95 / 537
5章
大事な話【1】
しおりを挟むガイ兄に言われて首を傾げる。
「セナさんは種族が“神人”でしょう?」
「うん。ステータスだとそうなってたよ」
「神人は普通の人間とは少し違うんだよ。私達神の力を少し受け継いでるんだ。
ただ、生きるのに必要な食事や睡眠などは人間と変わらない。セナさんは魔力拡張もしたから長生きになるし、努力次第では私達神に匹敵するくらいにはなれると思うけれどね」
ガイ兄が説明してくれる。
「僕達が体を作ったので神人となりました。僕達が作ると神の力で作るのでどうしてもそうなってしまうんです。僕達の力を引き継いでいるので僕達が関わっても大丈夫なんです」
ガイ兄の説明を引き継いでエアリルパパが説明してくれた。
「あぁ。本来この世界の者じゃないからか」
「…はい。嫌ですか?」
エアリルパパが泣きそうな顔で見てきた。
「ううん。全然嫌じゃないよ。パパ達のおかげでいっぱい助かってるもん!ただ私だけいいのかな?とは思う」
「セナは元々違う世界で天寿を全うするはずだった所を俺達のミスでこちらに来たからな。気にしなくていい」
「むしろセナが来てくれたお陰で楽しいからのぅ。もっとワガママ言ってもいいんじゃぞ?」
「ふふっ。ここまで関わりたいと思った人が初めてだからね。セナさんは気にしなくて大丈夫だよ。それにセナさんも私達に色々してくれているからね」
「本当に気にしないで下さい。セナさんが僕達と距離を置くなんて悲し過ぎます」
ウルウルとエアリルパパが見つめてくる。
「いいならいいんだけど…」
「関わっても問題もないし、俺達がいいんだからいいんだ!」
アクエスパパが言うとみんな揃って頷いた。
(それでいいのか神様よ……)
「それで、本題なんだけどね」
(これが本題じゃなかったのか……)
「グレウスとセナさんの従僕の種族について話しておいた方が良いと思って」
ガイ兄がグレウスの名前を呼ぶとグレウスがビクッと反応した。
「グレウスと従僕?グレウスはクラオルと同じヴァインタミアじゃないの?従僕ってなんの事?」
膝の上のグレウスを撫でながら聞き返す。
「順番に説明するよ。まずはグレウスだね。グレウスはヴァインタミアとは少し違うんだよ。私達も同じだと思っていたんだけど、セナさんの従魔になった事で色々と疑問が出てきて調べたんだ」
「疑問?」
「グレウスの種族はヴァインタミアの始祖に当たるエキュルスタミアという種族なんだ。昔は“黒い災厄”と呼ばれていて、性格は獰猛。個々でも強いんだけど集団で行動して狩りをする。骨も全て食べ尽くす習性から、エキュルスタミアが通った後は何も残らないと言われて恐れられていたんだ」
ガイ兄はキリのいい所でお茶を飲んで喉を潤した。
「クラオル達ヴァインタミアはエキュルスタミアから派生した種族なんだよ。
私達も見守っているとはいえ全てに関与はできない。絶滅したと思われていたんだけど、今回調べたら呪淵の森で少数が生き残っているのがわかったんだ。
グレウスは生まれて間もない頃に迷子になってヴァインタミアの生息域に入っちゃったみたいだね」
「なるほど」
「血統は純粋なエキュルスタミアだから、クラオル達ヴァインタミアとは違うんだ」
「へぇー。こんなに可愛いのに黒い災厄なんて失礼しちゃうね」
撫でながら言うとグレウスがスリスリと擦り寄ってきてくれた。
「ふふっ。可愛いねぇ。もちろんクラオルも可愛いよ」
クラオルとグレウスを撫でくり回す。
739
お気に入りに追加
24,616
あなたにおすすめの小説
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
転生幼児は夢いっぱい
meimei
ファンタジー
日本に生まれてかれこれ27年大学も出て希望の職業にもつき順風満帆なはずだった男は、
ある日親友だと思っていた男に手柄を横取りされ左遷されてしまう。左遷された所はとても忙しい部署で。ほぼ不眠不休…の生活の末、気がつくとどうやら亡くなったらしい??
らしいというのも……前世を思い出したのは
転生して5年経ってから。そう…5歳の誕生日の日にだった。
これは秘匿された出自を知らないまま、
チートしつつ異世界を楽しむ男の話である!
☆これは作者の妄想によるフィクションであり、登場するもの全てが架空の産物です。
誤字脱字には優しく軽く流していただけると嬉しいです。
☆ファンタジーカップありがとうございました!!(*^^*)
今後ともよろしくお願い致します🍀
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!
饕餮
ファンタジー
書籍化決定!
2024/08/中旬ごろの出荷となります!
Web版と書籍版では一部の設定を追加しました!
今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。
救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。
一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。
そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。
だが。
「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」
森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。
ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。
★主人公は口が悪いです。
★不定期更新です。
★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。
転生幼女の愛され公爵令嬢
meimei
恋愛
地球日本国2005年生まれの女子高生だったはずの咲良(サクラ)は目が覚めたら3歳幼女だった。どうやら昨日転んで頭をぶつけて一気に
前世を思い出したらしい…。
愛されチートと加護、神獣
逆ハーレムと願望をすべて詰め込んだ作品に…
(*ノω・*)テヘ
なにぶん初めての素人作品なのでゆるーく読んで頂けたらありがたいです!
幼女からスタートなので逆ハーレムは先がながいです…
一応R15指定にしました(;・∀・)
注意: これは作者の妄想により書かれた
すべてフィクションのお話です!
物や人、動物、植物、全てが妄想による産物なので宜しくお願いしますm(_ _)m
また誤字脱字もゆるく流して頂けるとありがたいですm(_ _)m
エール&いいね♡ありがとうございます!!
とても嬉しく励みになります!!
投票ありがとうございました!!(*^^*)
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。