動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ

文字の大きさ
上 下
53 / 66
連載

第88話

しおりを挟む
:はい?
:えええええええ!?!?
:ドンドンドン、ドン引き~♪
:サクたんはね、やることなすこと全部めちゃくちゃなのがいいんだよ
:手始めに大氾濫スタンピード起こす奴があるかーー!!
:えぐすぎwww
:世界滅亡RTA、はっじまったよ~~w
:これが同じ国にいたってマジ??
:正直ちょっと舐めてたよ……
:声だけで大氾濫スタンピードを!?(英語)
:日本はやはり魔境だ(英語)
:Xランクに挑むに値するね(英語)
:さっき大したことないって言ったコメント出てきなよw(英語)

 掛け声をかけると大氾濫スタンピードが発生し、街は一瞬にして破滅へと進む。あらゆるところで火が立ち上がり、ピーマンたちの断末魔が聞こえてきた。
 警察らしい人や探索者らしい格好をしたピーマンが応戦しているが、圧倒的に数の暴力の前には虚しき抵抗だ。

「この国はもう時間の問題だね。次の国に移動しっか。おいで、厄災を運ぶ青い鳥――〝霹靂鳥ハタタドリ・ピー助〟」
『ピィーーッ!!』

 鍵を使ってピー助を呼び出し、背中に乗ってこの国を後にする。
 眼下では街が火の海になっており、僕に気がついた魔物たちはこちらに手を振っていた。

「さて、次はどの国に行こうかなぁ」

:一瞬で壊滅してて笑えん……
:日本はダンジョン大国。ドァーユー、アンダースタンド?
:理解できぬ……というか理解したくねぇ
:サクたん怖すぎww
:次のターゲット探し始めた
:なんてことだ、もう助からないゾ♡(ガチ)
:せめて一思いにやってやろうぜ

 ピー助に乗りながらそんなことを考えていたのだが、不審な音が近づいてきているように聞こえた。

 ――ブロロロロロ!!

「あー……同盟関係の国とかがいるのかな?」

 武装したヘリコプターが数機飛んでおり、僕らを捕捉して照準を合わせようとしている。次の瞬間、取り付けられていた重機関銃から弾丸の雨が放たれ始めた。
 ここでピー助に放電してもらっても、僕が乗ってるせいで全力は出せないだろう。別の子を呼ぶしかなさそうだ。

「ハナちゃん! 三秒止めて!!」
『っ!!』

 胸ポケットにいたハナちゃんに合図をすると、桜の花が輝き始めて時間が止まる。その隙に再び、鍵を使った。

「来て、嵐の神――〝リュウランカゲロウ・シナツ〟!」

 ドラゴンのような巨大な昆虫であり、緑色の体色に風を纏っている。
 ちなみに家にはまだアリジゴク状態の赤ちゃんがおり、砂漠ゾーンですくすくと成長しているのだ。シナツのように成虫になるにはまだ時間がかかりそうだが、自分のペースで育ってほしい。

「シナツ、あれ全部吹き飛ばしちゃって!」
『ギィィ……!!』

 シナツが口を開けると同時に周囲の空気が荒れ始めた。ピー助は問題なく飛んでいるが、ヘリコプターとなればそうは問屋が卸さないだろう。
 ハナちゃんの時間停止が終わると同時に、ヘリコプターが大きく傾く。弾丸も飛んできているが問題ない。

 ――ビュォオオオオオッ!!!

