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番外編まとめ

お年玉企画【番外編】:雪まつり3

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 村長宅へ戻ると天狐がいなかった。
 ジィジへの報告のために、お城に行っちゃったんだって。

 もう話がついているみたいで、私達は今日この村にお泊まりすることが決まっていた。
 それを聞いたギャチョー君は大喜び。ついさっき別れた子供達に言ってくると家を飛び出して行った。

 戻ってきたギャチョー君は予想通り子供達を連れてきて、再びメンバー全員集合。しかも各家庭から料理を持参。
 ……泊まる気満々だった。
 集まった子供達はスノボの話で大盛り上がり。村長や村長の奥さんは話の勢いに苦笑いだ。
 あれだけ遊び回っていたのに興奮してなかなか眠らないから、最終的にウェヌスに眠らせてもらった。

◇ ◆ ◇

 明くる日、朝ご飯もそこそこに、ぞろぞろと昨日の小山へ向かう。
 昨日、帰宅してからギャチョー君に呼ばれるまでの短い時間の間に、子供達が家族に話していたらしいんだよね。
 親はそんなに楽しいものなのかと見にくることにしたんだって。

 ぶっちゃけ今日は雪像と氷像の見学をさせてもらいたかったんだけど……クラオルのつるが必要だし、何かあったときに対処ができないと困る。今日も見守り決定だね。


 昨日と同じように足首を固定された面々はやる気満々。
 順番を決めていたみたいで、一番手は六歳の男の子。続いて七歳の女の子と男の子、九歳の男の子、十歳の年長君。トリはギャチョー君だ。
 それぞれ技をキメる度に大人達からは歓声が上がり、ギャチョー君がフラットスピンを披露した瞬間――大歓声となった。

「慣らしもしないで一発成功なんて……流石寒中水泳やってるだけのことはあるね……」
「寒さに強いようですし、日頃から滑ってはいたようですので慣れているのでしょう」

 それにしてもでしょ……
 私達が歩いて降りると「セナちゃんもジルベルト君も滑ればよかったのに」なんて言われてしまった。
 昨日もまともに滑ってないのにこんな注目されている中滑りたくないよ……

「へぇー。天狐さんが天才だと言ってたが、ホントに面白いもん作るんだな。これはオレ達でもできるのか?」
「できる、とは思うけど……大人が滑るならもっと距離がある方がいいと思う。それに固定するつるの持ちが悪そう。改良しないと難しいかな?」

 実際、昨日はギャチョー君達でも数回滑れば切れていた。登ってくるときの体勢の負荷のせいもあるとは思うけど、大ケガでもされたら困っちゃう。
 大人達は本当にやりたかったみたいで村長を筆頭に「残念だ……」と肩を落とした。

「あら、村にほとんど人がいないと思ったらこんなところにいたのね」
「あぁ、もうそんな時間か。戻らないとな」

 現れた天狐に促された村長達は天狐と一緒に村に戻って行った。



 そのままめいっぱい遊んだメンバーはお昼ご飯に合わせて帰宅。
 午後は見たかった雪像見学ツアー。案内役はギャチョー君にお願いした。
 グレンは村長宅から一回出たんだけど、やっぱり寒いとお留守番になった。

 雪像も氷像も可愛いものから〝何故これをチョイスした?〟と思われるものまで村中に点在していた。

「すごいねぇ! これも可愛い!」
「セナちゃんはこういうのが好きなのか?」
「こういうお花も好きだけど、ああいう可愛い生き物も好きだよ」
「ふーん」

 一通り見終わったら、帰宅。
 ジルはギャチョー君と一緒にどこかへ行くらしく、慌ただしく出て行った。
 天狐はまだお仕事の話の真っ最中。手持ち無沙汰になった私はヒマであろうグレンを誘ってコテージに入った。
 ちゃんと村長宅の近くに馬車を出して、そこからコテージに来たからバレないよ!

〈何か作るのか?〉
「うん。あの様子だと私達がいなくなった後もスノボやりそうだから、バインディング作ろうと思って」
われができない遊びだろ?〉
「グレンも運動神経いいからできると思うよ。この村じゃなくて、あっちのおばあちゃんがいる雪族の村なら寒さも大丈夫じゃない?」
〈……そうか。うむ! そうだな。それなら手伝ってもいいぞ〉
「ふふっ。ありがとう。ここをさ……」

 乗り気になったグレンにアドバイスをもらおうと、私は絵を描き始めた。
 結局、口では説明しにくいあげく、どういったものかを説明するのに【プラスラ液】を使って見本を作った。
 【プラスラ液】は一般的じゃないから、できるなら他のもので代用したいんだけど……他のものだと硬さ調節が難しいんだよね。
 しかも、数回しか体験したことがないから、これが正解なのかわからない。
 ちゃんとステンレス使ったし、後ろ側の支える部分も作った。かかとを支える部分も作った。あと……何が必要? 何かが足りない気がする……

 結局、試作品として木をメインに使ったものを作り終わったころには夜を迎えていた。

◇ ◆ ◇

 天狐も一緒にもう一泊。
 天狐達もなかなかいいアイディアが浮かばないみたいで、隣村の人にも協力を要請することにしたらしい。
 村長が「あんまり手を借りたい相手じゃないんだけどな」とボヤいていた。

 ギャチョー君とジルが昨日に続きお出かけした後、子供達がスノボのお誘いに来た。
 私が……というよりもクラオルがいないと足が固定できないため、私がいる間は毎日でもやりたいんだそう。
 自分達で勝手にやろうとしないところがエラいよね。
 グレンが〈またヒマだ〉と言うから、ポラルにリバーシの相手を頼んでおいた。

 年長君には昨日作った試作品を試してもらう。
 新しいものを見せると、子供達は揃って目を輝かせた。
 特に本人である年長君はギャチョー君じゃなくて自分が試すのが嬉しいみたい。

「どうだった?」
「昨日より足首は固定されてたけど……」
「けど?」
「つま先が浮くから難しく感じた……かな?」
「あ! そっか! 何か足りないと思ったらつま先押さえる部分がないんだ! ナイス意見!」

 つるでつま先からグルグルに固定してたから違和感がすごかっただろう。
 それでも転ばない運度神経のよさ! 若いって素晴らしいね!
 言いにくそうに告げた年長君にサムズアップして、ボードを外してもらう。
 木でブーツを押さえる部分を作って取り付け、再び装着。
 今度は大丈夫だったみたい。

 新しく作っては配り、ギャチョー君のを作ってる途中でタイムオーバーとなった。
 村長宅に戻ると、夜ご飯がめちゃくちゃ豪華だった。

「おおお! サーモンに黄色いいくら?」
「んん? これはハラスベアとグラトゥロイユだぞ?」

 村長に言われて鑑定してみたらサーモンがハラスベアっていう熊肉で、ギャチョー君達からプレゼントしてもらったグラトゥロイユがいくらだった。
(サーモン食べ過ぎて肉が全部ハラスになっちゃったのかな?)
 アクエスパパからもらった鮭と何が違うのかと思ったら、鮭の種類が違うらしい。
 パパが送ってくれたのはパシフィックサーモンってやつで、これはアトランティックサーモンだそう。しかもハラスベアはハラスのみ。細かいね。

「ふふっ。頼んで正解だったわね。これはここら辺でしか採れないの。見た目が気持ち悪いって人気がないから、他の村じゃなかなかお目にかかれないわ」
「えぇ!? 美味しいのにもったいない! これ売って欲しい!」
「ハッハッハ。構わねぇよ。明日採ってきてやる」

 興奮する私に村長が笑顔で了承してくれた。

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