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5章

王都冒険者ギルド

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朝ごはんは簡単にベーコンエッグトーストにした。

「さて、そろそろギルドに納品しなきゃだよね。とりあえず冒険者ギルドに行こう」

みんなに声をかけて空間魔法のコテージから解体倉庫に移動する。

「昨日もいたけど、今日も見張られてるねぇー」

『主様の結界でこの中に入れなかったのね』

「とりあえず解除するね」
みんなに言ってから結界を解除する。

〈フッ。慌てふためいているじゃないか。(われらを見張ろうとはな。どれっ!)〉

「ん?グレン何かしたの?」
慌てた様子で見張りが去って行ったのでグレンに聞いてみる。

〈いや。ほんの少しだけ殺気を当ててやっただけだ〉

「何もして来ないなら放っておけばいいのに。相手してあげるのも面倒じゃん」

〈くくくっ。そうだな。セナの眼中には無いんだな〉

「違うよー。面倒なだけ。そんな事よりギルドに行くよー」

みんなで倉庫を出てギルドに向かう。
そんなに朝早くないのにギルドには人がいっぱい。
グレンに危ないからと抱っこされてカウンターの横からギルマスのジョルガスさんを呼んでもらう。

人混みを避け階段の近くで待っているとジョルガスさんが急いで来てくれた。

「お待たせ致しました」

「解体が終わったので持って来ました」

「ありがとうございます。申し訳ありませんが、倉庫の方へお願い致します」

「はーい」

ジョルガスさんに案内されて倉庫に向かう。

「こちらにお願い致します」

「はーい」

出して良いと言われたのでグレンに下ろしてもらい、倉庫の中にポンポンと出していく。

「セッ、セナ様!」

「はい?」
ジョルガスさんの焦った声に無限収納インベントリから出す手を止めて振り返る。

「こちら全てムレナバイパーサーペントの肉でございますか?」

「そうですよ。まだ出し切れてませんけど」

「全てではないと仰っていらっしゃいましたよね?」

「はい。私たちも食べたいので全体の1/4を売ろうかと思ったんですけど…」

「これで1/4ですか!?」

「まだ出し切れていないのでこれだと1/6?いや。1/8くらいですかね?」

「申し訳ありませんがここまでの量は買い取り出来ません」

「そうなんですね。骨とか鱗とかもありますけどどうすればいいですか?」

「そうですね…こちらで1/8でしたら、1/10でお願い致します。おそらくそれでも全て買い取りできませんので、その中から選ぶ事になります」

「はーい。じゃあ、このお肉も少ししまいますね」

お肉の量を調整して、骨、鱗…と順番に全ての部位を1/10になる様に出していく。
私は数学が苦手なので無限収納インベントリ任せ!
優秀すぎる無限収納インベントリ

「ジョルガスさん。後は目玉とかもあるんですけど、どうしますか?これ分割しちゃっていいんですか?」

「いえ。そこまで買い取りは出来なさそうですので…それにしても1/10でこの量ですか…これ全てはやはり難しそうです」

「大丈夫です。冒険者ギルドで買い取り出来なかったら商業ギルドに持って来てくれと言われていますし、王様からの報奨金が凄かったので売れなくても生活には困らないので」

「国王陛下は分かりますが商業ギルドですか?」

「はい。この前、商業ギルドにも登録しなきゃいけなくなって登録しに行ったんです」

「なるほど。でしたら、錬金系の素材は商業ギルドへ持って行った方が喜ぶでしょう。こちらで買い取りする物を決めますので少々お時間をいただけますか?」

「大丈夫です。今日1日ですか?」

「いえ。協議をしてすぐに書類を作りますので、3時間後には大丈夫だと思います」

「はーい!じゃあそれくらい経ったら戻って来ますね」

「よろしくお願い致します」

ジョルガスさんに見送られて倉庫を出る。

そのままお買い物へ。
大量に消費したオレンジ、トマト、小麦粉を中心にまた大量購入。

色んなお店を回りそろそろ大丈夫かなとギルドへ戻る。

ギルドに入るとジョルガスさんに迎えられた。

「お待たせ致しました。こちらの準備は出来ましたので、再度倉庫の方へお願い致します」

「はーい」


先程の倉庫へ行くと職員さんが慌ただしく動き回っている。

「こちら側にある物を買い取らせて頂きたいと思っております」

ジョルガスさんの示した方を見てみると出した素材の半分もない。
およそ1/3くらいだろうか。

「本来であれば全て買い取りたいのですが…素材の鮮度や解体の状態がとても素晴らしいため特S判定となっておりまして、全ての買い取りは断念せざるを得なくなりました。
錬金など商業ギルドが主に管轄している部位などは商業ギルドが喜んで買い取ると思いますので、この様になりました」

