君は番じゃ無かったと言われた王宮からの帰り道、本物の番に拾われました

ゆきりん(安室 雪)

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 国王様・王妃様の入場を知らせるファンファーレが鳴り響く中、お2人は姿を現し、舞踏会の開始が告げられる。スローなテンポの曲でお2人が踊られたあとは、参加者達も音楽に合わせ自由に踊る事が出来る。ライムの番婚約破棄の話が既に回っているらしく、ライムの横にはマークがいるにもかかわらず、ダンスの申し込みが来る。

 「お誘いありがとうございます。でも、申し訳ありません、パートナーは決まっておりますので」

 →踊る人は決まってるのであなたとは踊りません、とお断りしているのに、申し込む人が湧いて出るのだ。

 マークはどんどん人相が悪くなっていく。

 最初のうちは、

 「さすがハニーはモテるな」

 と余裕でいたのに、今は鬼の形相だ。

 マークにも当初、令嬢からダンスの申し込みがあったが、今はあまりにも顔が怖いせいか、令嬢達は遠巻きになった。

 2人は飲食スペースに移動し喉を潤したり、バルコニーで夜風に当たったりと、2人の時間を楽しんでいた。

 「そういえば、2人の王子様の番は見つかったのかな?」

 『番探しの花イベント』は、ライムにとっても興味はある。王太子妃になる人とは立場は異なってくるが、王子様の妃という同じ立場の人が増えるのは嬉しい。今後、悩みが出た時にお互い相談相手になれるのだ。

 「まだ、見つかったとは聞かないな。この会場にはいないのかも知れないな」

 「そっか。残念だな・・・」

 バルコニーの風が少し冷えて来たので、2人は室内に戻り、壁際にある休憩スペースで椅子に座り、少しくつろいでから、2人の本日のメインイベントに向け、場所を国王様達がいる場所に移動しようとしていた。

 2人は手を繋ぎ、人混みの中を少しずつ移動していたその時、イヤな声が聞こえて来た。

 「よお、ライムじゃないか。あ?コイツはこの前の男だな。お前、まだ飽きられてないのか?また偽番だって騙してるのかよ?ヒャッヒャッヒャッ!!」

 ジギー様は悪態をつきながら、ライムとマークを卑下し笑い転げていた。

 その瞬間、マークの纏う雰囲気が一気に変わった。
 



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