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番外編まとめ

お年玉企画【番外編】:雪まつり1

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 これはまだセナがジャレッド王の国――ニェドーラ国にいた頃のお話となってます。
 時期的には【再会に次ぐ再会】の「天狐に別の雪族の村を紹介してもらったり……」のところです。

 本編の方は何回書き直しても話がまとまらず、「違う、そうじゃない。なぜキミが動き回るんだ……」とスランプに陥っています。
 お待たせして申し訳ありません。
 番外編でも少しでもいいと温かいコメントをいただいたので、みなさんへのお年玉として書いてみました。
 本編は書け次第更新しますね。
 本編とは関係ないので、そのうちこの回の位置をズラすことになると思います。
 数話続く予定ですが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。


@@@


 今日は散々お世話になった雪族とは別の雪族を紹介してもらうためにニキーダに連れてきてもらった。
 あの村と似た感じかな? なんて思ってたのに、実際着いたのはかなり雪深い村だった。
 家屋はほとんど雪に埋もれていて、わかりやすく例えるなら煙突付きの雪のかまくらにドアが付いている感じ。
 天狐に聞いてみたら、この村は年がら年中こんな感じだそう。
 ジィジの国の中でもかなり西寄りだから、冬は冬でもなのかもしれない。
 本当にマジでめちゃくちゃ寒い! それにしても……

「すごい! すごい! テレビで見た北海道の雪まつりみたい!」

 村の至るところに氷像や雪像が置かれていて見ているだけでも楽しい。
 何を模しているのかわからないものも多いけどね!

「あれウサギだよね!?」
「スノーラビットという魔物だと思います。スタルティ様が描いた絵そのままですね」
「あっちのアレはお団子みたいだけどアザラシかな!?」
「ふふふ。連れて来て正解だったわね。ほらセナちゃん、後でゆっくり見せてもらいましょ? 先に挨拶よ」
「誰かと思ったら天狐さんか」

 天狐に抱えられた私が後ろからかけられた声に振り向くと、テロッテロなタンクトップにトランクスみたいな短パン、あげくに裸足という驚きの出で立ちをしたおじさんだった。
 推定四十代と思わしき男性はお酒くさくはないけど、ほのかに顔が赤い。しかも運動でもしてたのか、体からモクモクと湯気が立ち上っている。
 寒くないの!? いや絶対寒いよね!?
 
「あら、ちょうどいいところに登場するじゃない。紹介するわね。この村の村長、ギャイオよ。この子はセナちゃん。アタシの娘よ。可愛いでしょ?」
「……初めまして。セナです。よろしくお願いします」
「ジルベルトです」
〈グレンだ〉

 天狐が紹介してくれた人物は私が彼の格好に驚いて反応が遅れたことを気にせず、「おう! よろしくな!」とニカッと笑った。
 アナウンサーにいそうなくらい笑顔は快活な爽やかさなのに服装が残念すぎるよ!

「天狐さんが誰かを連れて来るなんて珍しいな。……いくらこの子が可愛くても誘拐はマズいと思うぞ?」
「失礼ね! 確かにアタシとセナちゃんは血は繋がってないけど誘拐なんかしてないわよ」

 笑いながら言うギャイオさんに怒ったフリをした天狐は「そんなことよりこれよ」とヒラリと手紙を手渡した。

「んー? ……って、流血王から?」
「そう。あなた達の腕を見込んだ仕事ね。で、それとは別の用件もあるんだけど……ギャチョーは? いる?」
「遊びに行ってる。腹減ったら戻ってくると思う」
〈……ゼナ゛……ざ、ざむ゛い゛……〉
「わわっ! 大丈夫!? じゃないね……辛味酒飲む??」

 天狐とギャイオさんが話している途中でグレンに小さく訴えられた。
 モッコモコに着膨れしているくらい着込んでいるのに、ユキシタダンジョンよりもはるかに寒いこの村はグレンには鬼門だったみたい。
 今グレンが着ているのは肌着からブーツに至るまで……全てマルっとあの雪族のおばさん達に頼んで新しく作ってもらった高性能なやつ。ちなみに、見える柄はやっぱりノルディック柄のような模様でジルとお揃いだ。
 朝も防寒用のスープにしたんだけど、ガタガタブルブルと震えるグレンには効いていそうもない。
 あまりの様子に影に入るか聞いてみたら間髪入れずに拒否られた。

「ハッハッハ! 慣れてねぇんだな。あいつも昼メシには戻ってくるだろうから……オレんち来るか? 暖けぇぞー」
〈……は、はやく……〉

 案内してもらったギャイオさんの宅に入った瞬間――ギャイオさんがあんな格好をしていた理由が判明した。
 めちゃくちゃ暑い!
 ギャイオさんいわく、「こうやって薪ストーブで温まっておけば、ちっと外出るくらいじゃ寒さを感じないんだよ。まぁ、薪の消費は激しいけどな」とのこと。さっき外へ出ていたのは暑くなったから涼んでたんだって。
 何故熱で家を覆っている雪が溶けないのか聞いてみれば、わざと溶けないように家にをしてあるんだそう。結界みたいなものだと天狐が説明してくれた。

 グレンは暑いくらいの部屋で元気を取り戻したものの、ストーブの前に張り付いて動かない。
 天狐は暑すぎると、他の村人に手紙を届けに行ってしまった。
 外は寒くて中は暑い……私とジルは冬用装備を脱いで、比較的涼しい窓近くへ。

〈セナ、おやつは? われはミートパイがいい〉
「この暑い中熱いパイ食べるの?」
〈うむ!〉
「ジルはどうする?」
「僕はアイスだと嬉しいです」
「アイス? アイスって、これか?」

 ジルの言葉に反応したのはギャイオさん。
 指さしてる手紙を読ませてもらったら、私が登録したレシピのための冷凍保管箱の制作依頼だった。

「あぁ! なるほど! うん、そう。えっとね、コレを作る材料のための保存箱だよ」
「ん゛! こりゃ冷たくて美味いな! こりゃやる気出さないと……軽量化に劣化防止……このサイズにするには……」

 アイスを食べたギャイオさんはブツブツと呟いてメモ紙に走り書きし始めた。
 その顔は真剣だからお邪魔しないように大人しくしてよう。


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