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5章

お届け物と改造

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ゴンドラ商会に救急用品を買いに来た。
ポーションは前に作ったやつがあるので包帯やガーゼの様な物や骨折した人が来るかもしれないので吊るす用に三角巾。
湿布や絆創膏はなかった。
あったら便利なのに!

案内してくれたお姉さんに聞くと、基本的にはポーションで大体の傷が治るためあんまり買う人自体がいないらしい。
買っていくのはヒーラーがいない冒険者や小さい子供くらいだと教えてくれた。
お金さえ払えば教会で軽いヒールもかけて貰えるらしい。


ゴンドラ商会を出て、ベーネさんの宿屋“渡り鳥”へ。
まだ2日目だから大変かな?と思いつつも宿の中に入るとちょうどベーネさんが受け付けにいた。

「おはようございます」

「これはセナ様。一昨日は大変申し訳ございませんでした」
ベーネさんが謝ってくれる。

「迷惑かけてごめんなさい。無くなったりしない?」

「いえいえ。セナ様の安全が確保出来なかったのはわたくし共の不手際にございます。心配していただけたのですね……セナ様はやはりお優しいですね。全てが整い次第営業を再開しようと思っております」

「良かった!お詫びにベーネさん達を守るお守りを持って来たの」

「お守りでございますか?」

「そう!これなんだけど」
無限収納インベントリから昨日作ったクラオルとグレウスの木彫り像をベーネさんに見せる。

「とても可愛らしい木彫りのヴァインタミアでございますね。セナ様の従魔のヴァインタミアでしょうか?」

「そうだよ!昨日の夜作ったの。悪い人が入れなくなるお守り。余計なお世話だった?」

「いえいえ!とんでもございません!わたくし共の事を考えていただきとても嬉しいです。本当に頂いてしまって宜しいのですか?」

「うん!ベーネさん達のために作ったから置いて貰えると嬉しい」

「ありがとうございます……では早速飾りましょう!入り口から見えるこの辺りでいかがでしょう?」
ベーネさんは入り口正面の受け付けの後ろにある棚に飾ってくれた。

「ありがとう!」

「この様な素敵な像をいただきこちらこそありがとうございます。セナ様は多才でいらっしゃいますね。こちらは我が宿のお守りとして大切に大切に致します」
ベーネさんは瞳をウルウルとさせながらお礼を言ってくれた。

「ありがとう!それを渡しに来たの。お仕事中にお邪魔しちゃってごめんなさい」

「いえいえ!ありがとうございます。とても嬉しいです。またぜひ泊まりにいらして下さい」

「喜んで貰えたなら良かった。ありがとうございます!ではお邪魔しました」

ベーネさんは外までお見送りしてくれたので手を振ってバイバイする。


『喜んでくれて良かったわね』
クラオルがスリスリしながら言ってくれる。

「うん!お世辞じゃ無さそうだったから嬉しいね!よし。じゃあ戻って廃教会に行こう!」

お城の部屋に戻ってから廃教会に転移する。
今回はちゃんと成功してホッと一安心。


《女神様!おかえりなさい!》

「!」

廃教会のドアの前にキヒターがいてビックリする。

「ビックリした…えっと。ただいま?」
住んでる訳じゃないんだけど…

《驚かせてすみません!》

「お迎えありがとう。言ってた救急用品持って来たよ」

《ありがとうございます!さぁ、どうぞお入りください!》

「あ、うん」
ニコニコ顔のキヒターに促されて中に入る。

「はい。これが救急用品だよ。あと、何かあった時のためにこのネックレス付けててね」
救急箱とネックレスをキヒターに渡す。

《わぁ!ありがとうございます!》

「危険が迫った時にはそれに魔力通して私に連絡してね?」

《はい!》
キヒターは早速首に付けて嬉しそうにしている。

(本当に分かってるのかな?)


