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5章

報告

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部屋に戻るとすぐに着替えていつもの格好に戻った。

「あぁー。疲れたねぇ」
ソファに座りクラオルとグレウスをスリスリして癒して貰う。

「ポラルもありがとうね」
ずっと部屋で待っていてくれたポラルもねぎらう。

〈セナがいきなり笑い出すからおかしくなったのかと思った…〉

「おかしくなった訳じゃないよー。元々おかしいかもしれないけど。あれは本当にビックリしたんだけど、意外過ぎて面白くなっちゃったんだよ。こんな所に繋がりが!って。
私が予想してたのはバレないように飲み物とかに薬混ぜられたり、王様達から呼び出しが…ってコソコソしてる感じだったのに、まさか正面から殴り込みに来るとは思わないじゃん」

『そうね。あれはワタシもビックリしたわ』

「結果的には自分で用意した隷属の首輪で逃げられないし」

『主様が隷属の首輪を何に使うのか疑問だったけど、ちゃんと考えてたのね』

「ふっふっふ。まぁね!って言ってもそれくらいだけどね。きっとブラン団長達があっちの事件に関しても色々聞いてくれてると思うから結果待ちだね!」

『そうね。そろそろ…〈夕飯だな!?〉』
グレンがクラオルが話してる途中に割り込んでご飯の催促。
話しがひと段落するのを待っていたらしい。

「そうだねー。作ろうか」
グレンの勢いに笑いながら答え、コテージへのドアを出して移動した。

〈今日はなんだ?肉か?〉
ドアに入るとグレンが聞いてくる。

「んー…何がいいかなぁ?考え中」
キッチンに向かって歩きつつグレンに答える。

(うーん。本当にどうしようか…)

お昼ご飯がカツ丼だったため私的には肉以外が良い。

キッチンに着き、無限収納インベントリをスクロールして考える。

「魚の煮付けとキャベツのナムルにしよう!」

〈肉じゃないのか?〉
一緒にキッチンに来たグレンがショボンとしながら聞いてくる。

「お肉はお昼に食べたからお魚だよ。ほっこり安心する味」

〈そうか…セナは疲れているからな…我慢しよう…〉
すごーく残念そうにグレンが言う。

『主様が作ってくれるご飯に文句があるの!?』

〈ムッ。文句など言っていない。ただ肉が食べたかっただけだ〉


クラオルとグレンが言い合いを始めてしまったのをスルーして無限収納インベントリで鯛を解体して切り身にする。
切り身を調味料と一緒に煮詰めている間に鶏ガラスープを出して雪平鍋1杯分を魔法で水分を蒸発させて、鶏がらスープの素の粉末を作った。

キャベツを刻んで作った鶏がらスープの素を使ってナムルを作る。
お味噌汁は最後の玉ねぎのお味噌汁。
ご飯を付ければ鯛の煮付け定食の完成。


「はーい!そろそろ落ち着いてね。作り終わったからみんなで食べよ?」

作っている間ずっと言い合いしていたクラオルとグレンに話しかける。

「クラオルもそんなに怒らなくても大丈夫だよ。気遣ってくれてありがとうね。グレンもお肉ばっかりじゃ健康に悪いからお魚と野菜も食べてね」
クラオルを撫でながらグレンに言う。

〈セナが言うなら…セナの料理なら食べる〉

「ふふっ。ありがとう。たぶん美味しいから。テーブルに行こ?」

オロオロしていたグレウスを撫でて、クラオルをいつものポジションの右肩に乗せてダイニングに移動する。

《セナちゃん!いい匂いがするわ!》
どこかに行っていた精霊3人が戻って来た。

「今日は鯛の煮付けとキャベツのナムルだよ」
言いながらみんなに渡していく。

《とても良い香りですね》
ウェヌスもワクワクしている。

みんなでいただきます。

あぁー。
優しい味だわー…
和食最高!

久しぶりにご飯をおかわり。
みんなもいつもよりご飯が進むみたいでクラオルとグレウスもおかわりした。
プルトンとウェヌスは2人でグルメリポーターになっていて、エルミスは無言で食べ続けている。
グレンが物足りなさそうなのでタレをご飯にかけても美味しいよと言うとタレが無くなるまでご飯をおかわりし続けた。

