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13章

お守りとデレデレ姐さん

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 ラゴーネさんと紅茶を飲みながら話していると、タルゴーさん達が戻ってきた。
 フィーバータイムが過ぎたのかタルゴーさんは落ち着いていて、レシピ登録はスムーズだった。
 今回登録されたのはベーコンレタスサンドとステーキサンドとソーセージサンドの三種類。
 よく宿で出てくると思ってたけど、この街ではソーセージがよく食べられてるんだって。ケチャップが使えないからホットドッグじゃなくてソーセージサンドね。
 味付けはお任せ。その方が作りやすいし、料理人さんの職人心が刺激されるかなって。こういう簡単な料理は広まって欲しい。

「なるほど。それでしたら毎日食べても飽きませんわね。販売者はわたくしが選んでよろしいですの?」
「うん。お願いしたい。ただ、キアーロ国の王都とカリダの街、この国の王都で食べられるようにして欲しいかな?」
「うふふ。もちろんですわ! デタリョ商会に連絡を入れますわね!」
「ありがとう」
「では、話がまとまりましたので、戻って書類を受理したいと思います。セナ様、とても美味しい料理をありがとうございました」
「はーい。ギルマスもありがとう」

 ギルマスがギルドへ帰ったので、タルゴーさん達はどうするのか聞いてみると、ちょっと荷物をまとめたら出発するらしい。
 多分、今日私が引き留めなかったら午前中に出発してた感じだよね。

「ごめんね」
「うふふ。何を仰っておられますの? 世界一のセナ様の料理も食べられ、新しいレシピの登録もありましたのよ? これほど有意義な時間はありませんわ!」

 タルゴーさんは頬に手を当て、うっとりと微笑んだ。
 あ、うん。本当に問題なさそう。

「私達、予定があってお見送りできないから、先に渡しちゃうね。はい!」
「まぁ! 素敵なブローチ! いただいてよろしいんですの?」
「うん。ダーリさんはこっち」
「なんと! わたくしめもよろしいのですか?」
「うん。頑張って作ったから、付けてくれると嬉しいな」

 タルゴーさんとダーリさんは早速付けてくれた。
 タルゴーさんのはマリーゴールドの花形で、ダーリさんのはネクタイピン。両方共、ワンポイントに真珠パールの欠片を使った神銀ミスリル製のお守りだ。
 スパイに狙われてるって言ってたからね!

 ネックレスかピアスにしたかったんだけど、タルゴーさんは服によってアクセサリーを変えるから諦めた。ブローチも付けてもらえるかわかんないんだけど……一応どんな服にも合わせられるようにと色はつけていない。
 ネクタイタイプの執事服を着ているダーリさんにネクタイピンは一番使ってもらえそうでしょ?

「セナ様、そろそろお時間です」
「あれ? もうそんな時間?」
「でしたらわたくし達も荷物をまとめに部屋に戻りますわ」

 ラゴーネさんに時間を作ってくれたお礼を伝え、タルゴーさん達にもお別れの挨拶。
 タルゴーさん達はヌイカミさんの工房に寄ってからピリクの街に戻るんだって。


 部屋に戻った私はルンルンとコテージへのドアを出した。まだパパ達は来ていないみたい。
 今日はこれからパパ達と一緒にご飯なんだよね!

 テーブルに料理をセットし終わったころ、パパ達が揃ってコテージにやってきた。

「久しぶりー! むぐっ!」

 順番にハグしようと思ってたのに……エアリルパパに抱きしめられたのを皮切りに揉みくちゃにされ、最終的にガイにぃの腕の中に保護された。

「セナさんが苦しがっているでしょう。大丈夫かい?」
「なんとか……」
「セナさんに嫌われてしまうよ?」
「「「!」」」

 捨てられた子犬みたいにうるうると私を見つめるパパ達に笑ってしまう。

「ふふっ。みんな大好きだから、会えて嬉しいよ。さ、ご飯食べよ?」
「そうだね。楽しみにしてたんだ」
「今日はスペシャルセットだよ」

 席に着くと、パパ達は顔を顔を輝かせた。
 用意していたのはお子様ランチならぬ大人様ランチ。ちゃんと旗も付けて、それぞれパパ達のマークを描いてある。
 まぁ、各品目の量が一人前はあるから見た目的には可愛くないんだけどね!
 私はもちろん食べ切れる量だし、唯一のプレートご飯。

