転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
249 / 530
第二部 10章

馬車に響く絶叫

しおりを挟む


 今回の馬車はマンション付きの馬車の方。理由はアクエスパパに「コテージに案内する前に耐性を付けておいた方がいい」と言われたから。
 ガルドさん達は前回と違う小さめな馬車を見て「馬車何台持ってんだよ……」って苦笑いしてたけど、特に追求されることはなかった。
 運転をニヴェスに任せて、普段御者席にいるジルも中に入ってもらっている。ダンジョンから離れてちょっと落ち着いた頃を見計らって、ガルドさん達をマンションの玄関に招き入れた。
 マンションは私が作ったときよりも広くなっていて、ガルドさん達のことを考えてパパ達がいじってくれたっぽい。

「な、なんだここは……」
「うわぁ~」
「すごいですね……」
「……広い」

 四人の驚き具合にクスクスと笑っていると、ガルドさんに上からガシッと頭を捕まれた。バレーボールみたいに……
 ちょっとズレたらアイアンクローになっちゃうよ! ジワジワちから込めないで!

「どういうことだ? しっかり説明してくれるんだろうな?」
「んとね、馬車の中が狭いからってパパ達が作ってくれたの」
「んなっ!? ……まぁ、あの神達ならありえるか……」

 〝パパ達〟発言でガルドさんは納得してくれたらしい。
 ジュードさんは大爆笑、モルトさんは納得、コルトさんはガルドさんに掴まれていた頭を撫でながらヒールをかけてくれた。
 三人はマンション内を見てくるとワクワクした様子で中に上がっていった。

「ってことはこの馬車も……」
「うん。ガイにぃとイグねぇが作ってくれたから頑丈だよ!  よくわかんないけど、細工してあるって言ってた。あの大きい方の馬車もガイにぃ達だし、ニヴェス達のハーネスはアクエスパパとエアリルパパが作ってくれたんだよ」

 私が教えてあげるとガルドさんはピクピクと口元を引き攣らせた。

「あぁぁぁぁ! セナっちー!?」

 ガルドさんと話していると、ジュードさんの叫び声が聞こえた。
 急いで向かうと、ジュードさんがいたのはキッチン。キッチンの充実さに驚いたらしい。

「すごい! すごい! 面白い! セナっち! これは何!?」
「ふふっ。それはピーラーだよ。簡単に野菜の皮を剥く道具」
「コレはー!?」
「それはし器」
「ムシキ?」
「食べ物を水蒸気です道具だよ」

 どうやって使うのかを説明するためにしパンを作って見せると、ジュードさんは顔を真っ赤にテンションが急上昇。

「お、おい。少し落ち着け」
「落ち着けるワケないでしょー!? セナっちコレは!? これも便利道具!?」

 ジュードさんは瞳をギラつかせて、おろし器を片手に迫ってくる。
 正直ちょっと怖い。
 ジュードさんの気迫にジリジリと後退するとガルドさんの足に当たってしまった。
 じわじわと近付いてくるジュードさんに、ガルドさんが腕を伸ばしてデコピンを三連発。

「いっ!」
「落ち着け! ったく……怖がらせるな」
「はっ! セナっち、ごめーん」
「う、うん。大丈夫……焦らなくてもこれからジュードさんも使えるよ」

 私がガルドさんの足に抱きつきながら言うと、ジュードさんは「そっかー。そうだよねー! 毎日楽しみにしてればいいんだねー!」と満面の笑みで頷いていた。
 これからご飯作りの度に質問攻めされそうな気がする……

〈セナ。美味しそうな匂いがする〉
「蒸しパン作ったから、みんなで食べよ?」
〈おぉ! レーズン入りか!?〉
「ちゃんと入ってるよ」

 ジュードさんの声で後ろに集まっていたみんなをリビングに促し、全員に蒸しパンを配る。
 ガルドさん達は普通のパンとの違いに驚いていた。



 説明がてらガルドさん達と一緒にマンション内を見て回ると、玄関同様にお風呂場も広くなり、ベッドの数も増えていた。あげくにベッドエリアとの仕切りも置いてあって、マンションというよりもホテルみたいに進化していた。
 特に四人共、トイレへの食いつきがヤバかった。
 水洗自体が初めて見るモノで「構造は?」「なんでこんなのを知ってる?」「流れた水はどこへ行く?」と矢継ぎ早に説明を求められた。
 前世である日本のことをハッキリ言えない私は……「あんまり覚えてないんだけど、私の故郷にあったやつだって。パパ達が作ってくれたから構造とかよくわかんない。水はキレイになるって言ってたよ」と、全部マルっとパパ達のせいにしちゃった。パパ達ごめんね!
 パパ達を出したからか、ガルドさん達はそれ以上追求してこなかった。ただ「どんだけ気に入られてんだよ……」って疲れたようなガルドさんの呟きが聞こえた。
 うん。それは私も思ってるよ? なんでこんなに優しくしてくれるのかな? って。



 マンションの見学が終わった私達はリビングのソファでくつろいでいる。
 帰り際におばあちゃんに「ステータスを見てみぃ」と言われたのを思い出し、ガルドさん達にも伝えると、全員でチェックすることになった。
 ドキドキしながらステータスを開く。