「気に入ったみたいで良かったよ」

〈やはりセナの料理は美味いな〉

『何よ。さっきは文句言ってたじゃないの』

「はいはい。ケンカしないの。ケンカしてるとリバーシの時間無くなっちゃうよ?」

〈『分かった(わ)!』〉
ハモった。

「ふふっ。じゃあ戻ろう」
食べたお皿にクリーンをかけてお城の部屋に戻る。

みんなにリバーシを渡して、ウェヌスとエルミス2人を連れてベッドルームへ。

「風の子達はどう?」

《そうですね。順調です》

わしらを呼んだって事は何かするのか?》

「ちょっとデビト・ワーレスの所に行きたいんだよね」

あるじは昨日も、魔道具作っていて寝ていないだろう?》

「そうだけど、どう動くのか調べたいんだよ。多分近々ネライおばあちゃんの所に取り立てに行くと思うから、その日時も知りたい」

《うーむ…》

《では闇の子を呼びましょう》

「闇の子?」

《それはいいな!そうしよう!》

《セナ様が地下通路を探索したいとの事で風の子を呼びましたが、闇の子も諜報に向いています。むしろ闇の子が情報を得て、風の子が伝令すると言った方が良いでしょう。その場に留まって情報を得るなら闇の子は適しています》

「そうなんだ。お願いしちゃっても良いの?」

《もちろんです》

《闇の子ならばプルトンにも言った方が良いな。拗ねるかもしれん》

念話でプルトンを呼んで訳を説明するとやる気をみなぎらせた。
ウェヌスが闇の子達を呼び、プルトンが指示を出すと闇の子達はフッといなくなった。
本当に隠密みたい。

精霊達と話しているとブラン団長がここに向かっているのが分かったので、リバーシに夢中なクラオル達に教えて、リバーシをダイニングのテーブルに移動させる。
そのままやっていても良かったのにリバーシは一時休戦するらしい。



ブラン団長は少し疲れた様子だった。

「大丈夫?」
ソファに座ったブラン団長に果実水を出して聞く。

「…あぁ。気になっていると思ってな」

「うん。ありがとう」

ブラン団長が説明してくれたのをまとめると、トリスタン君の実家は取り潰し。
先程、フレディ副隊長の指揮で家宅捜索に踏み切った所らしい。
ただ、何人かは逃げられたため引き続き捜索すると。

ギラギラおばさんの実家も色々としでかしていたらしく、現当主夫妻は処罰対象になった。家自体も権威剥奪で爵位が大幅に降格。
親族の誰かが家督を継ぐ事になるだろう。

ボクちんはそもそも実子ではないとして国内外に御触れを出し、王族として育った境遇から処刑や奴隷にはならないものの、管理の厳しい僻地に幽閉。

1番の元凶であるギラギラおばさんは犯罪奴隷として強制労働と、同じ犯罪奴隷のお世話をする事になったらしい。

ボクちんとギラギラおばさんの事はもう決定事項だそうだ。


聞けば聞くほどボロボロと情報が出て来て、正直追いつかないとこぼすブラン団長に申し訳なく思う。

トリスタン君は境遇をかんがみても、国賓の私に隷属の首輪を付けようとした事実は変わらないため、処罰は免れられないらしい。
ただ、国王が処罰を言い渡す謁見の日までは、危険があるかもしれないと隔離され厳重に保護してくれるらしい。


粗方聞き終わったので、この後は悪徳金貸しの方を聞いていくとまとめられた。


「ありがとう!ごめんね?私が聞いてもいいんだけど…」

「…いや。あれにセナは近付かせたくない。同じ空気を吸うだけで穢されそうだ…聞きたい事があれば言ってもらえれば俺が聞こう」

一体何があったのかブラン団長に物凄く嫌そうに言われた。

「あの金貸しの事件の事くらいだからブラン団長が聞いてくれた後なら思い付くかも。あの人自身の処遇はどうなるの?」

「…おそらく極刑だ」

「ふーん。そうなんだ」

「…どうかしたのか?」

「いや。利用しないんだなって思って。情報を持ち過ぎているから狙われるとは思うけど、何かこの先気になる事が出来たら聞いてみたら分かる事も多いと思うんだよね。100歳越えてるらしいし」

「…なるほど…進言しておこう。あと、陛下がセナにお詫びとして希望を聞くらしいから、何かないか考えておいて欲しい」

「うーん…あるにはあるんだけど…これは交渉が必要かな」

「…そうか。明日おそらく陛下に呼ばれると思うからその時に言ってくれ」

「何時くらい?」

「…午後なのは確実だな」

「分かった!ブラン団長も一緒?」

「…あぁ。俺もいるようにしよう」
ブラン団長は一瞬ビックリした後優しく微笑みながら頭を撫でてくれた。

「ありがとう!」

「…長々すまない。そろそろ戻ろう。セナは疲れただろうからゆっくり休んでくれ」

「ありがとう!おやすみなさい」

「…おやすみ」
最後にまた私の頭を撫でてブラン団長が部屋から出て行った。

話しているうちにもう寝る時間だ。
残念がるみんなを横目にリバーシを回収して、ベッドでおやすみタイム。



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