「順番にサラダ、ケチャップオムライス、ハンバーグ、エビフライ、タコさんウィンナー、唐揚げ、フライドポテト、コンソメスープ、アセロラジュースだよ」
「すごいです!」
「美味そうだ」
「豪勢じゃの!」
「この旗が可愛らしいね」
「ふふっ。ではみなさん、いただきます!」
「「「「「いただきます!」」」」」

 ん~! ウマし! ケチャップ味のオムライス久しぶり~!!
 食べたパパ達も気に入ったみたいで、口々に美味しいと褒めながらかきこんでいく。
 ジルはジルで「こちらのオムライスも絶品です。味付けが違うと異なる料理みたいですね」なんて言っていて、オムライスだけやたら減りが早い。

 デザートは薄めのパンケーキ。
 これにはチョコペン代わりに好きなジャムを付けてもらう。
 そう言うと、イグねぇがこれでもかと山盛りにしていた。


 ご飯を食べ終わった私達はダイニングのソファでまったり。
 パパ達のスキンシップが激しい……
 クラオルがパパ達が元ギルド職員のことでピリピリしてるって言ってたんだけど、見てる限りではそんなことない。
 大丈夫なのかな?

「ねぇねぇ。イグねぇにお願いがあるんだけど……」
「何じゃ何じゃ? やはりにもっと厳しい罰を与えるか?」

 あ、やっぱ怒ってた!
 これはよくない傾向だと、さっさと話題を変える。

「ううん! 違う、違う。そんなことよりシザーとセニングシザーを作って欲しいの」
「シザーとな?」
「ハサミだよ。セニングシザーはスキバサミ。髪の毛用の切れ味抜群のやつが欲しいの。……ダメ?」
「ん゛ん! セナは可愛いのぅ。よいよい。セナの頼みならわらわが何でも作ってやるからの」

 隣りに座っていたイグねぇを見上げて聞くと、サッと膝の上に持ち上げられた。さらにイグねぇはふにゃぁと表情を崩し、私にキスの雨を降らせていく。

「うひゃっ! くすぐったいよ~」
「あぁ……わらわの癒し……」

 あ……これ、聞いてませんな。
 甘い。私に甘すぎるよ! ストレス溜まりすぎ?

「セナさん! 他にはないんですか?」
「ん?」
「イグニスだけズルいです!」
「あー……えっと、あるにはあるんだけど…………ガルドさん達と簡単に連絡が取れるようになりたい……かな?」
「それは念話ということか?」

 エアリルパパに訴えられて答えたら、アクエスパパから質問が飛んできた。

「念話でもいいんだけど、魔道具みたいなのでもいい。『今日どうだったー?』とか『大丈夫ー?』とか気軽にちょっとしたやり取りしたくて。大変なときだとお邪魔になっちゃうだろうから、チャット……短い手紙みたいな感じのを夜寝る前にでもできたら嬉しいなって」
「なるほどね……それはセナさんが持っていた機械の機能かな?」
「あぁ、そうそう。正確には中に入ってるアプリの機能だよ。それが難しかったら電話とか……トランシーバーとかインカムみたいなのでもいいんだけど……」
「ふむ。ちょっと調べてみるよ」
「ホント!?」
「他ならないセナさんからのお願いだからね」
「はい! なので僕の膝に乗ってもいいんですよ?」

 エアリルパパはこっちへ来いとパンパンと膝を叩いていて、調べてくれると言ったガイにぃはそんなエアリルパパに苦笑い。
 行かせないと言わんばかりにイグねぇの私を抱きしめる力が強くなった。
 おかげで背中側に当たるイグねぇのお胸様が気持ちいいです。
 ただ、エアリルパパが寂しそうだから次はエアリルパパの膝の上決定だね。


--------キリトリ線--------
 近況ボードを更新しております。
 ぜひ一読いただけると幸いです。
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