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5章

誤解

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「驚かせてごめんなさい」

エアリルパパがショボーンと肩を落としてしまった。

「セナは俺達が嫌いなのか!?」

アクエスパパに詰め寄られた。

「へ?」
「さっき言っていただろう?」
「あぁ!違うよ。あれはガイにぃに言ってって言われたんだよ」
「ガイア!冗談が過ぎるぞ!」

アクエスパパが今度はガイにぃに詰め寄って怒りだした。

「みんながさっさと来ないのがいけないんだよ。セナさんを待たせた罰だね」
「ぐっ……」

ガイにぃとアクエスパパの争いはガイにぃに軍配が上がったらしい。
そもそも何の争いなのかよく分からないが。

「久しぶりだねぇー」
「セナさん……怒ってない?」

三人に挨拶すると、エアリルパパがウルウルと子犬のように見られた。

「んん?何のこと?」

可愛いなぁと思いながら心当たりがないので首を傾げる。

「あの廃教会を直した時にパナーテル様が神力を使っただろ?あの時セナは怒っていたからな……」

アクエスパパが気まずそうに説明してくれた。

「そんな事?あれパパ達関係なくて、パナーテル様が勝手にやったんじゃないの?」
「そうだ!俺達は知らなかった……」

アクエスパパがコブシを手が白くなるほど握っている。

「すぐに怒りにいったんだよ。セナさんを危険に晒すなんて言語道断だからね」
(ガイにぃすごい笑顔なのに“言語道断”にチカラが入ってたな)
「あれから教会に来てもらえなかったので、てっきり怒っているのかと……」

エアリルパパがショボーンと小さめな声で言う。

「なんでパパ達に怒るの?パナーテル様に怒ったとしてもパパ達は悪くないでしょ?コテージで会わなかったから忙しいのかと思ってたよー」
「うぅ……セナさーん!」
(うおっ!)

エアリルパパがソファに座っている私に突っ込んできて、ギュウギュウと抱きしめられた。
肩に乗っていたクラオルとグレウスと、くっ付いていたポラルは避難したらしい。
ヨシヨシと撫でてあげると更にギュウギュウと抱きしめられた。

「うっ……パパ。流石にちょっと苦しい……」
「わぁ!ごめんなさい!大丈夫ですか?」
「うん。大丈夫だよ」
「では、怒ってたわけではないのか?」

アクエスパパに確認された。

「うん。教会の修理が終わって特に用がなかったから行かなかっただけだよ」
「そうか……良かった……」

パパ達とイグねぇがホッと息を吐く。

わらわ達の勘違いだったんじゃな……」
「報告に行けば良かったね。ごめんね?」
い。わらわ達が勝手に勘違いしただけじゃからな」
「とりあえず全員座ろうか?」

ガイにぃに促されてパパ達がいつものポジションに座った。
いつものポジションではあるけど、パパ達がいつもよりピッタリくっ付いている。

「そうだ!アクエスパパとガイにぃ、お魚と木ありがとう!とっても助かった!」
「喜んでくれて嬉しいよ」
「セナが欲しがっていた魚がわからなかったからな。とりあえず色んな種類を送ったんだ」
「ありがとう!早速コルクをポーションの蓋にして、お魚は食べたよ!」

お礼を言うとアクエスパパが頭を撫でてくれた。

「あと、コテージも作業部屋と客室が増えてた!みんなありがとう!」
「作業部屋を増やすのに2階も広くなったから増やしたんじゃ。セナの笑顔が見られて嬉しいのぉ」
「これは付けてていいのかな?」

ガイにぃが私が作ったコイン型ネックレスを手の平に乗せて聞いてくる。

「あ。日頃のお礼にって思ったんだけど、いらなかった?ごめんね」
「違う違う。誤解しないで。これが棚に入っていた時にエアリルが最後の贈り物かもしれないって騒いだから、は嫌だから付けて無かったんだよ」

ガイにぃがコインを撫でながら言う。

「初めてまともに作るのはパパ達にと思って作ったんだけど、好みじゃなかったら捨てちゃって大丈夫だよ」
「そんなことはありません!」

隣りに座っているエアリルパパにいきなり大声をあげられてビックリする。

「セナがそんな風に想って作ってくれた物を俺達が捨てるわけないだろ?」

みんなその場で付けてくれるらしい。
付けた瞬間ポワァっとネックレスのコインが淡く光った。

(え!?なんで光った!?)
「「「「これは……」」」」
「え!?何?なんか変?大丈夫?」
「いや。癒されるな」

アクエスパパの言葉に全員が頷いている。

「へ?」
「ふふふっ。この魔道具は癒しの効果があるみたいだね」

ガイにぃが説明してくれた。

「へ?魔道具じゃなくてアクセサリーのつもりで作ったんだけど……」
「おそらくセナの魔力がたっぷりと込められておるからこうなったんじゃろうな」
「私達にはとても嬉しいプレゼントだよ」
「えっと……喜んでくれたなら良かったのかな?」
「セナさんからのプレゼントで喜ばないわけがないです!」

鼻息荒くエアリルパパが力説する。

「そうなの?」
「そうです!」

エアリルパパがコブシを握って顔を近付けてきた。

「あ。うん。喜んでくれて嬉しいよ」
「はいっ!」

エアリルパパは私の返事を聞いてニコニコと元の体勢に戻った。

(勢いにビックリしたわ。そこまで気に入るもんでもないと思うけど…まぁ、喜んでくれてるからいいかな?)


「そうだ!みんなに紹介するね。この可愛い子がグレウスで、青い精霊エルミスと黒い精霊プルトンと光の精霊ウェヌスと蜘蛛のポラルだよ。今は一緒じゃないけど、ドラゴンのグレンとブラウニーのキヒターもいるよ」

『よろしくお願いしますっ』

〔ヨロシクオネガイシマス〕

私が紹介すると全員頭を下げる。
(精霊達がみんな敬語になってる……)

「うんうん。見ておったがちゃんとセナの役に立っておるようじゃの」

イグねぇが笑顔で頷き返した。

「この先も僕達のセナさんをよろしくお願いしますね」

エアリルパパが私の頭を撫でながら言う。

『はいっ!』

〔ハイ〕

「うんうん。素直でいいね」

ガイにぃもみんなの反応を見て満足そうに頷いている。




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