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6章

便利なスライム

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 【スライム液】が使えることがわかったので、次はサンドスライムの核と【スライム砂】だ。
 【スライム砂】は鑑定では使用用途不明って書いてあるけど、サラサラで水を吸収する性質があるみたい。
 さすがに大量の水は吸収しきれないみたいだけど、肌の水分などなくなると困るものは吸い取らないという便利仕様だった。
 サラサラな砂で思いついたのが砂時計だったので、とりあえず三十秒タイプをひとつ作ってみた。

「お。結構可愛くできたかも」

 売っていてもおかしくない出来栄えに気を良くして一分タイプと二分タイプも作ってみた。

「作ったはいいけど、使うことなさそうだな……ま、いいか! 見てるだけでもまったりするし、目の保養ってことで」

 同じく、サンドスライムの核も水を吸収する性質を持っていたので、除湿剤として使えるんじゃないかとお風呂場と洗面所に置いてみた。
 もうひとつ実験としてシイタケとサンドスライムの核を同じ箱に入れてシイタケの乾燥具合を調べてみることにした。

 吸収性に優れているなら珪藻土のようにバスマットとかコースターみたいなのを作れるんじゃないかと魔力を込めたり、多めの水を入れて混ぜてみたりしたけど固まってくれない。
 あーでもないこーでもないといろいろと試してみたけど、いいアイディアが浮かばず保留にすることにした。

「うーん……できそうな気がするんだけどなぁ……思いつくまで放置だな」


 【スライム泥】を片手にこれはどうしようかと首を捻る。泥ではあるけど、固めの泥で泥団子なんかはすぐに作れそう。
 クレイスライムの核を水と一緒に火を通すと泥水に変わり、そのまま火を通し続けるとただの泥になった。やはり、核の水分が蒸発するとドロップ品と同じになるみたい。
 泥をいじくりまわしていると乾燥してきてドロッドロのボッテボテになり成形しやすくなった。

「泥……泥ねぇ……泥ってなんの使い道がある? クレイって粘土じゃないの? この感じだと土器作るくらいしか……」

 独り言を呟いてから気が付いた。
 食器作るのに使えるんじゃない? しかも、さっきの吸収する砂と一緒に使えばコースターができるんじゃない?

 【スライム砂】と【スライム泥】を混ぜると固まってくれたけど、砂を入れすぎると成形する前に固まってしまい、少なすぎると成形しても形が崩れてしまう。
 砂の量を調節しつつ成形してやっとできたと思ったら少しの衝撃で割れてしまった。

「なんで!? せっかくできたと思ったのに!」

 頑丈になるように魔力を込めてみると、今度は吸水してくれない。

「むぅ……もしかして焼かなきゃダメなのかな?」

 グレンに念話で焼けるか聞いてみると、さすがに食器を焼いたりはできないらしい。しかも何時間もともなれば魔力が持つかわからないと言われてしまった。
 窯がないと焼けない。どこか焼き物が特産の街かなんかで焼いてもらえばいい。
 それならいっぱい持っていって一度に焼いてもらいたい。
 生活魔法で乾かせちゃうから需要があるかはわからないけど、気がすむまで作っちゃおう!
 大小様々なコースターとバスマットの成形だけして無限収納インベントリにしまい、次はお皿の形にチャレンジしてみようとしたけど、上手くできない。ロクロって大事なんだなと痛感した。

「ぬわ~! ロクロ欲しい! 欲しいけど、ロクロってどうやって作るの?」

 板が回転してくれればいい。風魔法を使うのはいいけど、オンオフのスイッチも欲しいし、そもそも速さの調節とかってどうやればいいの?
 散々悩んで、王都で鑑定の報酬として回転する刃の魔道具をもらったのを思い出した。思い出したけど、これを応用するとしてもどうすればいい?

「だー! 鑑定してもどうなってるのかわかんない! ((プルトン、エルミス、ヘルプ!))」
《はーい! 来たわよ~!》
あるじよ、何か問題か?》

 念話で呼ぶとすぐに来てくれたプルトンとエルミスにロクロの話しをすると、プルトンでも作れなくはないけど属性が違うため、精霊の国で魔道具を作っている子達に頼んだ方が確実だと言われた。

《セナちゃんならイメージで作れそうな気がするけど……セナちゃんが手に入れたスライムの核も精霊の子達に渡してあげたいから、街かなんかに着いたらみんなで精霊の国に行きましょ?》
《そうだな。馬車ごとあるじがキヒターの教会に飛ぶのは負担になるだろうから、ウェヌスの指輪を使った方がいい》
「そっかー。じゃあ、とりあえずこれは保留だね。二人ともありがとう。呼んじゃってごめんね」

 二人に謝ると、《むしろ頼りにしてくれて嬉しい》と言ってくれた。
 優しい!

《ねぇ、セナちゃん。そろそろ夜ご飯の準備しなくていいの?》
「あれ? もうそんな時間?」
《あぁ。もう夕刻近い。手伝おう》
《私も手伝うわ!》

 二人が手伝ってくれると言ってくれたので、コテージからマンションのキッチンに移動して料理開始!
 夜ご飯は醤油ベースのトロだく天津飯と、すりレンコンの中華スープ。グレンのために羽根付き餃子も作った。デザートも作ったら完成だ。

 エルミスとプルトンが微笑みながら顔を見合わせていたのを料理に夢中になっていた私は気が付いていなかった。

 ご飯ができたらみんなを呼んで夜ご飯。

『ねぇ、主様。これもスライム?』
「そうだよー! 天津飯のこのタレと餃子の羽根がスライムの核で作ったやつだよ! どうかした?」
『ふふっ。やっぱり。主様が主様だわ』
「どゆこと?」
〈おかわり!〉

 クラオルと話している途中でグレンに餃子のおかわりを作ることになり、よくわからないまま話が流れてしまった。
 みんなニコニコしながら食べているし、わざわざ蒸し返すこともないかとそのまま食べ進めた。

「デザートはミルクプリンだよ!」
『まさか……』
《これもスライムの核よ!》
〈こんなに美味いならスライムでも構わん〉

 片栗粉としてだけじゃなく、ゼラチン代わりにも使えるかと実験したら使えちゃったんだよね。
 ミルクプリンはきな粉よりも好評でみんなおかわりしていた。
 きな粉も美味しいのに……今度違うきな粉デザート作ってあげよう!

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