動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ

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第94話

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 初の戦闘を終えて仲間を三十匹ほど増やした後、僕らは森の中を彷徨い続けている。
 数回モンスターたちと戦闘になったけれど、同じようにろくな戦闘をせずに倒しては仲間にするというのを繰り返していた。

「舗装されてる道全然見つかんないね~」
「さくたん、道案内をこの馬鹿ラプソディーに任せたのが悪かったかもしれない」
「うぅ……二人ともごめんなさい……。ワタシを超無能狂詩曲スーパーユースレスラプソディーと罵っても甘んじて受け入れるわ」

◆配信始まってから無様なところしか晒されてねぇww
◆ラプソディーちゃんさぁ……
◆かっえっれ!
◆↑帰りたくても帰られへんねん
◆まるでダメな悪役(笑)の女、略してマダオ
◆もうさァッ、悪役ボスとか無理だよ!!
◆彩芭はサクたんとバナナ食ってアホ面してるのが似合う
◆というかサクたん、何匹テイムした?
◆軽く千は越えてるんよw
◆魔 王 軍 爆 誕

 とりあえず町へ行くために道を探しつつ、今後どう動いたらいいかを彩芭さんに聞いてみる。

「このダンジョンを攻略する上でどうやって動きますか?」
「そうね……。ひとまず、このダンジョン内にいるラスボスである魔王を倒すという正攻法は不可能に近いから無しよ。独自ルートで手に入れた情報によると、隠しボスを三体倒せば出られるらしいわっ!!」
「「おぉー」」

 初めて有能そうな発言をしており、僕らは思わず拍手をした。
 さっきまでものすごい落ち込んでいたにもかかわらず、今では満更でもなさそうに鼻を鳴らし、さらには鼻がどんどん伸びているようにも見える。

「ちなみにそれ、どっからの情報なの?」

 ルハがそう質問をした。

「えーっとね、確か〝ワ〟から始まる名前で……〝イソップ〟みたいやニュアンスのサイトだったわ! ゲームの裏技とかこのダンジョンの攻略法も書かれていてすごかったのよっ!!」
「そうなんですね~!」
「へぇ。やるじゃん」

◆ほーん
◆そんな有能サイトあるんやね
◆ん? ちょっと待て
◆それってもしかして……
◆ワ○ップじゃねぇか!?ww
◆騙されてて大草原
◆詐欺罪と器物損壊罪で訴えるんか!?
◆電脳戦最強の組織のトップさんマジか
◆サクたんとルハも信じてんじゃん!
◆面白いから黙っとこうぜw

 コメント欄をチラっと見たのだが、瞬間に汗を流しながら口笛を吹く顔文字が大量に流れていくのが見えた。
 特に気にすることなく歩き続けていると、とうとう舗装された道が現れる。

「やっと見つかった~~!!」
「でもさ、看板とかないからどっちいけばいいかわかんなくない?」

 一難去ってまた一難とはまさにこのこと。二分の一を外したら時間をさらに無駄にしてしまう気がするし、何か方法はないのだろうか。
 そう考えていると、どこからともなく声が響いてきた。

『――フォフォフォ……困ってるようじゃな。左に行くと町じゃぞ』
「ん? なんだろうこの声……」
「敵?」
「これは……行き詰まった時に現れるお助けキャラだったかしら? 森の仙人と言われているらしいわ!」

 姿は見えないが、どうやら彩芭さんにだけは見えているらしい。彼女に勇者のジョブがついているからかなと考えた。

「機嫌を損ねるとヤバイらしいわね。特に年寄り呼ばわりされると――」
「仙人のおじいちゃんはどこにいるんですか?」
「ちょーーっ!? 何言ってるのよサクたん!!」
「もがぁーーっ!!」

 彩芭さんに思い切り胸に抱き寄せられ、無理やり口を紡がされる。
 ルハからは紫色のオーラが出ている気がするが、そんなことより窒息しそうだった。

『おじいちゃん……この我を……?』
「ごごごごごごめんなさいっ! 実際はそんなこと微塵も思ってな――」
『ほほほ~~うっ! こんな可愛い孫ができたら我大興奮じゃわい!! ほ~れほれ、お小遣いじゃぞ~~♡』

 ――ジャラララララッ!!!

 何やら興奮気味なおじいちゃんの声が聞こえてきたと同時に、空から大量の硬貨の雨が降り注ぎ始める。
 硬貨の山に溺れそうになるが、なんとか脱出することができた。

〈サクたん一行は99999ゴールドを手に入れた!〉

◆チートすぎんだろ……
◆お助けキャラを懐柔したらクリア同然だろww
◆じいちゃん、孫を甘やかすのも大概にせいよ!
◆いつぞやのキングゴブリン爺を彷彿とさせるぜ……
◆このRPGぶっ壊れてるだろ
◆↑サクたんが壊したんやでw
◆器物損壊罪で訴えますッ!!
◆急な大富豪じゃんね
◆序盤の森で金がカンストしてんのか……?

「おじいちゃんありがとー! ばいばーい!!」
『達者での~~♡』
「お、お金がこんなにいっぱい……!? こここっ、こんなにあったら毎日三時にみんなでお菓子食べれるんじゃないかしら!!?」
「ねぇ、ラプソディーってすごい組織のボスのくせに貧乏だったりすんの……?」

 優しい謎のおじいちゃんに感謝を告げた後、教えられた通りの方向に進み始める。
 先ほどまで歩いていた獣道とは打って変わっめ歩きやすい道なので、スムーズに進むことができた。そしてとうとう、目的地である町が見えてくる。

「おぉーー! 町……だ……?」
「え、なんか……やばくない?」

 僕らが喜ぶ気持ちは消え失せていた。なぜならば……。

「か、じゃない!!!!」

 巨大なモンスターによって、町が火の海になっていたのだ。
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