・・・。ああ、上手く歩けないんだね?」
いかにも『真理亜は震えて動けません』アピールを周りにして、綾美を抱きかかて歩き出す。
「涼さん、ごめんなさい。迷惑かけて」
弱々しく微笑む真理亜を演じた。
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