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第二章 はじまりの村
誰?
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スライモ村 宿屋
異世界に来て、始めての宿屋。
「ふぅ、ようやく休めますね。」
「休めるって言っても、歩き出してから1時間も経ってないんだがな。」
「でも、ここからは魔王城までの馬車が出てるんですよ。」
「へぇ…え?なに?魔王城まで直通してるの?馬車が?人類の敵じゃないの?」
「人類の敵なんて言ってませんよ。帝国、並びに王国側の支配層にとっての経済的、政治的な敵であって、貿易工室というどこの国にも属さず、物資の平均価値を定めたり、世界中の貿易ラインの元締めをしている組織と協定も結んでいるので…」
「うんうん、じゃあ端的に言うと、あれだね、この世界の魔王の定義は、魔物達の住む国があって、そこの王だから魔王って事で良いのかな。」
「まあ、そういうことになりますね。でも、理解が早くて…さすが転生者ですね。」
「まあ…良くある事だしな…」
「良くあるって…その知識はどこで身に付けてるんですか…」
「ネットとか、ゲームかな…」
「ねっと、げーむ?やっぱり、転生者はよく分からないです。」
「HAHAHA、テンプレ~。」
ついつい笑ってしまった。
「なんか馬鹿にされてるようで、その言葉?嫌ですね…」
「HAHAHA。」
異世界だと改めて感じるなぁ…
「あのー、今日は満室でして…」
「はぁ?この先にあいつがいるのは分かってるんだよ?早く出せよ。」
「ちょ、お客さん。」
何だか外が騒がしいな…
「何かあったんでしょうか…」
彼女が外の様子を見ようと、取っ手に手を掛けた…直後である。
「『鉄星の倫理』。」
言葉と共に、部屋の扉にひびが走り、崩れ落ちた。
「あ…。」
口をあけて、何事があったのか…と、理解出来ないでいる彼女の前に、
「よぉ、自称最強。俺と闘かって、真の強者を決めるぞ!」
突然現れては、こちらに向かって迫ってきたのは、赤色に染まった長髪と、金色の両目を持った少女だった。服装は、黒色のマントを羽織い、手には包帯を巻いていた。まるで、厨二病だ。いや、ここ異世界だったな。
彼女は、視線をずらすことなく、真っ直ぐと見つめていた。その目は、俺の方を向いていた。
手には、鉄製のナイフが握られていた。
が、誰?
「あー…『乱数調整』。」
刹那、目前に迫っていた彼女の体は、部屋から出て行く勢いそのまま、外へと吹き飛ばされ、見えなくなっていた。
「やっぱり、その能力、チートですね…あの子の姿、ここから見えませんよ。」
元に戻った部屋の扉、取っ手に手を掛け、外を見ていた彼女だったが、あの厨二病の姿は見えないという。ただ、今回は手加減をしたつもりだったんだが…床に落ちたナイフを手に取り、チート等と言っている彼女に向けて、渡した。
そして、
「チートじゃないし、かなり手加減したぞ。俺は、ただ【壊れた】乱数の配列を【元】の物にしただけで、実際、あんなに吹き飛ばされたのは、あいつが、修正力そのものに耐えきれず、壊したはずの扉の反発力を、全て一人で受け止めたせいだと思う。そもそも…」
「へぇ…」
如何にも、興味無さそうな顔をする彼女の横顔そのままに、
「そのナイフ、ベッドの下にでも置いておいてね。」と、一人話を進め、周囲を見渡した。
それから、
「あいつはこの部屋から出てないからな。」
「え?」
異世界に来て、始めての宿屋。
「ふぅ、ようやく休めますね。」
「休めるって言っても、歩き出してから1時間も経ってないんだがな。」
「でも、ここからは魔王城までの馬車が出てるんですよ。」
「へぇ…え?なに?魔王城まで直通してるの?馬車が?人類の敵じゃないの?」
「人類の敵なんて言ってませんよ。帝国、並びに王国側の支配層にとっての経済的、政治的な敵であって、貿易工室というどこの国にも属さず、物資の平均価値を定めたり、世界中の貿易ラインの元締めをしている組織と協定も結んでいるので…」
「うんうん、じゃあ端的に言うと、あれだね、この世界の魔王の定義は、魔物達の住む国があって、そこの王だから魔王って事で良いのかな。」
「まあ、そういうことになりますね。でも、理解が早くて…さすが転生者ですね。」
「まあ…良くある事だしな…」
「良くあるって…その知識はどこで身に付けてるんですか…」
「ネットとか、ゲームかな…」
「ねっと、げーむ?やっぱり、転生者はよく分からないです。」
「HAHAHA、テンプレ~。」
ついつい笑ってしまった。
「なんか馬鹿にされてるようで、その言葉?嫌ですね…」
「HAHAHA。」
異世界だと改めて感じるなぁ…
「あのー、今日は満室でして…」
「はぁ?この先にあいつがいるのは分かってるんだよ?早く出せよ。」
「ちょ、お客さん。」
何だか外が騒がしいな…
「何かあったんでしょうか…」
彼女が外の様子を見ようと、取っ手に手を掛けた…直後である。
「『鉄星の倫理』。」
言葉と共に、部屋の扉にひびが走り、崩れ落ちた。
「あ…。」
口をあけて、何事があったのか…と、理解出来ないでいる彼女の前に、
「よぉ、自称最強。俺と闘かって、真の強者を決めるぞ!」
突然現れては、こちらに向かって迫ってきたのは、赤色に染まった長髪と、金色の両目を持った少女だった。服装は、黒色のマントを羽織い、手には包帯を巻いていた。まるで、厨二病だ。いや、ここ異世界だったな。
彼女は、視線をずらすことなく、真っ直ぐと見つめていた。その目は、俺の方を向いていた。
手には、鉄製のナイフが握られていた。
が、誰?
「あー…『乱数調整』。」
刹那、目前に迫っていた彼女の体は、部屋から出て行く勢いそのまま、外へと吹き飛ばされ、見えなくなっていた。
「やっぱり、その能力、チートですね…あの子の姿、ここから見えませんよ。」
元に戻った部屋の扉、取っ手に手を掛け、外を見ていた彼女だったが、あの厨二病の姿は見えないという。ただ、今回は手加減をしたつもりだったんだが…床に落ちたナイフを手に取り、チート等と言っている彼女に向けて、渡した。
そして、
「チートじゃないし、かなり手加減したぞ。俺は、ただ【壊れた】乱数の配列を【元】の物にしただけで、実際、あんなに吹き飛ばされたのは、あいつが、修正力そのものに耐えきれず、壊したはずの扉の反発力を、全て一人で受け止めたせいだと思う。そもそも…」
「へぇ…」
如何にも、興味無さそうな顔をする彼女の横顔そのままに、
「そのナイフ、ベッドの下にでも置いておいてね。」と、一人話を進め、周囲を見渡した。
それから、
「あいつはこの部屋から出てないからな。」
「え?」
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