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 ジャンヌ夫人はとても明るく色々と話をしてくれる。そして今日は天気もいいから午後から庭でお茶会をしようと誘ってくれる。ジャンヌ夫人は弟がいるが、妹がずっと欲しかったらしく、マリアがココにいる間は姉妹のように暮らしたいと提案してきた。

 家族と言うものが今までなかったマリアはどう答えて良いか分からず、曖昧に頷いた。

 ずっと黙ったままだったクロイツ様は、朝食を食べ終わると仕事に向かうために席を立った。

 「も~、クロちゃんったら無口なんだから」

 ジャンヌ夫人は口を尖らせる。

 その仕草は何だが年上ながら可愛らしい。



 2人はティーサロンに場所を移し、おしゃべりタイムに入った。

 「あの、ジャンヌ夫人」

 「ダメよ、マリアちゃん。お姉ちゃんと呼んで?」

 えっ!?

 「はい、言ってみて?」

 「お、お姉様」

 「う~ん、お姉様もいいわね。そう呼んでくれないと返事しないわよ?」

 「わかりました・・・。あの、クロちゃんってクロイツ様をお呼びになるのですか?」

 「んも~、マリアちゃん硬いわよ~。姉妹よ、姉妹。もっと砕けた口調にしてよ~。ね?私とダリル辺境伯とクロちゃんは幼馴染なのよ?だからクロちゃんは昔からクロちゃんなのよ」

 クロイツ様、絶対にジャンヌ夫人に言い返せ無さそう。私も絶対に否定出来なさそうだし。

 「で、マリアちゃん。神官長様からある程度は手紙で呼んで事情はわかってるつもりなんだけど、マリアちゃんから聞いてもいい?あ、もちろん差し支え無い範囲でいいわよ?」

 私は隠す必要もないので、ありのままに話し、何か仕事を探したいと相談した。

 「マリアちゃん、あなた淡々とし過ぎじゃない?もっと怒りなさいよ!?職を追われた挙句の婚約破棄なのよ!?しかも恋人を見せつけられたんでしょ!?」

 「いえ、正直に言うと聖女をクビになったのは少し残念でしたが激務だったのでホッとしてるのと、後が大丈夫かな?と心配なんですが、婚約破棄は清々してます。大聖女になったから第1王子と婚約ってイヤだったんです。好みじゃないし・俺様だし・馬鹿だし・人をいつも見下す人でしたし。なので、婚約破棄はラッキーでしたね。それに思ってた以上に神官長様が退職金を出してくれたので、家を借りるにしても新たな仕事を探すにしても、心に余裕を持って考えてから行動出来そうです。あ、でもココにしばらくお世話になれるのは凄く助かります。ありがとうございます」

 ペコリと頭を下げる。

 「も~、マリアちゃん。あなたいい子過ぎるわ。私だったら第1王子に仕返しするわよ?何だったらやっちゃう?」

 「いえ、平穏無事に生活出来ればそれで十分です」

  そう。人間、平穏が1番だと思う。




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