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 「も~、マリアちゃん。優し過ぎるわ。機会があれば絶対にギャフンと言わせるわよ~っ!」

 いえ、お姉様。腐っても第1王子なので、ギャフンする機会は無いかと・・・。

 「で、マリアちゃんお仕事したいの?何系?いくらでも相談に乗るわよ?」

 「何が出来るか馬車の中で考えたんですけど、聖女の力は失われていないので、何か活かせる仕事は無いでしょうか?」

 「う~ん、そうねぇ。私は聖女の仕事って大雑把にしか理解してないのよね?例えば、体調が悪い人を治癒とか、雨を降らす・止める、魔獣避けとか?」

 「そうですね、お医者さんで治せない病気を治したり・軽くしたり、が多かったですね。怪我を治したり。珍しいのだと、植物の種を持ってきて花を咲かせて欲しいなんて人もいました」

 「何でも出来るのね~」

 「料理全般は出来ませんが」

 今まで1度もやる必要が無かったので、出来ない自信はある。掃除・洗濯は出来る。

 「ココに住んで貰う分には料理は必要ないわね~」

 いえ、多分ココを出たらかなり大変な事になりそうです。

 「そうね~、ココは土地柄騎士が多いのよ。怪我を負う人がいても辺境伯の地だから王都みたいに医療が充実しているわけでも無いわ。騎士団にも治癒師がいるから、治癒師はどうかしら?基本的に治癒師は癒し系の魔力がある人が就く仕事だけど、聖女の特性を活かせそうじゃない?」

 「そうですね、治癒師の募集があれば応募したいです」

 「あら、募集が無くてもゴリ押しするわよ?クロちゃんは騎士団員だし」

 あ、あはっ。

 迷惑かけそう・・・。




 午後からはお城の一室にお針子さんが呼ばれていた。お姉様がドレスを作るのね~、と思っていたらお針子さん達がマリアの採寸を始め、カタログを取り出してお姉様と話し始め一礼して帰って行った。

 その後、朝の約束通り庭でお茶会(本日2度目)をしながら、午前中話していた治癒師の件は騎士団から治癒能力が見たいと連絡が入ったようだ。お姉様、行動が早い。なので、明日の午前中に騎士団へお邪魔する事になった。夕方近くになると、午後一に来ていたお針子さんが多くの衣装箱を持って、再度現れた。

 「マリアちゃん、明日からはコレを着て頂戴ね?楽しみだわっ」

 「そんな、勿体ないです。私なんかの為のドレスなんて」

 「マリアちゃん、『なんか』なんて言っちゃダメよ。マリアちゃんは今までいっぱい頑張って来たのだから、ココにいる間は普通の女の子として楽しみなさい」

 「はい・・・」

 今まで言われた事のない言葉に、思わず涙が出そうになってしまう。

 7歳から聖女適性検査で適性が出てから、マリアはいつも日々に追われていた。勉強であったり仕事であったり。初めて自分の時間というものが持てたのだ。
 



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