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 ロクサーヌは翌日、父と共に馬車で王宮に向かっていた。そう、昨日の舞踏会の後処理の為に貴族院会議に行かなければならないのだ。

 馬車では横並びに座り、特に会話はない。

 突然馬車が急停止し、身体が不安定に揺れるのを父が抑えてくれる。

 「どうしたっ!?」

 父が御者に話しかける。

 「旦那様、申し訳ありません。急に前に馬車が入り込んで停まりました。あっ、何するんですかっ!」

 いきなり馬車が走り出す。街中で走るスピードではない。父が覗き窓から御者を見ると、子爵家の御者ではない。どうやら貴族院会議に出席させたくない妨害のようだ。

 「クロス公爵家関連だろうな?さて、どうしたことか」

 ある程度走った所で一旦馬車は停まり、扉が開かれ男が姿をあらわす。

 「クロス公爵、どう言う事ですか?」

 馬車に乗り込んで向かいに座ってきたのだ。

 「どうもこうも。我が公爵家は男爵になどなってはいけないのだ。しかも侮蔑的な名前になるなど。エルストン子爵家に非がある事を認め、クロス公爵家は悪くないと証言したまえ」

 「は?」

 「わからないのか?その娘が全ての元凶で悪いのはその娘だと証言しろと言う事だ。公爵家には逆らえまい?」

 クロス公爵は威圧的な態度だ。

 「わかったな?」

 そう言ってクロス公爵は馬車を降りた。



 クロス公爵は自分の馬車に乗り、来た道を引き返して行った。それを確認し、

 「わかるわけ無いだろうよ?」

 「無いですわね?」

 御者は残していったみたいで、王宮まで走らせてくれるようだ。
 
 予定よりも遅くなったが、貴族院会議には遅れずに到着した。始まる前にジュリちゃんとお茶をする予定だったのに、その時間は無くなってしまった。

 「ロクサーヌ嬢っ!!ジュリエッタからまだロクサーヌ嬢が来ないと聞いて心配していたんだっ!!」

 馬車から降りているロクサーヌに向かってギャリーが走ってきた。

 「申し訳ありませんでした。思わぬ妨害に遭いまして」

 ロクサーヌの横で父が謝る。



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