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16章

第一王子は頭を抱える (※お知らせアリ)

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 今回もお先にお知らせをば。

◯1つめ
 昨日更新の予定が1日遅れてすみません。
 寝落ちしてたようで、起きたら更新分の1話のデータが消えてました。カナシィ

◯2つめ
 先日夜に更新のお知らせが届いた方がいると思いますが、書影やその他のお知らせの更新となります。
 【お知らせ】欄の上から3つめ、「第二巻 書影などについて」です。
 題名の通り、書影やISBN、既出情報をまとめております。

◯3つめ
 上記の2つめに関係します。
 予約ができないとのお声をいただいておりましたが、予約できたと知らせてくださった方がおります。
 ありがとう! ありがとう!
 ネットでも予約可能を確認(アニメイトやAmazon)しましたので、もう書店でも可能かと思います。

 お近くの書店やネット通販で予約していただけると嬉しいです!

 以上お知らせでした。
 本編をお楽しみください。


--------キリトリ線--------


 久しぶりのクラオルパンチは地味に衝撃がきた。
 もうちょい加減して欲しかったよ、クラオルさん。
 アデトア君もデコピンが痛かったのか、おでこを押さえて唸っている。

「落ち着いたかよ?」
「ぐぅぅ……頭が揺れたぞ……」

 ガルドさん、アデトア君には遠慮がなくなったな……
 グレンの里で師事を仰いでいたからか、アデトア君もガルドさんには強く言えないみたい。
 まるでお兄ちゃんに怒られてゲンコツくらった弟のよう。
 仲よきことはよきことよ。

「……そもそもセナ達はなんの用があったんだ? 話している限りでは金の回収が目的じゃないんだろ?」
「あ、よくわかったね~。本当はさ、アデトア君が王位に就きたいって言ってたから、王太子の立場を確実にしておこうと思って。まぁ、他にもあるんだけど」
「は? この国はセナと争う気はないぞ? 例えフラーマが王位に就いてもそれは変わらない。シュグタイルハンでその話をしたんじゃないのか? 対立する気などないとの証明として情報を渡したと報告されていたぞ」
「情報ってあの性癖暴露の手紙?」
「は?」

 ポカーンと口を開けたアデトア君にあのとき渡された手紙の内容を教えると、何やってんだとばかりに頭を抱えた。
 アデトアの隣に座っているガルドさんも口元を引き攣らせている。

「マジかよ……気持ち悪ぃな……」
「あぁ……悪い。いくらセナが大人びているとはいえ、子供に読ませる内容じゃないな……」
「あ、その辺は大丈夫。性癖以外はアーロンさん達からもらった資料にちょっと足しただけだったし」
「それだと余計にいらない情報だろ……」

 それもそうかとアデトア君のセリフに納得する。
 知りたくはなかった性癖だけど、今後何かに役に立つかもしれないし。こちらがドン引きするような内容以外、多少の下ネタくらいOKよ。
 冷めた目で見ちゃうこともあるとは思うけどね。犯罪じゃなければいいでしょう、犯罪じゃなければ。

「とりあえず、敵意がないことはわかってるから大丈夫」
「そうか……なら、なんでだ?」
「ん~……仲よくなったから?」
「なんで疑問形なんだよ……セナはそんなんでわざわざシュグタイルハンやナノスモを巻き込むタイプじゃないだろ……」
「そんな疑いの眼差し向けないでよ~。仲よくなったからってのも本当だよ。まぁ、下心として輸出入を贔屓して欲しいのもあるんだよね」
「あぁ、なるほど。バチバチガンとかピマーンか……でも絶対それだけじゃないだろ……」
「他はねぇ……まだ内~緒っ♪ 悪いようにはしないから安心して」

 何か言いたげな視線を送ってくるものの、何も言わないアデトア君にニッコリと笑いかけると、思いっきりため息を吐かれた。

「あ、そうそう、明日っていうか今日、時間作れる? 今からでもいいよ」
「……何する気だ?」
「アデトア君の部屋に行きたいんだよね」
「は? オレの、部屋?」
「うん。アデトア君の部屋」

 首を傾げつつもお部屋訪問自体はいいらしい。
 ただ、夜中だと万が一見られたときに面倒だからと、時間はお昼すぎに決定。
 まだまだ調べるとのことで、アデトア君には寝不足回復にチートなリンゴを使ったマフィンをプレゼントしておいた。


 宿に戻るとすでにミリエフェちゃんだけじゃなくニキーダまで眠りについていた。アチャだけは眠気でフラフラだったものの、起きて待っていてくれたのがちょっと嬉しかった。
 ふわふわの声で可愛らしく「一緒におやすみしよ? おいで~」と言われたので、アチャのベッドにお邪魔しちゃった。



 翌朝、アチャにはめちゃくちゃ謝られた。寝ぼけて妹と間違えたんだって。絶対そうだと思ってたよ。
 ぬくぬくだったし、安心できるし、幸せなおやすみタイムだったから、アチャが気にしないように「また一緒に寝てくれる?」って言っておいた。
 なぜかミリエフェちゃんが鼻血出してたよ……


 朝食時に今日の予定を話し合い、観光へ出発!
 最初に服屋に向かい、アーロンさんとフェムトクトさんとミリエフェちゃんの三人には〝わりと裕福な平民〟風の服に着替えてもらった。
 だって明らかに〝大金持ちと小金持ちの観光客〟だったんだもん。おそらく王族たるオーラのせいだろうけど、人数も多いし……まぁ~目立つ、目立つ。
 特にデカい声で「おい、セナ! アレはなんだ!?」とか言っちゃうアーロンさんが。
 黙ってくれと度々たびたび口にジャムパンを突っ込むことになった。


 グレンのによって選ばれたお店でお昼を済ませたら、昨夜と同じメンバーで二グループに分かれた。
 観光続行チームとお城訪問チームだ。
 玄関ホールまで迎えに来てくれたアデトア君に先導されてお城を進む。
 途中からお城の壁の材質が変わって、時代を感じるようになった。
 アデトア君によると別棟ではないものの、〝離れ〟と呼ばれるエリアなんだそう。年代的には逆なんだけど、増築された部分って言えばいい?
 アデトア君の部屋はその〝離れ〟の二階らしい。

 着いたと声をかけられ、開けられた部屋の状態に私は声にならない悲鳴を上げた。
 やべぇ……何がやべぇって、薄暗い部屋の中、わけわからん呪術系のお土産っぽいモノが整然と棚に並べられている。しかも窓がないからは部屋の壁一面。
(え、ヤバくない? 薄気味悪っ! こんな部屋で寝泊まりと食事してんの? え、頭狂わない?)

「……ヤバ……不気味すぎでしょ……」
「そんなはっきり言うなよ……」

 ガックリと肩を落としたアデトア君は私とジルが腕まくりをしたことに気が付いていなかった。

「よし! では断捨離を始めます!」
「は? …………はぁぁぁぁああ!?」

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