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16章
一触即発☆円卓会議
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皆様お読みになりまして?
クラオルが可愛すぎて毎度読みながら悶えております。
水谷先生天才では……?
しばらくお休みしていて申し訳ありません。
お年玉として閑話を投稿しようかなと思っていたんですが、気が付けばもう4月。オカシイナ……
閑話より本編かなということで続きであります。
お待たせしました。お楽しみいただけると幸いです!
--------キリトリ線--------
朝から会場となる部屋に鑑定をかけまくり、その後セッティングまでした。はい、本日は会議です。国の存続に関わる、重要な会議でございます。
いや、何故!? 私必要なくない?? って叫んでやりたいけれども、こうなったキッカケは私自身にあるんだよね……
清酒入りのフルーツポンチで王様が酔っ払った次の日、話した内容を王様がちゃんと記憶しているかを確かめた。ここで私が素朴な疑問っていうか懸念事項をポロッと口にしちゃったのがマズかった。おかげでその日は夜まで家族会議に付き合わされるハメになった。
そこで王様が信頼しているというメンバーを呼び出し、緊急極秘会議を開くことが決定したのよ。
慌ただしく日程調整が行われ、一週間後の今日、極秘会議当日となった。
集まった宰相を筆頭としたお偉いさん八人に鑑定をかけて裏切り者はいないかを確認、部屋には結界を張って盗聴を防止、さらに他言無用と記した誓約書に署名をさせる徹底ぶりだ。
アデトア君が般若の面を付けているからか、視線はうるさいものの、私達がいることに文句は言われなかった。
部屋は円卓。円卓とは言っても半円のテーブルが二つあって、臣下側と王族側で離されている。
王様の両サイドに王子二人が座り、私は王族側でアデトア君の隣だ。私の後ろにグレンとジルが立っている。対面している臣下達はどういう順番なのかはわからないけど、自然に着席したから暗黙のルールでもあるんだろう。
会議の議題はアデトア君とフラーマ王子の王位継承について。
そんな重要な会議に何故部外者がいるんだって、宰相が大層不服そうだったから帰っていいか聞いたのに、アデトア君だけじゃなくて、王様とフラーマ王子にまで引き留められた。
この会議、私は隠れて鑑定して結界を張るだけのつもりだったのに、王様が臣下と面識を持たせたいって言うから出席が決まったのだ。私が参加したかったワケじゃない。
「こちらがセナ嬢に同席を頼んだのだ。話を進めたい。着席せよ」
納得はしていなさそうだったけど、宰相が座り直したことで会議は始まった。
うわぁ……すごい睨まれてるぅ……
「早速本題に入ろう。次期国王の座はフラーマに継がせることにした」
王様言い方……ほら、宰相の眉間のシワが深くなっちゃったじゃん……
念願叶うぜと笑顔が隠しきれていない王様は自分の失言に気が付いていない。王様主体で話すってことになっているから、アデトア君とフラーマ王子はだんまりを決め込んでいる。
一瞬の沈黙の後、続きを話そうとした国王よりも早く宰相が口を開いた。
「アデトア殿下は納得しておられるのですか?」
「うむ。その方がいいとセナ嬢から助言ももらった」
だから言い方よ……ただでさえ目の敵にされてるっぽいのに、それだと完全に私が悪者じゃんか。
「このような小娘の戯言を信用したと?」
「おい、セナに無礼すぎるぞ。礼を欠いていい相手ではない。言っていいことと悪いこともわからないのか? 発言を撤回しろ」
「おや、アデトア殿下はずいぶんとそちらのお嬢様にご執心のようですね。おでかけで何があったのやら……目をお覚ましになった方がよろしいかと」
アデトア君が堪らずに諌める。チラッとグレンを確認していたから、私というよりもグレンのためだろう。
そんな注意も意に介さず、宰相は煽る、煽る。
この人……煽りスキル高すぎじゃない?
