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5章

大事な話【1】

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 ガイにぃに言われて首を傾げる。

「セナさんは種族が“神人しんじん”でしょう?」
「うん。ステータスだとそうなってたよ」
神人しんじんは普通の人間とは少し違うんだよ。私達神のチカラを少し受け継いでるんだ。
ただ、生きるのに必要な食事や睡眠などは人間と変わらない。セナさんは魔力拡張もしたから長生きになるし、努力次第では私達神に匹敵するくらいにはなれると思うけれどね」

 ガイにぃが説明してくれる。

「僕達が体を作ったので神人となりました。僕達が作ると神のチカラで作るのでどうしてもそうなってしまうんです。僕達のチカラを引き継いでいるので僕達が関わっても大丈夫なんです」

 ガイにぃの説明を引き継いでエアリルパパが説明してくれた。

「あぁ。本来この世界の者じゃないからか」
「…はい。嫌ですか?」

 エアリルパパが泣きそうな顔で見てきた。

「ううん。全然嫌じゃないよ。パパ達のおかげでいっぱい助かってるもん!ただ私だけいいのかな?とは思う」
「セナは元々違う世界で天寿を全うするはずだった所を俺達のミスでこちらに来たからな。気にしなくていい」
「むしろセナが来てくれたお陰で楽しいからのぅ。もっとワガママ言ってもいいんじゃぞ?」
「ふふっ。ここまで関わりたいと思った人が初めてだからね。セナさんは気にしなくて大丈夫だよ。それにセナさんも私達に色々してくれているからね」
「本当に気にしないで下さい。セナさんが僕達と距離を置くなんて悲し過ぎます」

 ウルウルとエアリルパパが見つめてくる。

「いいならいいんだけど…」
「関わっても問題もないし、俺達がいいんだからいいんだ!」

 アクエスパパが言うとみんな揃って頷いた。

(それでいいのか神様よ……)
「それで、本題なんだけどね」
(これが本題じゃなかったのか……)
「グレウスとセナさんの従僕じゅうぼくの種族について話しておいた方が良いと思って」

 ガイにぃがグレウスの名前を呼ぶとグレウスがビクッと反応した。

「グレウスと従僕じゅうぼく?グレウスはクラオルと同じヴァインタミアじゃないの?従僕じゅうぼくってなんの事?」

 膝の上のグレウスを撫でながら聞き返す。

「順番に説明するよ。まずはグレウスだね。グレウスはヴァインタミアとは少し違うんだよ。私達も同じだと思っていたんだけど、セナさんの従魔になった事で色々と疑問が出てきて調べたんだ」
「疑問?」
「グレウスの種族はヴァインタミアの始祖に当たるエキュルスタミアという種族なんだ。昔は“黒い災厄”と呼ばれていて、性格は獰猛どうもう。個々でも強いんだけど集団で行動して狩りをする。骨も全て食べ尽くす習性から、エキュルスタミアが通った後は何も残らないと言われて恐れられていたんだ」

 ガイにぃはキリのいい所でお茶を飲んで喉を潤した。

「クラオル達ヴァインタミアはエキュルスタミアから派生した種族なんだよ。
私達も見守っているとはいえ全てに関与はできない。絶滅したと思われていたんだけど、今回調べたら呪淵じゅえんの森で少数が生き残っているのがわかったんだ。
グレウスは生まれて間もない頃に迷子になってヴァインタミアの生息域に入っちゃったみたいだね」
「なるほど」
「血統は純粋なエキュルスタミアだから、クラオル達ヴァインタミアとは違うんだ」
「へぇー。こんなに可愛いのに黒い災厄なんて失礼しちゃうね」

 撫でながら言うとグレウスがスリスリと擦り寄ってきてくれた。

「ふふっ。可愛いねぇ。もちろんクラオルも可愛いよ」

 クラオルとグレウスを撫でくり回す。




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