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4章
9日目
しおりを挟む朝ごはんのスープを作りながら最後のお昼ご飯はどうしようかと考える。
『あら。塩スープなのね』
「ん?」
『この間ミソの実とショユの実見つけたからてっきり最後は朝と昼でどっちか使うと思ってたのよ』
「あぁー。なるほど。お昼のスープはどうしようかなって思ってたけど、朝は特に考えてなかった。クラオルは食べたい?グレンにかつお節削ってもらったから玉ねぎのお味噌汁は作ったよ」
『ショユの実のスープって出来るの?』
「出来るけど、グレンに削ってもらったかつお節がほとんど残ってないからあんまり美味しくないかな?出汁なしを考えるならお味噌汁の方がいいと思う」
『料理って難しいのね』
「奥が深いとは思うけど、私は簡単な物しか作れないからねぇ…前に作った感じのお味噌汁か豚汁で良ければ作るよ?」
『そうね。あとショユの実の何かが食べたいわ!』
「ふふっ。クラオルも好きになってくれて嬉しいよ。よし!出来た!グレンお肉どお?」
〈焼けたぞ〉
出来たよーと声をかけ、みんなで食べる。
「…昼はまた違う物を作るのか?」
「うん。多分驚くよー!ふふっ」
「どんな物かとても楽しみですね」
「うん!楽しみにしててね!」
食べ終わったら馬車へ。
私達はコテージに。
みんなと別行動でキッチンへ行く。
さぁ。今日はポラルが作ってくれたやつを使うぞ!
さつまいもを大量に出して、涼しい倉庫で2ヶ月保存した様に、氷魔法と空間魔法を使って時間経過させる。
その後は何個もの寸胴鍋を使って大量に蒸かしていく。
柔らかくなるようにお水から。
蒸かす時は時間をかけなきゃ柔らかくならないので放置。
待ち時間にこないだ作ったアーモンドプードルでタルトを作ろうと思ったら焼き型が無い!
火を放置はしてもここなら大丈夫そうだけど止めておこう。
なら、簡単に出来るラスクかな?
白パンを出してカットしてバターを塗って砂糖を振りかけてオーブンで焼く。
焼いたら氷魔法で冷ます。
簡単過ぎてすぐ終わってしまった…
並行してフレンチトーストも作る。
うーん。全員分作ってもまだ時間が余ってるな…
マドレーヌを作るのにも紙カップも型もないし…
クレープを作るのもおかず系クレープよりスイーツ系が食べたいから生クリーム欲しいし…
あ!ポテチにしよう!
じゃがいもをこないだ作ったピーラーで剥いていく。
(わぉ!さすがピーラー!めっちゃ楽ちん!)
これまたこないだ作ったスライサーで薄ーくスライスして熱した油に投入する。
油を切り熱を冷ます。
じゃがいもを何個も揚げていく。
大量にポテチも出来たところで蒸かし時間が終わり、火を止めて蒸らしていく。
蒸している間は暇なので休憩しようかとメニュー画面を出す。
(何か面白い機能はないかなぁ?)
おぉ!設定にタイマーがあるじゃん!あと電卓も!
でも電卓はこの世界だと使わないかな?端数もないから計算楽だし。
まぁあっても損はないね!間違いない!
タイマーはとってもありがたい!
あとは…お?メニューを開かなくても料理アプリ開ける様に出来るじゃん!
便利便利!
そろそろ蒸らしも大丈夫かな?
手にヤケドをしない様に水魔法を纏わせてさつまいもの皮を熱いうちに剥いていく。
冷めちゃうとキレイに剥けないからね!
急いで全部剥いていく。
全部剥き終わったらポラルに手伝ってもらった裁断器とネットを取り出す。
裁断機で繊維に沿ってスライスしたらネットに乗せていく。
ふっふっふ!
大好物がもうすぐ食べられる様になる!
急ぎながらも確実に綺麗に出来る様に裁断器でカットして並べていく。
「ふぅ。終わったー!あとは干して乾燥させれば良いだけ。ふふふふ。干し芋がもうすぐ食べられる!」
使った道具をクリーンして無限収納にしまい、ネットのさつまいももそのまま無限収納へ。
ルンルンと機嫌良く外に出て干す!
ただ、私は直ぐに食べたい!