アデトア君や王様が宰相を言い咎める声をBGMに、グレンとジル、精霊達やクラオル達を念話で宥めつつも、親の仇かのように私を睨む宰相の態度に疑問が浮かぶ。
宰相って第一王子――アデトア君の派閥の筆頭って言われてたよね? 王様どころかアデトア君にも噛み付くの? あ……そういえば称号のところに〝自厳他厳〟と〝精励恪勤〟ってあったな。〝自厳他寛〟じゃなくて? って二度見どころか五度見くらいしたんだった。自他共に厳しい、ルール厳守で融通が利かないタイプってことね。この人が宰相で大丈夫なん? 敵が多そうじゃない?
宰相は私のことが心から気に食わないんだろう。「何故臣下ではない、他国の、それも子供の言いなりになるのか」「ドラゴンなんぞを連れ、脅しともとれるやり方に屈服するのか」「国を乗っ取る気ではないのか」と、彼の中では最早国賊扱いになっている。
王族である三人の叱責は頑なな宰相に響いていない。むしろ「目をお覚ましください」と火に油を注いでいる状態だ。
他のメンツは……宰相の勢いに同調して頷く者、我関せずと視線を床に向けたままの者、怒鳴り声が上がる度に肩をすぼめる者……反応はさまざまなものの、総じて私の味方になる素振りはない。
そもそもの原因はヴィルシル王の言葉足らずが原因だ。誤解を解かない限り、話が進まなそうである。
私、見守るだけで、口を挟む気はなかったんだけどな……
「ハァ……結局こうなるのね……グレンさん、気絶させないように威圧して」
〈さっさとやればいいものを……!〉
グレンによって放たれた威圧によって三人ほど気絶したけど、ブチ切れ寸前だったことを考えれば、かなり抑えてくれたんでしょう。
「グレン、ありがと。これ食べてご機嫌直して?」
〈むぅ……ベーコンポテトパイは好きだが、我は気が収まらん! 感謝されこそすれ、侮辱される謂れはない!!〉
そんなことを言いながらも山盛りで出したパイは食べるらしい。すでに三つ目を手に取り、次の瞬間には齧りついていた。
「((早く終わらせて、みんなで新しいデザート作りたいなって。協力してくれる?))」
そう念話を飛ばすと、「約束だからね!」と全員から念話が返ってきた。雰囲気も和らいだし、ひとまずは大丈夫っぽい。
本題に戻ろうと振り返ると、青い顔をした宰相に睨まれた。
「こ、こんなことをして……なんと野蛮な」
「あのさ、誰彼構わずケンカ売るのは止めた方がいいと思うよ。まずさ、なんで私達が来たと思ってるの? 猶予があったにも拘わらず、お金を振り込まなかったのはそちらの責任。横領もこの国の問題であって、私達には関係ないんだよ。私達からすれば払うと言って払わない嘘吐きの国なワケ。あ、五千ゼニだけ振り込まれてたから、詐欺の国だね」
グレンが私の家族であることは知っていたハズ。その私を無下にしたんだから、ドラゴンで飛来したことにも本来ならば文句は言えないでしょ? しかも私は先手を打って城下の人の治療もしている。その治療費は私持ちである。
「……あのような金額を請求する貴様こそ詐欺師であろうが……! 国王にいかにして取り入ったかは知らんが、騙されんぞ」
「ん? いやいや、取り入ってないよ。どちらかというと関わりたくない方。アデトア君は友達だと思うけど、国の問題に首ツッコんだら面倒くさいことなんてわかりきってるじゃん。自分達で解決してよ」
「……は? いや、騙されん。そんなことを言って国を意のままに操ろうと――」
「あの、少々よろしいでしょうか?」
宰相がブツブツと呟いている途中でジルが遮った。さっきまで「滅しましょう」なんて念話で物騒な発言をしていたとは思えないほど、口調は静かだった。
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