動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ

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第78話

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 僕の華麗な尋問で幻獣の居場所を把握できたため、そこに向かってダンジョン内を歩き続けていた。
 その間、大勢の人が襲いかかってきたけれど、全て魔物たちがやっつけてくれている。

 そして、とうとう件の部屋へとたどり着いた。

「うーん……ここも厳重そうな扉があるね。おーい! 中にいるー!?」

◆幻獣が捕らえられてるだけあるな
◆厳重だけにってか、ガハ!!
◆↑テメェ死にてぇのかクソだらぁ
◆だれか赫岩龍を連れてきてくれ……
◆またロケランぶっぱするんか?
◆ってか隠れてるけど汚嬢様ってわかんだよw
◆あの威力はさすがにリリーお嬢
◆うッ……ゲロを吐かされた嫌な思い出が……

 どうやって扉を開けようか悩んでいると、向こう側から僕の呼びかけに呼応するようにドオォンと大きな物音がする。
 その音は次第に大きくなり、扉が揺れ始めた。カメラに映らないようにルハが僕の手を引いたその瞬間、

 ――ドゴォオオオオオン!!

 轟音と共に扉に風穴が空く。いったいどんな幻獣が暴れていたのだろうと、ワクワクしながら煙が収まるのを待った。
 そして、とうとうその幻獣は姿を現す。

『がおーー!!』
「えっ――……か、可愛い~!!」

 それは、真っ白な体に空色の瞳を持つ芝犬サイズのライオンだった。オスのライオンの特徴であるたてがみもあるが、それは雲のようにモコモコしている。
 ぽてぽてと可愛らしい足音を立てて僕の足元に近づき、僕に飛びついてきた。

『がぅ~♪』
「えへへ、見た目通りもふもふしてて気持ちいいね~」
「カワッ!!」

◆なんかカメラの後ろでカエル潰された?w
◆奇声が聞こえたゾ
◆誰かおるやんけ
◆ってかこれ幻獣なん?
◆確か雲とか天候を操るやつだった希ガス
◆落雷落としまくりゃ電力無限やん!
◆確かにこれは欲しいわ
◆ウェ○ーリポートッ!!
◆でも簡単に扉突破されてて草
◆捕まってたってより出なかっただけじゃんね

 カメラの後ろで息を荒くしながら、手をわきわきさせてる天宮城うぐしろさん。彼女の奇行にはだいぶ慣れたと感じていたけれど、やはりまだ少し慣れない。ルハも凛理もジト目で見ている。
 気を取り直し、天宮城さんに幻獣の詳細をスマホに送ってもらった。

「えっと。この子は〝叢雲獅子ムラクモシシ〟という幻獣で、主に天候を操ったり、雲を生成して雨とか雷を放てるらしいです!!」
『がゔ?』
「ちっちゃいのにすごいね~。偉いね~」

 抱っこしてみるとふわっとお日様の匂いがして、思わず天宮城さんのようにはしたなく顔を埋めてしまう。
 ただ、唯一違うのは幻獣が嫌な顔をしていないという点だった。なんかごめんなさい、天宮城さん。

「くぅ、羨ましい……!!」
「抑えてくださいまし。さもなければ嘔吐を誘発させますわ♪」
「ちょっとは自重しなよ……。二人ともさぁ」

 血涙を流す天宮城さんを横目に、僕らは新たな仲間を増やしてダンジョンの奥へと進んでゆく。

 改造されたダンジョンと言うだけあり、やはりトラップも通常のダンジョンより倍あるように感じる。さらには、近代的なトラップも設置されていた。
 例えば、今目の前にあるのは光の線が無数に交差しているレーザートラップである。

「すごい!! ゾンビのゲームで見たやつだ!!」

◆ほう……履修済みとはなかなかやるな
◆確かにテンションは上がりそうw
◆君そういう系のゲームもやるんだね……
◆いや進めねぇだろがい
◆人間サイコロステーキゾーン
◆流石のサクたんでも無理かな?
◆そ、そろそろ諦めてもいいんだぜ
◆これ以上サクたんに越されたくない犯罪者多すぎワロタ

 ゲーム内ならなんとか進めるように設計されていたけれど、ここはそんなのを微塵も感じさせない作りをしていた。
 少し思考を巡らせた後、ピコーンと頭の上の電球が光る。

「そうだ! 、おいで」
『がぅぅ……』

 配信の画面外で天宮城さんに容赦なく吸われていた叢雲獅子……改めマシュ丸を呼んだ。
 もふもふだった鬣が気持ち縮んだような気がしないでもないが、とりあえず今は目の前のトラップを切り抜けよう。

「雲を出せるならさ、光を屈折させられたりできる?」
『がるる……がぁ!!』

 モクモクと雲が生成され、レーザートラップの方へと向かって行く。そして読み通り、レーザーの光は屈折し、安全な道が完成した。

「よーっし! マシュ丸良い子だね~! 帰ったら一緒にお肉食べようね~♪」
『がぉ!』

 その後も様々なトラップが仕掛けられていたが、ほぼ全てを無効化させて突破しまくる。

 とても順調なのだが、一つ不安点がある。それは、もう一匹の幻獣の場所がわからないという点だ。
 なにかよくないことに幻獣が使われていなければ良いけどなぁ……。

 色々な不安が募るが、それら全てを解決するために僕らはさらに奥へと進むのであった。
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