(なるほど。財政事情か。そして無限収納インベントリの解体は優秀なのね)

「はーい」

「こちら側は買い取り出来ませんので、鮮度が落ちないうちにご収納頂きたいと思います」

「はーい」
ジョルガスさんに言われた方の山を無限収納インベントリにしまう。

「お手数おかけして申し訳ありません。ありがとうございます。では、執務室の方へお願い致します」

「はーい」
ジョルガスさんに返事をして、またギルドに戻る。


「こちら今回の素材の詳細となっております」

ソファに座り用意してくれた紅茶を飲んでひと息ついてからジョルガスさんが紙を渡してくれる。

ふむふむと見るが、素材に対しての値段は相場が分からないから納得するしかない。
とりあえず計算が合っているかの確認をする。

「そちらの値段でよろしいでしょうか?」

「えっと…そもそも相場が分からないので素材の値段はこのままで大丈夫です。ですが、ここ計算が間違ってます。このままだと私が金貨7枚多く受け取る事になっちゃいますよ?」

「なんと!この短時間で計算されたのですか?」

「はい」

「どちらでしょうか?」

「ここですね」
紙を見せて間違っている所を教えてあげる。

「ありがとうございます。書類を作り直しますので少々お待ち下さい」

「はーい」


《セナちゃんは計算も出来るのねぇ!》
ジョルガスさんが部屋を出ていくとプルトンが姿を消したまま話しかけてくる。

「消費税とか端数が無い分簡単だからね。細かい数字とか難しい計算とかは苦手だよ」

《それでも凄いわよー!そんなに早く計算出来るなんて!》
姿を消してるはずなのに私の回りを飛び回っているのが気配で分かる。

〈うるさい。落ち着け〉

《なんですって!》

「まぁまぁ。この後商業ギルドにも行くからケンカはしないでね。プルトンもグレンもつまんないならコテージ行ってる?」
クラオルとグレウスをモフモフしながら2人に聞いてみる。

《〈うっ…ごめんなさい〉》

責めたつもりは毛頭ないのになぜか謝られてしまった。

「いや。怒ってないから謝らなくて大丈夫だよ?」
(言い方そんなにキツかったかな?)

われはセナと一緒にいる〉
《私もセナちゃんと一緒がいい!》

「そう?いいなら良いんだけど」
私が首を傾げながら言うとグレンがコクコクと頷く。プルトンも頷いているのが分かった。

ノック音がして返事をするとジョルガスさんが戻ってきた。

「お待たせ致しました。こちら確認をお願い致します」

ジョルガスさんから紙を受け取って確認するとちゃんと計算間違いは直っている。

「うん。直ってます。ただ諸費用が書いてないんですけど別払いですか?」

「確認ありがとうございます。セナ様にはとても素材の状態が良い物を納品していただいておりますし、カリダの街にて元領主の弟の元ギルドマスターがご迷惑をおかけ致しましたので…この先この国ではセナ様から諸費用をいただく事はございません」

(あぁ…カリダの街は支部だから尻拭いか)

「私は有難いですけど良いんですか?」

「もちろんです。こちらになります」

ジョルガスさんからお金の袋を受け取る。
更にお金持ちになってしまった…

「この後は商業ギルドに向かわれるのですか?」

「はい。そのつもりです」

「でしたらこちらの詳細の紙をお持ち下さい。買い取り金額の目安になると思いますので」

「ありがとうございます」

ジョルガスさんから紙を受け取って冒険者ギルドを出る。
ジョルガスさんは入り口までお見送りしてくれた。





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