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 部屋に戻ったジュリアは、ジオン様の笑った顔を思い出しニマニマしていた。黒髪のジオン様は長めの髪を前に垂らしていて、その髪の間から見えるグレーの目が冷たい印象だったが目を細くして笑う顔はイケメンだった。いつも無表情過ぎるのだ。そして声、ラルク様に似てる様な?聞き間違いなのかなぁ?

 また、声が聞けるといいんだけど。ラルク様は令嬢達に人気だと言うけど、私的にはジオン様の方が気になるなぁ・・・。そんな事を思いながら眠りに就いた。



 仕事にもバッチリ慣れてきた頃、休みの日にお茶をしないかとユーバに誘われた。

 「ごめんね、ジュリアちゃん。貴重な休みの日に俺とお茶で。でも、ココのケーキは人気だから食べてみてよ」

 ケーキの絵が書いてあるメニュー表を見せられる。うっ、美味しそうだけど高いな~。

 「ジュリアちゃん、もちろんご馳走するから遠慮しないでね?」

 「えっ、あ、ありがと。じゃあ木苺のタルトとダージリンで」

 


 「で、今日の本題なんだけどね?前落ち着いたらバイトお願いしたいって言ってたヤツなんだけど。出来そう?」

 「うん、慣れて来たからお休みの日なら大丈夫そうだよ?あんまり疲れるのは無理だけど」

 「ああ、大丈夫。部屋の掃除を2人分なんだけど。昔っから片付けが苦手な奴等でさ。俺がたまにやってるんだけど、さすがにイヤになって来て。だったら割り切ってバイトを雇おうと思ったんだけど、色々問題起きそうでさ。その点、ジュリアちゃんなら大丈夫そうだし」

 「いいですけど。職場から近いといいなぁ」

 「ソレは近いから大丈夫。騎士の部屋だから。ラルクとジオンにはもう会ったよね?奴等の部屋だから」

 「えっ!?」

 「いや~、女の子に頼むと問題起きるでしょ?2人とも別の意味でさ。早速明日の休みからお願いできる?」

 月・火・水・木・金がジュリアの出勤日で、土・日はお休みだ。土日は騎士見習いが当番で調理アシスタントをしてくれるのだ。

 「はあ、時間は?」

 「9:00-12:00の3時間で2人分。あ、同室だから。土日どっちか週1でお願い。布団のカバーを替えて、床掃除と服の洗濯仕分け。基本、床に落ちてる服は洗濯に出していいから。あ~、明日はジオンがいるから詳しくはヤツに、聞いてよ」

 「うん、わかった。部屋の場所は?」

 「あ、コレ、部屋の地図と号室書いてある紙と、鍵ね。掃除道具は室内にあるから」

 「えっ、鍵?」

 「騎士はシフト制だから土日仕事入ってる日あるし」

 「いいのかな?」

 「ジュリアちゃんの事は前に掃除やって貰おうと思ってるって話したら『わかった』って言ったから大丈夫だよ。明日からお願いね?」

 「はぁ~い」

 「あ、そうそう給料は後払いになるけどいい?2人分一回につき、5,000ルビー」

 「えっ、そんなに!?」

 「ソレを払ってでも、奴等はお願いしたい訳よ。部屋の片づけと掃除。ただし、室内で得た情報等は口外しないでね?」

 「個人情報だもんね、わかった」




 そして、翌朝。

 朝食を食べてからバイト初日に向かったのだ。




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