皇女はグリフィン騎士団員になり、憧れの騎士に愛される

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 そもそも、何故皇女であるアリアがグリフィンに興味を持ったかと言うと。今から約2年前、父である、国王が就任15周年のお祝いパレードでグリフィン騎士団や竜騎士団がデモンストレーションをしたのだ。初めてみたアリアはグリフィンが一目で気に入り父様にグリフィンをねだったが、もちろん与えられる事は無かった。普通であれば『騎士様素敵っ！』となるはずなのだが、アリアの目には人間は入らず、グリフィンだけだったのだ。

 以来、ず～っとグリフィンが気になるアリアは侍女達から『収穫祭』で売られている『お楽しみタマゴ』の話を聞き、絶対にグリフィンのタマゴを買うと決めていたのだ。

 それがやっと叶い上機嫌のアリアだが、グリフィンではなくヒヨコが孵る可能性は一切考えていない。その事に兄サイノスは一抹の不安を覚えるが敢えて今は口にしなかった。




 城に戻ったアリアとサイノスは、父様に『収穫祭』の視察報告に向かった。主にサイノスが報告するが、所々でアリアも口を挟み興奮しながら喋っていた。それを父様は微笑みながら聞いていた。

「それで、タマゴは買えたのか？アリア」

「はいっ！父様、コレがタマゴですっ！私っ、絶対グリフィンになりますっ」

 アリアは力いっぱいに叫ぶ。

「はっ！？」

「グリフィンになりますっ」

 再びアリアが言うと、父様と従者が思わず吹き出した。 

「ははっ・・・、アリア頑張ってグリフィンになるんだぞ」



 父様の元を後にし、兄様と城の居住区に向かう。城には内政を取り仕切る大部分の場所と王族が暮らす居住区、騎士塔や従者の居住区などに分かれている。収穫祭へは昼間の時間の視察であった為、執務室にいる父様に報告に行ったのだ。その帰り道、サイノスがアリアに問いかける。

「アリア、グリフィンになる・・って言うのは？」

「は？兄様、このタマゴはグリフィンになる・・んです」

「アリア、さっきの言い方だと、アリアがグリフィンになるみたいだったぞ？」

「えっ、人間がグリフィンになれる訳ないよね？」

「ああ。わかってるならいいんだ」

 ふっとサイノスは笑い、その事についてはもう言わなかった。