転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

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15章

念願の飲み物

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 伸ばした手を下げながらため息を吐いた私をクラオルとグレウスがスリスリと慰めてくれた。
 流石私の癒し。心に沁みるね……

「とりあえず浄化しないとだよね」
「セナ、魔力使いすぎに注意しろよ。お前さん一回シュグタイルハンのダンジョンで倒れてんだからな」
「倒れてはないよ? それに具合悪くなったのはイモ虫のせい……」
「俺達からすれば変わらん」
「そうですね。セナさんはすぐ無理をしますから……気を付けてくださいね」

 ガルドさんだけじゃなくてモルトさんにまで言われてしまった。しかも後ろでジュードさんとコルトさんが「うんうん」と頷いている。
 そんな無理しているつもりはないんだけどなぁ。
 心配してくれるみんなを安心させようと「気を付ける」と告げてから、浄化を行使。
 火山全域とは言われていないから、この空間内だけにしておいた。

「こんな感じでいいかな?」
「流石セナちゃんね。充分だと思うわ。魔力は大丈夫?」
「うん。それは大丈夫なんだけど……」

 何故か浄化をかけたら、ドラゴンの髪色が少し明るくなってしまった。
 くすんだ赤色だったのに……まぁ、呆けているだけで、特段具合が悪そうなワケじゃないからいいかな? 後インプが言ってたのは……

を見ろって言ってたよね? シノノラーの地図の理由がわかるって」
「あ! 何かあるよー!」

 一足先にを覗いたジュードさんが叫び、私達もうつ伏せになって覗いてみる。
 なかなか見えなくて、身を乗り出す私をコルトさんが支えてくれた。
 半分以上体を出して、ようやく発見。
 だと思っていたここは真ん中に支柱がある構造で、その支柱に巻き付くつると共に、何やら玉がくっ付いていた。

「あれかな? グレン、取ってこられる?」
〈ちょっと待ってろ〉

 そう言ってグレンが取ってきてくれたのは黒と緑の玉。
 直径三十センチほどのそれは、見た目はアボカドの皮のように少しでこぼこ。触り心地も熟したアボカドと似ていた。
 鑑定をかけてみれば、黒玉は【プッシーの実】、緑玉は【メロダの実】。両方共甘い果実で食べごろだそう。

「フルーツかー! どんな味かなー?」
「食べてみようか?」
「賛成ー! オレっち切っていいー?」
「うん!」

 ワクワクした様子のジュードさんが期待の面持ちで切ると、液体がビシャッ! と飛び出してきた。

「うわー! ビタビタになっちゃったよー。セナっちごめーん」
「ふふっ。大丈夫だよ。あれ? この匂い……」

 懐かしい香りに、手に付いた果汁を舐めてみる。

「お? おおおおお! コーラだ、コーラ!」
「セナっちー?」
「ジュードさん、こっちも!」
「ハハッ。あいよー」

 緑玉も切ってもらうと、こっちも果汁が噴き出した。
 ペロリと舐めればメロンソーダ。

「やったー! クラオル、コーラとメロンソーダだよ!」
『まーた主様ったら。そんなに嬉しいのね……』

 あまりの嬉しさにクルクルと回る私をクラオルが呆れたように笑う。
 だってずっと飲みたかったコーラとメロンソーダだよ!? 嬉しいに決まってるでしょ!? テルメの街で炭酸が手に入ったから余計に欲してたよ!

「セナっち食べないのー?」
「果肉もあるの!?」
「あるよー。はい、あーん」
「あーん……んん! 美味しー!」

 果汁と同じコーラとメロンソーダ味のメロンのような食感の果肉は、日本ではなかったものだ。冷えていればもっと美味しいに違いない。凍らせてアイスにして食べたい。
 みんなも気に入ったみたいで、スプーンですくっては口に入れている。

「最っ高!! これいっぱい欲しい!」
「だねー!」
《((うふふ。わたし達の出番ねぇ。セナ様が望むなら頑張るわぁ~))》

 盛り上がる私とジュードさんの会話を聞いた植物担当のゆるふわ精霊――ユピテルから念話が届いた。
 そのユピテルによると、この二つの果実は大変珍しいそう。しかもマグマの熱に耐えられるなんて、他の植物でもなかなかないとのこと。
 そんなレアな植物なら、シノノラーに感謝しなくちゃね。

 果実は、普通ならば種があるハズの真ん中部分がポッカリと空洞になっていた。おそらく、この空洞部分にジュースが入っていたんだと思われる。
 じゃあ、種は? と思えば、果肉のところにリンゴの種ような大きさの種がいくつか入っていた。
 これで量産できたら、コーラもメロンソーダも飲み放題だ。

 マグマから顔を出した実を全て収穫した後、やることがなくなった私達はご飯作り。
 ジュードさんと作っている途中、ゴロゴロと雷のような音が響き渡った。
 原因はあのドラゴンのおなか。

〈クソ! オレ様にもよこせ!〉

 ドラゴンの要望はすげなく却下され、プルトンによって結界が張られた。
 出来上がったお昼ご飯はコンソメスープとサンドイッチ。

「お猿さんも一緒に食べよ?」
『……キキ?』
「ふふっ。私は気にしてないから大丈夫だよ。おいで~」
『……キキッ!』

 しょげていた小猿を手招きで呼んでご飯タイム。
 小猿は「美味しい、美味しい」と身振り手振りで大絶賛。
 食後のデザートは早速クリームソーダにしてみた。

「今回どうなることかと思ったけど、こんなに美味しいのが食べられるなら来たかいがあったねー」
「まだ解決してねぇけどな」
「そうねぇ……あ! いいこと思い付いたわ。セナちゃん、セナちゃん。ベビーカステラってある?」
「あるよ~」
〈セナのはダメだ〉
「アハハ。セナっちのは美味しいからねー。セナっちのがダメならオレっちが焼いてあげるよー」
〈それならまだいいか〉

 何故私が焼いたやつはダメなのか……そんな違いはないと思うんだけど、グレンは私が作ったものを彼に食べさせるのは嫌らしい。
 ジュードさんが作ったベビーカステラを持ったニキーダはプルトンに結界を解除させた。

「ん、美味しいわ! ほら、あなたも食べてみなさい」

 ニキーダは食べて見せてから、ポンッと一粒、ベビーカステラをドラゴンに投げる。
 綺麗な弧を描いたそれをドラゴンがパクッと食べた。

〈……ん!? なんだこれは……こんなもの〉
「食べたことないでしょ? セナちゃんのレシピだもの、当たり前だわ。もっと食べたい? 食べたいなら質問に答えてちょうだい。ちゃんと答えられたら、一問につき一つあげるわ」

 なんとニキーダはベビーカステラを餌に聞き出すつもりらしい。
 ニキーダが投げたベビーカステラをドラゴンが頬張る絵面は、完全に餌付けだ。
 食べ物を粗末にしている気がしちゃうけど、近付くのは危険だから致し方ないのかもしれない。
 でも自信満々でグレンをバカにするくらいのプライドの高いドラゴンだ。
 拒否りそうな……

〈仕方ない。さっさとしろ〉

 あ、いいんですね……


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