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31 〜クロイツ視点2〜

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 翌朝、俺はいつも通りマリアと共に騎士団に向かう。マリアは今日のおやつが楽しみだとか、メアリに買ってきたお土産は気に入ってもらえるかなど、いつも通りに話している。

 騎士団塔に近くなって来た所で、騎士団員の1人が話しかけて来た。

 「マリアさん、先日は薬草ありがとう。さすがに騎士団の『ケガリン』を持って行くのは気が引けたから、分けてもらえて助かったよ」

 「いいえ、作業室にはいっぱいあるので、必要な人には声かけて貰えれば、いつでも分けますよ」

 「ありがとう、みんなにも伝えとくよ」

 手を振って騎士団員は去っていった。

 「アイツ、どうかしたの?」

 「ええ、お父さんが階段から落ちて足を切ったり打撲したらしくて。丁度騎士団に薬草を持って行った時に話しを聞いたから、作業室にある薬草を分けてあげたの。騎士団にある薬草を使いたいけど、さすがに家族に使うのは気が引けるって言うから。遠慮なく声かけてくれればいいのにね。騎士団の裏にいっぱい生えてるんだし」

 その後も、子供の熱が引いて助かったと他の団員に声をかけられていた。マリアは既にココに居なくてはならない存在になっているのだ。



 マリアは人当たりもいいし、可愛い。

 だから当然独り身の騎士には人気が高い。

 「なあなあ、クロイツ。マリアちゃんてどんな男がタイプだ?」

 「知らね~よ」

 一応、マリアはダリル家の遠縁って事になっている。大聖女だった事は騎士団内では団長とメアリしか知らない。

 「いいなぁ、マリアちゃん。毎朝『おはよう』て起こしてくれないかなぁ」

 「だなっ、『おやすみ』とかなっ」

 「いいね~っ。『ケガリン』貼ってくれながら『痛いの痛いの飛んでけ~っ』も萌えるよなっ」

 マリア、それはやらないように言わなければ。俺以外の男にそんな事するなよっ。

 「どうしたクロイツ、怖い顔して。何かあったか?」

 「何でもないですっ」

 団長に答え、トイレに行く振りをして室外に出る。


 ああ、他のヤツがマリアの話しをするだけでイライラする。他のヤツに見せたくない。

 コレが恋や愛の感情なのか?

 俺は嫉妬深いのか?



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