上 下
2 / 37

1

しおりを挟む
 余り多くない荷物と共に、王宮の裏手門で馬車から降りる。するとそこには比較的若い男性が出迎えてくれた。

 「ジュリアさんですね?私はあなたのお父さんの妹の子供で、従兄弟のユーバです。交流は無かったので、はじめましてですね」

 「あっ、はじめまして。ジュリアです。ご面倒をお掛けしますが、よろしくお願いします」

 ペコリと頭を下げる。

 「とりあえず、荷物を部屋に運びながら説明しますね」

 3つある荷物の2つをユーバさんは持ってくれる。

 「まずは質問だけど、料理と言うか包丁やナイフは一応使えるって聞いてるけど、野菜の皮剥きとか出来る?スピードは?」

 「メイドを沢山雇える余裕が無かったから、メイド並みには出来ますよ?」

 「ああ、ソレは助かる。住込みだから募集をかけると人は来るんだけど、使い物にならなくてね。騎士団からは癒しが欲しいから女性がいいって言うし。でも出自がしっかりしてる若い娘さんでって条件難しいくてね。ちょっと考え無しの令嬢が騎士目的で来て、1時間でクビになったりして、ソレが数回続いたからちょっと辟易としてたんだよ。で、君の家が売りに出されるって聞いて、色々調べて、ジュリアさんに働いて貰えると助かるなと思って話しを持ちかけたんだ」

 「そうだったんですね。私は家に借金かあるなんて知らなくて。びっくりだったんですけど、でも!借金返済の為に頑張ります!」

 「ははっ、頼もしいよ。ああ、じゃあ手が空いてる時にバイトお願いしようかな?」

 「出来る範囲内で、お願いします」

 「はいよ~。あ、ココがジュリアさんの部屋ね」

 扉の前で立ち止まる。

 「あの、ジュリアでいいですよ?従兄弟だし」

 「じゃあ俺もユーバで。まずはコレ、部屋の鍵ね。無くすと自費で鍵交換だから気をつけて。で、部屋の中だけど、 女性専用の部屋になってて、トイレ・バス・洗面は部屋に完備だから、掃除は自分でしてね。騎士団員は共同の大浴場とトイレだから。食堂のそばには男女別のトイレ完備。あとは~、ああ、仕事のマニュアルはコレ。読んどいてね、仕事着はコレ、朝、コレ着て厨房ね。靴は専用が向こうにあるから。じゃ、一旦厨房に案内するよ」

 ユーバに連れられて、厨房に向かう。丁度お昼時が終わり空いていた。そこで厨房の担当5人に挨拶をする。その場でジャガイモの皮剥きをさせられたが、OKをもらう。

 剥いただけですが?

 明日の朝6時に厨房に来るように言われ、その場を後にした。ジュリアが必要になりそうな総務系(備品を貰いに来る)とユーバが普段いる経理の場所を案内され、そこで、ユーバからプレゼントを貰う。

 ユーバにお礼を言い、その場で別れて自室に戻り荷物の整理をする。ユーバからのプレゼントも開けてみる。

 目覚まし時計が2つだ。

 ・・・、実用性重視でありがとうございます。絶対に寝坊する訳にはいかない。

 


しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

BL / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:878

【R18】傷付いた侯爵令嬢は王太子に溺愛される

恋愛 / 完結 24h.ポイント:269pt お気に入り:3,964

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:186,042pt お気に入り:7,565

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:18,631pt お気に入り:668

鉄格子のゆりかご

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:42

余りモノ異世界人の自由生活~勇者じゃないので勝手にやらせてもらいます~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:49,326pt お気に入り:30,011

処理中です...