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20 〜シャール視点3〜

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 午後からは他の聖女達の仕事を見た後、聖女達の住まい・支給品・給料・勤務状況などを神官長に説明された。俺が簡単に費用を削減した事により変更された点も説明された。

 そもそも聖女達の生活は質素だったのだ。誰だ、俺に聖女達は贅沢しているから費用を削減し、文官達の待遇改善費用に充てろと言ったのは。質素→貧乏生活ではないか!

 俺はすでに腹ペコだぞっ!?

 聖女達は食堂で誰も文句を言っていなかった。いつもの事だからだと神官長は言った。

 早急に予算を出してもらう様に財務省に相談しなければ。

 「もうイヤ~っ!!私帰る~っ!!帰るの~っ!!こんなはずじゃなかったもんっ!!」

 リリアーヌが叫びながら走って行く。

 「因みにマリアは夕食後も国内全域に対する祈りを21時まで捧げますよ?」

 神官長の言葉に俺は何も言えなかった。



 

 夕方、父に呼ばれて感想を求められる。

 「どうであった?大聖女の仕事とお前が削った予算は?」

 「・・・」

 「お前は自分の知識不足を理解したか?」

 「・・・」

 「マリアに謝罪する気にはならんのか?」

 「・・・、私はマリアとは結婚したくはありません」

 「だからと言って、偽物を大聖女に据えた結果がコレだ。国民に対してどう責任を取る?国民は大聖女を必要としているぞ?」

 「聖女の中から大聖女をーーー」

 「他に候補はおらなんだ。マリアしか大聖女に値する力の持ち主はいないのだ」

 「では、聖女養成学校の生徒をーーー」

 「まだ勉強中だ、しかもマリア程の力を持った者はおらぬわっ!!どうするのだ!!大聖女の力が無ければ国内は荒れるし、国民は納得しないぞ!?」

 厳しい声が響き渡る。

 「国王様、よろしいでしょうか?」

 「何だ神官長、申してみよ」

 「マリアが解任され、この事態が想定されておりましたので、力の強い魔導師にポーションやお守りの作成を依頼しておりました。次の大聖女までの繋ぎになりますが、神殿で安価に販売しようと思っております。よろしいでしょうか?」

 「うむ、神官長が効果を確かめたのであれば許可しよう。値段は安価に抑え、利益に走らぬようにするがよい」

 「はっ、かしこまりました」

 「シャール、お前はどうするのだ?お前の責任の取り方次第ではわしにも考えがあるぞ?」

 「わ、わかっておりますっ!考えますっ!」

 どう考えればいいのだっ!?

 父に頭を下げ、その場を後にした。




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