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 メアリが母の病状レポートを書いている間に、マリアは昨日乾燥させた薬草をカップに入れお湯を注ぐ。作ったのはカゼリン・ナオリン・カゼリン&ナオリンブレンドの3種類だ。

 「メアリ、ちょっといい?飲んでみようよ」

 薬湯が出来たのでメアリを呼ぶ。まずはカゼリンから。

 「ん?モモ?」

 「薄味のモモっぽいですね」

 カゼリンはモモ味だ。

 次はナオリン。

 「りんご?」

 「りんごですね~」

 ナオリンはりんご味。

 最後にブレンド。

 「モモとりんごでなんでぶどうなんだろうね?」

 「ですよね~、ぶどうですね~」

 2人はなぜブレンドがぶどうになるのか首を捻りつつ、乾かした葉っぱ状態のケガリンを見る。マリアはおもむろにケガリンを水に浸け水浸しにしてから持ってくる。そして匂いを嗅ぐ。

 「ミントだよ~」

 「うわぁ、乾燥したのは青臭いのに、爽やかな匂いですね。ちょっと腕に貼ってみていいですかぁ?スースーして気持ちいいです。あっ、熱を吸い取られている感じがします。熱がある時におでこに貼ってもいいと思いますっ!」

 メアリは腕からはがし、おでこにも載せていた。

 「私も畑の報告書を書かなきゃ。午前中は2人とも書類作成しちゃいましょ」

 ガリガリとマリアは報告書を作成し、薬草のサンプルを付けてダダン様に提出した。部屋にはいらっしゃらなかったので、渡してもらう様に頼んだ。




 午後からは昨日作り忘れたポーションを2日分作る。その間にメアリには薬草詰みをしてもらう事にした。量は昨日の半分でお願いした。

 うんうん、メアリとは上手くやっていけそうだ。喋る時には楽しく話すし、作業する時には無駄話しせずに集中して作業してくれる。

 マリアがポーションを作り終わる頃にメアリは薬草を摘み終わり帰ってきた。2人はお茶をしながら話しをする。

 「マリアさん、薬草は昨日たくさん摘んだのにいっぱいになってましたよ?精霊様の力って凄いですね?あっ、母の薬草のお礼もちゃんとしてきました」

 「ホント精霊様凄いわよね~」

 「精霊様とお話し出来て、薬草を授けて貰えるマリアさんも凄いですよっ!!沢山の人にこの恩恵が行き渡ると良いですねっ」

 「そうなのよ~。ポーションは安価で教会に卸す計画があるのだけど、薬草はどうしたら安く行き渡るかしら?」

 「そうですね~。薬局に売るとなると既存の薬が売れなくなる可能性がありますからね」

 確かに、メアリの言う事も一理ある。

 「難しいわね、ダダン様の指示を待ちましょう。乾燥させておけば保存はきくでしょうし」

 


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