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まずは近くにある王国銀行に行き、全額引き出した。担当員に不審な顔をされたが気にしてはいられない。早くこの場を離れ冒険者ギルドに預けたい。かなりの金額が退職金として支払われていた。2,000万ルビーも退職金で貰えたの!?神官長様、かなり上乗せしてくれたんじゃない!?
嬉しいけど、重いです。
冒険者ギルドで預ける際も不審な眼差しを受けてしまった。給料から残しておいた100万ルビーは当面のお金として、手元に持っておく事にした。
とりあえずお金を移動出来て一安心だ。一息つくとお腹が空いているのに気がついた。
神官長様に教えてもらった夫人の所へ向かうには乗合馬車に乗らなければならないのだが、馬車の時間まではまだ少しあるので、急いで昼食を食べ、お世話になる手土産を買ってから馬車に乗り込んだ。
向かうのは隣国の手前にある辺境伯の砦だ。
ココからは8時間かかるので着くのは遅い時間になってしまう。大丈夫かな?
馬車が到着すると、男性が1人立っていた。その男性が声をかけてくる。
「マリア様でしょうか?私はダリル辺境伯の使いでお迎えに上がりました、クロイツと申します。こちらの馬車に、お乗りください」
クロイツと名乗った男性はとても背が高く姿勢も良い。それに礼儀正しい。黒い短髪はツヤツヤで青い目はキラキラしている。騎士なのかな?
馬車に乗る際もエスコートしてくれる。うわぁ、比べたら申し訳ないけど、シャール殿下とは雲泥の差だ。クロイツ様の方が王子みたいだ。マリアが座る前にクロイツ様は座る。
「マリア様、神官長より速達の手紙でお話は伺っております。大変でしたね。少しでもこの地で穏やかに過ごして頂けると良いのですが」
「突然で申し訳ありません。こんな時間ですが、伯爵様と夫人にご挨拶したいのですが」
「そうですね。伯爵はしばらく留守でして、夫人からは挨拶は明日でいいとの事です」
「夫人には気を遣っていただいたのですね」
「遅い時間なので、早くゆっくり寛いで欲しいようでしたよ?長旅でしたからね」
「明日必ずご挨拶させて頂きますね。うわぁ、凄い砦ですね?」
「ええ、この奥に城と城下町があります」
しばらく馬車で走ると入り口に着き、砦の中に入る。中には立派な城があった。城下町も辺境の地と言う割にはとても栄えているように思う。
「隣国との商売をこの地で行う者が多いですからね?栄えているのですよ」
城庭に入り、馬車を降りる。荷物はクロイツが持ってくれた。城内はとてもシンプルな装飾だったが、ダイニングに通されると中は少し煌びやかな空間になった。2人分の食事の用意がされている。
「本日はご相伴させて頂きますがよろしいでしょうか?」
「あ、はいっ」
男性と2人で食事というのは初めてで、とても緊張してしまう。シャール殿下の婚約者だったので一応、マナーは勉強したので大丈夫なはずだ。まあ、シャール殿下と食事をした事は1回も無かったけどね。
嬉しいけど、重いです。
冒険者ギルドで預ける際も不審な眼差しを受けてしまった。給料から残しておいた100万ルビーは当面のお金として、手元に持っておく事にした。
とりあえずお金を移動出来て一安心だ。一息つくとお腹が空いているのに気がついた。
神官長様に教えてもらった夫人の所へ向かうには乗合馬車に乗らなければならないのだが、馬車の時間まではまだ少しあるので、急いで昼食を食べ、お世話になる手土産を買ってから馬車に乗り込んだ。
向かうのは隣国の手前にある辺境伯の砦だ。
ココからは8時間かかるので着くのは遅い時間になってしまう。大丈夫かな?
馬車が到着すると、男性が1人立っていた。その男性が声をかけてくる。
「マリア様でしょうか?私はダリル辺境伯の使いでお迎えに上がりました、クロイツと申します。こちらの馬車に、お乗りください」
クロイツと名乗った男性はとても背が高く姿勢も良い。それに礼儀正しい。黒い短髪はツヤツヤで青い目はキラキラしている。騎士なのかな?
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「マリア様、神官長より速達の手紙でお話は伺っております。大変でしたね。少しでもこの地で穏やかに過ごして頂けると良いのですが」
「突然で申し訳ありません。こんな時間ですが、伯爵様と夫人にご挨拶したいのですが」
「そうですね。伯爵はしばらく留守でして、夫人からは挨拶は明日でいいとの事です」
「夫人には気を遣っていただいたのですね」
「遅い時間なので、早くゆっくり寛いで欲しいようでしたよ?長旅でしたからね」
「明日必ずご挨拶させて頂きますね。うわぁ、凄い砦ですね?」
「ええ、この奥に城と城下町があります」
しばらく馬車で走ると入り口に着き、砦の中に入る。中には立派な城があった。城下町も辺境の地と言う割にはとても栄えているように思う。
「隣国との商売をこの地で行う者が多いですからね?栄えているのですよ」
城庭に入り、馬車を降りる。荷物はクロイツが持ってくれた。城内はとてもシンプルな装飾だったが、ダイニングに通されると中は少し煌びやかな空間になった。2人分の食事の用意がされている。
「本日はご相伴させて頂きますがよろしいでしょうか?」
「あ、はいっ」
男性と2人で食事というのは初めてで、とても緊張してしまう。シャール殿下の婚約者だったので一応、マナーは勉強したので大丈夫なはずだ。まあ、シャール殿下と食事をした事は1回も無かったけどね。
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