 シナツの口から突風が吹き、弾丸を無力化する。それだけでなく、全てのヘリを吹き飛ばす……ことはなく、ズタズタに切り刻んで爆発させた。

「おぉ! やっぱりすごい風だね~」

:ファーーww
:武装したヘリが一瞬で壊されてる……
:えぐすぎィ!!
:これがサモナー(魔王)か
:初見よ、これがサクたんだ
:なんだいあの魔物は!?(英語)
:バケモノだ……(英語)

 さっきのヘリはかなり重厚そうなものだった。あんなのが沢山ある国となると、早めに潰しておいた方が動きやすいかもしれない。
 そう思い、ヘリが来た方向に向かってピー助に飛んでもらう。
 しばらく空を飛んでいると、あからさまに厳重な国家が目に入った。

「戦車に大砲、他にも色々……。早めにきて正解だったかな。よっ!」

 遥か上空で飛行しているピー助から降り、鍵を使う。

「来て。揺らめくは手向けの焔――〝九尾黒狐キュウビクロギツネ・伏見黒狐〟」
「ふっふっふ……呼ばれて飛び出て儂、参上なのじゃ!! ……ってなんで落下しとるんじゃぁあああ!?」

 元気いっぱいな状態で飛び出してくるが、落下に気がついて絶叫し始めた。

「細かい説明は後! 黒狐、とにかく周囲一帯を真っ暗にできる!?」
「フム。儂の焔は実体を持つ幻影を出すもの故、光を包みこんだりなくしたりするのは容易じゃ。サクたん、儂の背中に捕まっておれ!」

 ボフンッと音を立てて大きな狐状態に変化し、紫色の炎を地面に放つ。
 炎はたちまち街の光を奪い、真っ暗闇が広がった。言い換えれば、となったということだ。

だよ――〝ウオカゲ〟」

 全てが影に包まれた真っ暗闇に、山のように大きな影が隆起し始める。その影は炎のように揺れ、唸り声とギラギラした瞳がこの街の住民を震わせた。

『ガァァアアアアアアーーッッ!!!!』

 手始めに、この国の巨大な城が一口で丸呑みにされる。

『な、何ピマかこの化け物は!?』 
『し、城はどこピマか!?』
『一瞬で全てが影に飲まれピマった……』
『撃て! 撃つピマーー!!』

 戦車や銃で応戦するピーマンだが、地面の影から何千もの影が伸びて触手のように動き、悉くを破壊していた。
 家も人も、武器も何もかもを破壊して飲み込み、ものの数十秒でこの国は壊滅する。

:…………(絶句)
:サクたん、敵にならないでくれよな?
:何も見たくねぇ……
:何も……見なかったZ
:ここはBADエンドの世界線だな
:【速報】武装国家、約四十秒で壊滅!
:人類の味方でよかったと心から思うよ(英語)

 念には念をということで、空の対策をしておこう。ヘリコプターとかで来られたら結構面倒だしね。

あま御空みそら獣王じゅうおう――〝叢雲獅子ムラクモシシ・マシュ丸〟」
『がう?』
「マシュ丸。もし変なのが飛んできたら、そこにいるピー助とシナツと一緒に撃ち落として欲しいんだ」
『がおぉ!!』
「よしよし、良い子だね♪」

 霹靂鳥ハタタドリ叢雲獅子ムラクモシシ、リュウランカゲロウもいるから空の心配は大丈夫だね。
 次の国に行こう。
しおりを挟む
感想 139

あなたにおすすめの小説

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

私のスキルが、クエストってどういうこと?

地蔵
ファンタジー
スキルが全ての世界。 十歳になると、成人の儀を受けて、神から『スキル』を授かる。 スキルによって、今後の人生が決まる。 当然、素晴らしい『当たりスキル』もあれば『外れスキル』と呼ばれるものもある。 聞いた事の無いスキル『クエスト』を授かったリゼは、親からも見捨てられて一人で生きていく事に……。 少し人間不信気味の女の子が、スキルに振り回されながら生きて行く物語。 一話辺りは約三千文字前後にしております。 更新は、毎週日曜日の十六時予定です。 『小説家になろう』『カクヨム』でも掲載しております。

ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

聖女業に飽きて喫茶店開いたんだけど、追放を言い渡されたので辺境に移り住みます!【完結】

青緑
ファンタジー
 聖女が喫茶店を開くけど、追放されて辺境に移り住んだ物語と、聖女のいない王都。 ——————————————— 物語内のノーラとデイジーは同一人物です。 王都の小話は追記予定。 修正を入れることがあるかもしれませんが、作品・物語自体は完結です。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。