そしてこの空間は寒いってならない。
生活魔法の“ヒート”と氷魔法と闇魔法とを駆使して太陽が出ている昼間と夜の冷え込みを再現させて空間魔法で時間経過させる。
どんどん干されていく干し芋。
「おぉ!いい感じ!」
微調整したら味見。
「うーん!美味しい!このしっとり感が堪んない!王道の平切り干し芋!これは大成功だな!」
最後におまけで冷やしたら干し芋をお皿に回収して無限収納に入れる。
ネットもクリーンをかけて無限収納へ。
まださつまいもはあるからまた時間がある時に作ろう!
「はぁー。ひと段落!」
時間を確認するとそろそろお昼ご飯タイム。
そろそろクラオルから念話が…と思ったら来た。
返事をして空間ドアの前で集合する。
みんな集合したらクリーンをかけて馬車に戻る。
ノック音を待って外に出る。
さぁ!最後のお昼ご飯!
今日はパブロさんとフレディ副隊長の串焼きのお手伝いは遠慮する。
具沢山お味噌汁を作るのに干し肉と野菜を煮る。
その間に照り焼きのタレをボウルで作る。
オーク肉をひと口サイズに切ってフライパンで炒めてタレを絡ませて焼いていく。
1回で全員分は出来ないので何回も繰り返す。
出来たやつはお皿に盛って冷めない様に無限収納へ。
野菜が煮えたらアクを取って味噌を溶かしたら完成!
みんなは呼ばずとも近くで構えておりました。
お味噌汁と豚の照り焼きを渡していく。
「すっごい美味しそうな匂いだよ!」
パブロさんが食べる前からうさ耳を出させながら言う。
みんなでいただきますをして食べる。
今日はお昼だけどポラルもこっそりと参加。
みんな凄い勢いで食べていく。
お味噌汁が熱くてハフハフと冷ます声と呟く様に「美味い」って声しかしない。
お味噌汁は争奪戦。最後の1杯をパブロさんとフレディ副隊長が言い争っている間にシレッと奪っていったブラン団長に2人が怒っている。
だいぶ気に入っていただけた様で何よりです!
私と従魔達はこっそりと塩むすびと一緒に食べる。
やっぱお味噌汁にはご飯だよね!
「この魅惑の味付けは何ですか?」
フレディ副隊長に興奮気味に聞かれる。
「スープがお味噌汁…ミソスープでミソの実。お肉が豚…オーク肉の照り焼きでショユの実だよ」
「「「「「「!」」」」」」
「これが本当にミソの実とショユの実なの!?」
「そうだよー。美味しいよね」
「美味しい!すんごく美味しい!あの実食べれないと思ってたのに…」
「あぁ…やっぱそうなんだね」
「…やっぱり?」
「呪淵の森で助けてくれたパーティもしょっぱ過ぎて食べられないって言ってたんだよね。無理矢理作らせてもらって食べたけど、似たような反応してたよ」
「記憶喪失だったのでは?」
「うん。自分の事すっかりサッパリ忘れてたけど、料理の事だけは覚えてたんだ」
「なるほど。そうだったのですね」
「うん。気に入ってくれたみたいで良かったよ!野営する時とかに見つけたらスープに干し肉とミソの実入れると良いよ。ショユの実は炒め物にオススメかな?」
「なるほど。ありがとうございます!これで宿舎のスープも改善出来そうです!」
「…そうだな。隊員達に取りに行かせよう。セナ程美味くは作れないと思うが、味が変わるのはありがたい」
あ。みんな飽きてない訳じゃなかったんだね。
てっきり飽きないのかと思ってたよ。
「実を全部収穫しちゃうと次の実が出来にくくなるかもらしいから気を付けてね」
「…ほう。そうなのか。気を付けよう」
「では、そろそろ出発しましょう」
フレディ副隊長に促されて馬車に戻る。
マップを確認すると3時間もかからなさそう。
みんなに伝えてからコテージへ。
みんなとは別行動で鍛冶部屋に。
さっき欲しかったケーキ型とタルト型とマドレーヌ型を作る。
魔力を染み込ませてサビ防止と念じながら魔力を浸透させて完成。
作り終わった頃には街はもうすぐそこ。
急いでみんなに念話を飛ばして、全員にクリーンをかけて馬車に戻る。
話しているとノック音がしたのでドアを開けると門でギルドカードのチェックらしい。
ギルドカードをすぐ返してもらったら街に入る。
馬車の窓から街を見ると広い!
カリダの街も広いと思ってたけど、もっと広そう。
応援ありがとうございます!
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