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5章
パパ達の画策
しおりを挟む「そう言えば、あの不快なゴミ達はお仕置きしたから安心していいぞ」
「んん?不快なゴミ?」
アクエスパパの発言に首を傾げる。
「セナの事を愛妾にするなどとぬかしおったやつじゃ」
「あぁ!カリダの街の領主?」
「そうじゃ!妾達の可愛いセナを愛妾などとほざきおったからの。妾達から呪いをかけたんじゃ」
「えぇ!?」
「当然だな。ついでにスキルや魔法等も一切使えなくしておいたから安心していいぞ」
「えぇ!?」
「本当はもっと早くに罰を与えようと思っていたんですけど、セナさんを守るために騎士団が頑張って調べていたので見守っていたんです。不快な思いをさせてしまってすみません」
ショボンと肩を落としたエアリルパパに謝られてしまった。
「あの兎族がよう調べておったの」
(パブロさんかな?)
「あのゴミが宣言した時、アクエスもエアリルもイグニスもブチ切れそうで止めるの大変だったんだよ」
「ま、まさか……あの時の雷雨ってパパ達のせい?」
疲れたように言うガイ兄に確認する。
「セナが愛妾なんて言われたんだ、怒るのも当たり前だろ?」
ふふんと得意気にアクエスパパが言い放った。
(なるほど。がっつりパパ達のせいだったのね。そして当たり前ではないと思うよ?)
「他にもセナさんをジロジロと見ていて不快だったので、あの冒険者パーティや騎士団にもスキルなど魔力の使用禁止と毎日悪夢にうなされるようにしておきました」
ニッコリとエアリルパパが言う。
「えっと……ありがとう?」
(そこまでしなくても、犯罪奴隷なのに……第一騎士団の他のメンバーは平民だっけ?確かブラン団長が冒険者になるしかないって言ってたけど、スキル使えないって厳しくない?)
「セナの安全を脅かす奴は許せないからな」
私の頭を撫でながら微笑むアクエスパパ。
(笑顔で怖いこと言うのね……)
「もしかして……王都に来る途中魔物に一切遭遇しなかったのもパパ達?」
「そうだ。セナが病み上がりだったからな。魔物が出たらセナは索敵したりとゆっくりできないだろ?」
「なるほど。野営の時も森で採取した時も一切気配がなかったもんね。納得。みんなありがとう!」
「セナさんが喜んでくれると僕達も嬉しいです!」
「それと今回の件もじゃな」
「今回?」
「城で色々あったじゃろ?」
「あぁ!……って、どれ?」
心当たりが多すぎて首を傾げる。
「まず、セナさんが“ボクちん”と“ギラギラおばさん”って呼んでた二人だね」
ガイ兄が教えてくれた。
「まず?」
「そう。まず。この“ボクちん”は元々何も才能もないのに努力もしないから一人じゃ生きられないんだけど、こいつは悪夢を見るようにしておいたよ。どんなに寝たくなくても時間がきたら眠りに落ちて悪夢を見るんだ。
次に“ギラギラおばさん”だけど、そもそもの全ての原因がこいつだからね。魔法やスキルを使えなくさせることはもちろん、魅力をマイナスにして全ての者から嫌われるようにして、見た目の加齢を加速させたんだ。後はオマケで私達の呪いも付けたよ」
ガイ兄がニコニコしながら説明してくれた。
「うわぁ……あの人に一番堪えそうな罰だね…」
「堪えないと罰にならないからね。でも、発狂もできないようにしているし、むしろ長生きすると思うよ」
(うひぃー。えげつないな……)
「あとセナが“クソジジイ”や“老害”と言っておったやつじゃの。
こやつは利用すればいいとセナが助言したことで繋がれたまま生かされることとなったんじゃが、隷属の首輪を破壊できないようにしたんじゃ。セナの魔道具で魔力が使えないが、暗殺者がきた時に殺されたら困るじゃろうから、そういう時だけ例外的に魔力を使えるようにしておいた」
イグ姐が続いて説明してくれた。
「おぉ!それは多分ブラン団長が喜んでくれると思う!ありがとう!」
「うむ。だが、それでは罰にならんからな。やつには“ギラギラおばさん”の今までしてきたことと、自分がしてきた行いを眠る度に見せている。ちゃんと発狂したりしないようにしているから、情報が聞けないなんてことはないぞ!」
アクエスパパがテンション高く説明を締めくくった。
「それまたすごい罰だね…」
(神様達怒らせたらヤバいじゃん…)
「残るはこの“老害”に命令されてた人達ですが、更生できそうな人は軽めに、心が悪に染まっている人は厳重な罰にしました。ただ、心が壊れちゃってる人が多くて……この人達は安らかに眠るように息を引き取らせました。幸せになれるであろう、愛に溢れる方々の子供として徐々に転生させています」
エアリルパパが悲しそうに言う。
「そっか……次の人生は幸せになれたらいいな」
「そうだな。俺達がここまで関与したのは初めてだ。転生などは普段、自然に割り振られる。一応次の一生は、悪しき者は苦労するように、善き者は良き人生が送れるようになってはいるが、こやつらはセナが関わったおかげで次の人生は自分次第で幸せを掴める。セナが関わらなければ死ぬまで酷使されていただろう。
住んでいる者全てに俺達が関わればバランスが崩れる。いい者と悪い者がいてバランスが保たれているからな。セナが気にすることはない」
私を抱き寄せ頭を撫でながらアクエスパパが言う。
「うん。それでもやっぱり幸せがいいね」
「そうだな」
「あ!まだ他にもいたね」
ガイ兄がポンッと手を叩いた。
「他にも?」
「セナさんはこれから捕まえる気でしょ?」
「あぁ……うん」
「すぐに神罰を与えても良かったんだけど、セナさんが捕まえるまで待つことにしたんだ。捕まえたらちゃんと罰を与えるから安心してね」
「あやつも不快じゃからな!妾達がしっかりと罰を課すからの」
「わぉ……ありがとう。被害者も浮かばれると思う」
(内容は聞かないでおこう……)
「ふむ。自分ではなく他者を思いやるとは相変わらずセナは優しいのぅ」
イグ姐がしみじみ言うと、神達みんなが揃って頷いた。
別に優しいワケじゃないんだけど……ツッコんだら、さらに言われそうだから止めておこう。話題変えちゃお!
「ねぇ、あんまり関わっちゃいけないって言ってたけど、私はいいの?」
「セナは特別だからな!」
(いやいや!答えになってないよ!)
アクエスパパをジト目で見る。
「今日はそのことでクラオルに頼んで来てもらったんだよ」
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