転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

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5章

爆発=ロマン

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 爆発音に何が起きたのかと警戒したけど、人の気配がお城の外に出て行ったのでお城の中じゃないっぽい。

《私が調べてくるわ! エルミス、セナちゃんをお願いね!》
《わかった。気をつけろ》
《まかせて!》

 プルトンはすぐに戻ってきた。なんと、お城の敷地内にある魔法省の建物が爆発したらしい。誰かに攻められたとかではなく、何かの魔道具が暴発しただけ。ケガ人はいたけど幸い軽傷ですんだみたい。

《建物の一角が崩れてて騎士団が瓦礫からケガ人を助けてたんだけど、「騒がせやがって」って話してたからすぐに理由がわかったわ。なんの魔道具が爆発したのかはわからないけど、私達に影響はないと思うわ》
「そっか。害がないなら気にしなくて良さそうだね。リバーシの続きしようか?」

 リバーシを再開して30分ほど経った頃ブラン団長が部屋に訪ねてきた。

「……先程の爆発音だが、魔法省で押収した魔道具を調べていたら暴発したらしい。城でなにかあった訳ではないから安心してくれ」

 わざわざそのことを教えに来てくれたらしい。
 相変わらず優しい!

「そうなんだ。気遣ってくれてありがとう」
「……いや……それはいいんだが……」

 歯切れの悪くなったブラン団長にどうしたのかと首を傾げる。

「……もし、もし可能なら魔道具の鑑定をお願いしたい。嫌なら断ってくれて構わない」

 詳細を求めると、さっきの爆発はジルベルト君の実家から押収した魔道具か魔法省で研究されていた魔道具のどちらかだったらしい。
 押収した魔道具はもちろん魔法省で研究されていた魔道具は、関係者が捕えられ用途不明なモノが多いらしい。鑑定をかけてもわからないモノや隠蔽されているモノが溢れていて解析が追いつかないんだそう。
 押収した魔道具は隔離している当主に聞けばいいと思ったけど、全てを本人に確認するのは難しいらしい。
 まぁ確かに王城でどうやって調べたのかと疑問になるかと納得した。

「ネライおばあちゃんに頼んだ服が完成するまではお城にお世話になるつもりだから大丈夫だよ」
「……助かる。すまない」
「じゃあ早速行こう!」
「……都合がいい日で構わない」
「こういうのは早い方がいいよ。危ないからね。あ! でも後片付けとかあるだろうから大丈夫になったら教えて?」
「……いや。可能なら今すぐ頼みたい」

 ジルベルト君にとって魔法省は鬼門なのでお留守番だ。
 ブラン団長の案内で魔法省に向かう道中、「またセナに頼ってすまない」と謝られた。

 魔法省は王城と比べれば小ぶりではあるものの石造りの頑丈そうな建物だ。その建物の端が瓦礫の山と化していて、爆発に巻き込まれた人が軽傷ですんだのは運が良かったんだなと思うくらいの規模だった。

「……爆発したのは検証部屋と呼ばれている一室だったためこの程度で済んだ。別部屋にまとめて魔道具を保管してある」
「なるほど。保管している部屋で爆発あったら他の魔道具もダメになっちゃうもんね」
「あ、あの~」

 ブラン団長と話していると後ろから声をかけられた。
 振り向いてみると顔色が白すぎるくらいのひょろっとした気弱そうな男性がいた。胸の前で両手をモジモジさせながらこちらを窺っている姿は「女子か!」とツッコミたくなった。

「……失礼。貴殿は?」
「えっと……シヤモです。ブラン様が来たら状況を説明しろって言われました」

 この気弱そうな人が爆発の当事者だったらしい。ケガはポーションで回復され、もうなんともないんだそうだ。
 説明を聞きながら中に案内してもらった。
 中はお世辞にもキレイと言えないくらいモノが乱雑に置かれていた。廊下も人はすれ違えるくらいの広さはあるけど、火事が起きたら逃げられない人が続出しそうだ。

「ここは平民エリアなのでちょっと散らかっています」
「……そうだな。散らかっているな」

 モヤシ……否。シヤモさんの説明では出入口は多く、上位貴族用・下位貴族用・平民用・使用人用と分かれていて、一番大きな正面の扉はお偉いさんや部外者しか使わないんだそう。さらに普段使っていない出入口もあり、非常時用の脱出ルートも合わせたらいくつあるのかわからないらしい。
 話を聞いてブラン団長は顔を引きつらせていた。

(あれ? ジルベルト君はこの魔法省にいるのはエリートだけって言ってなかったっけ?)

 聞いてみると平民の中でも使はお偉いさんにされてここに配属になっていたらしい。ブラン団長が「調べるか」と呟いていた。


 爆発現場に案内してもらい、魔道具の破片を集める。精霊達に協力してもらったけど、粉々になっていたので全ては集められなかった。破片を調べてみると暴発なんかじゃなくて、そもそも爆発させる魔道具だった。

「あぁ……魔物対策の魔道具だったんですね~。見た目が違うのに既に販売までされている魔道具ですか……アテがハズレました~」
「……アテがハズレたとは?」
「上の人達が隠していた魔道具も調べられるって聞いたからこの魔道具検証に立候補したんですよ~。面白いモノがあると思って。例え爆発しようと、魔道具はロマンなんですよ! 使い方を間違えると爆発する。そんなところも魔道具の魅力です! つまり、爆発を含めロマンなんです! フフフフフ……」

 ブラン団長の問いかけに、元々の顔色が青白いのに恍惚こうこつとした表情で熱く語る姿は、不気味すぎる。
 思わず一歩下がるとグレンが抱っこしてくれた。怖がっていると思ったらしい。ある意味怖いのでそのまま甘えることにした。
 このモヤシ大丈夫かな?と鑑定をかけてみたら称号に“酔狂者すいきょうもの”と“魔道具マニア”と書いてあってものすごく納得した。


 魔道具をまとめて保管してある部屋に着くと、ひどかった。何がひどいって魔道具が所狭しと積んであって、何がなんだかわからない。奥のほうでは積み上げられた魔道具が崩れてなだれが起きている。しかも回収した場所などで分けられておらず、全部まとめてこの部屋に置いてあるらしい。
 危険すぎるし、そりゃアテもハズレるわ……って言うか汚すぎ! これは本格的に整理整頓しないとまずそうだわ。

「ねぇ、ブラン団長。これを整理するにあたってがあるんだけど」
「……可能な限り応えよう」

 ブラン団長にを伝えると明日には用意できると言ってもらえたので、今日は帰ることになった。
 ブラン団長いわく、王城に報告がきていないことが多いのでと調べるんだそう。明日の朝報告に来てくれるらしい。

 ブラン団長に部屋まで送ってもらって、予想外に濃い一日だったなぁとジルベルト君の紅茶を飲む。
 再びリバーシに夢中になっているみんなを見守りながら、これからの予定を頭の中で組んでいく。


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