┏【ステータス】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 
【名前】 セナ・エスリル・ルテーナ
【種族】神人(*隠蔽中)
【年齢】5歳
【職業】Cランク冒険者・行商人
【レベル】261(*隠蔽中)
【状態】健康
【ユニークスキル】(*隠蔽中)
 看破
 無限収納インベントリEX
 全言語理解
 特殊隠蔽
 音楽再生
【スキル】(*隠蔽中)
 ・水魔法500・風魔法500・氷魔法500・雷魔法476・光魔法499・闇魔法353・無魔法386・空間魔法473・火魔法250・土魔法268・草魔法250
 ・付与490・鍛冶361・木工500・採掘102・解体250・家事498・直感412・察知364・索敵500・探査376・隠密413・結界483・魔力精密制御468・夜目287・薬学394・錬金術473・身体強化459・意思疎通388・使用魔力減少339・メモリー416・念話439・歌唱398・演奏321・武器術367・武闘術286・自然回復333
【耐性】(*隠蔽中)
状態異常耐性500・精神耐性500・物理攻撃耐性500・魔法攻撃耐性500
【従魔】・ヴァインタミア→クラオル
    ・エキュルスタミア→グレウス
    ・スピーアスパイダー→ポラル
    ・古代龍エンシェントドラゴン(赤龍)→グレン
    ・ザラムパルドゥス→ネラース
    ・グレッチャジャマド→アクラン
    ・不死鳥フェニックス→ルフス
    ・フェーリスウールヴ→ニヴェス
    ・ミノタウローナ→シュティー
    ・サテュロナ→カプリコ
【契約精霊・妖精】・元精霊王→エルミス
         ・元精霊王→プルトン
         ・精霊帝せいれいてい→ウェヌス
         ・ブラウニー→キヒター
【称号】(*隠蔽中)
 ・異世界転生者
 ・パナーテルの愛を受け取りし者
 ・神を土下座させた者
 ・アクエスの愛娘
 ・エアリルの愛娘
 ・イグニスの愛し子
 ・ガイアの愛し子
 ・創世の女神ヴィエルディーオの孫娘
 ・ヴァインタミア族の英雄ヒーロー
 ・カイザーコングの盟友
 ・神達に愛されし者
 ・精霊に愛されし者
 ・癒しのマスコット
 ・ラブハンド
 ・天災級魔獣の討伐者
 ・キアーロ国の救世主
 ・女神と呼ばれし者
 ・家族を愛し家族に愛される者
 ・弱き者の味方
 ・魔物大量発生スタンピードダンジョン踏襲者
 ・特異ダンジョン踏襲者
 ・稀代きだいの発明家
 ・食の伝導者
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛


(うわぁ……あんまり戦ってないのにレベルの上がり方がえげつない……文字化けはなくなったけど……これ、順番入れ替わるのか……)

「「「え゛ぇぇぇぇえ!?」」」

 ガルドさん達の叫び声にステータスボードから顔を上げると、ガルドさん達は零れ落ちそうなほど目を見開いて、顎が外れそうなくらいくちを開いていた。コルトさんだけは驚いているみたいだけどくちを真一文字に結んでいる。

「おかしいだろ……」
〈なるほど。あのダンジョンはレベルが上がりやすいんだな……もう少し狩った方がよかったか?〉

 ガルドさんは天を仰ぎながら呟き、グレンはニヤリと笑っている。
 ジルは……なんかすごく嬉しそうなんだけど……


しおりを挟む
感想 1,814

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

公爵令嬢やめて15年、噂の森でスローライフしてたら最強になりました!〜レベルカンストなので冒険に出る準備、なんて思ったけどハプニングだらけ〜

咲月ねむと
ファンタジー
息苦しい貴族社会から逃げ出して15年。 元公爵令嬢の私、リーナは「魔物の森」の奥で、相棒のもふもふフェンリルと気ままなスローライフを満喫していた。 そんなある日、ひょんなことから自分のレベルがカンストしていることに気づいてしまう。 ​「せっかくだし、冒険に出てみようかしら?」 ​軽い気持ちで始めた“冒険の準備”は、しかし、初日からハプニングの連続! 金策のために採った薬草は、国宝級の秘薬で鑑定士が気絶。 街でチンピラに絡まれれば、無自覚な威圧で撃退し、 初仕事では天災級の魔法でギルドの備品を物理的に破壊! 気づけばいきなり最高ランクの「Sランク冒険者」に認定され、 ボロボロの城壁を「日曜大工のノリ」で修理したら、神々しすぎる城塞が爆誕してしまった。 ​本人はいたって平和に、堅実に、お金を稼ぎたいだけなのに、規格外の生活魔法は今日も今日とて大暴走! ついには帝国の精鋭部隊に追われる亡国の王子様まで保護してしまい、私の「冒険の準備」は、いつの間にか世界の運命を左右する壮大な旅へと変わってしまって……!? ​これは、最強の力を持ってしまったおっとり元令嬢が、その力に全く気づかないまま、周囲に勘違いと畏怖と伝説を振りまいていく、勘違いスローライフ・コメディ! 本人はいつでも、至って真面目にお掃除とお料理をしたいだけなんです。信じてください!

見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです

珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。 その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。 それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

おせっかい転生幼女の異世界すろーらいふ!

はなッぱち
ファンタジー
赤ん坊から始める異世界転生。 目指すはロマンス、立ち塞がるのは現実と常識。 難しく考えるのはやめにしよう。 まずは…………掃除だ。

【12月末日公開終了】これは裏切りですか?

たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。 だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。 そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。