お昼ご飯の時間になったのでみんなでご飯を食べる。
キヒターは精霊と同じく魔力水が良いらしい。


《そうだ!女神様薬草使いますか?》

「薬草は錬金でポーション作るのに使うよ?」

《いっぱい採って来たので良かったらどうぞ!》

案内されたのはキッチンの倉庫。
中を見てみると大量の薬草とハーブで私が置いた野菜が埋もれていた。

「これどうしたの?」

《近くの森で採って来ました!女神様が使うかなって思って。女神様が要らなかったら教会に来た人に使えばいいかと思ったので!》

「なるほど…それにしても凄い量採って来たね…」

《はい!教会の裏で薬草とハーブを育てようと思っていっぱい採ってきました!》

「育てるの?」

《はい!いつも女神様に持って来て貰うのは大変だと思ったので。オレ植物育てるの得意なんです!》

「もう畑出来てるの?」

《今作っている途中です!》

「そっか。よし!あの食材置き場は食材が埋もれちゃうからもう1つの物置を薬草とか置く場所に変えちゃおう!
プルトンはまた魔道具作るの手伝ってくれる?」

《もちろん!》

「クラオル達はキヒター手伝ってあげてくれる?」

『良いわよ』

「ありがとう!」

みんなにお願いしてから物置に向かい設置する棚のサイズを測る。
メジャーなんかないから紐と歩幅で。

測ったらコテージで食材置き場用に作った魔石と同じ物をプルトンに手伝ってもらって作る。

魔石が出来たら木をカットしていく。
木をカットしたら一緒に収納用の箱も作り、鉱石から棚受けのアイアンブラケットと釘も作る。

直角にするのが難しい。
魔道具やアクセサリーと違ってこういう作業は炉を使った方が早そう。
今度炉も使ってみたいなと思いつつも作業を進めて完成させる。

「ちょっといびつな気がするけど、とりあえずはいいかな?炉が使える様になったら作り直しても良いしね。忘れちゃいそうだけど…壊れたり不具合が出たらでいいか!」

プルトンと一緒に廃教会に戻りみんなを呼ぶ。
クラオルに持ち上げてもらって魔石を天井に埋め込み、グレン・クラオル・ポラルに手伝ってもらって棚を取り付けていく。
みんな優秀で素晴らしい!

「とりあえず完成ー!みんなありがとうー!」

《さすが女神様!凄いです!早速移動させます!》
キヒターがルンルンと箱を持ちキッチンの倉庫に向かって行った。


「畑完成した?」

〈出来た。あとはキヒター次第だ。撫でてもいいぞ〉

「ふふっ。ありがとうね」
私の身長に合わせてしゃがんで頭を向けてくるグレンを撫でてあげる。

「みんなもありがとうね」
みんなの頭を順番に撫でているとキヒターが戻ってきた。

《これで薬草とハーブいっぱい作っても大丈夫になりました!》

「無理はしない様にね?」

《はい!》


お土産に薬草とハーブをたくさんもらってお城の部屋に転移する。
予定外の作業でもう夜ご飯の時間。

(今日は何にしようか…)

コテージに移動してとりあえずご飯を炊く。
無限収納インベントリをスクロールして何にしようか考える。

「お!そうだよ!魚があるじゃん!」

お目当ての鮭を解体して切り身にしたら塩を振ってフライパンで焼く。
クッキングシートかアルミホイルが欲しかったけどないからそのまま。
焼いてる間に大根おろしを作って水気を切っておく。

全員分鮭を焼いてお味噌汁を付けたら鮭定食の完成!
お漬物がないからコチュジャンのなんちゃってキムチを付ける。

みんなを呼んで夜ご飯。
お魚を初めて出したからビックリしていた。
フォークだとちょっと食べにくそうだけど、みんなも気に入ってくれたみたい。
特になんちゃってキムチを。

私は久しぶりのお魚に大満足!

ゆっくりお風呂に入ってお城のベッドで休む。




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