動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ

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第72話

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 鬼蛇穴きさらぎ凛理りりが保有する唯一の魔法――【翛爆ゆうばく】。
 触れた対象を起爆させることができ、触り続けることで起爆できるものが伝播する魔法だ。しかしこの魔法の強みはこれではなく、特定の時間内ならばという異能があることだ。

 爆発しても全てが元通り。さながら、ギャグ漫画から飛び出してきたような魔法である。

「オルァアア! テメェら元通りに戻りやがれくださいまし~~っ!!」

 ロケットランチャーの弾に触れた後、それを発射して操られている遠方の魔物に直撃させた。近くにいる魔物はチェーンソーで切り刻む。
 爆発四散した魔物たちは次の瞬間には元通りになっており、状況を確認して咲太を救出するべく行動を始めた。

 クラゲによる触手の猛攻もリリーに襲いかかるが、纏った影にそれを沈ませることで対処をする。

:!?!?!?
:リリーお嬢様、爆破解体を開始するぜェーーッ!!
:爆発させて正気に戻してるww
:っぱこのお嬢様ヤベーよ
:リリーお嬢様の魔法なんなん……
:ウオカゲも幻獣やし大概だな
:影なら触手に触れても大丈夫なのね
:サクたん正気に戻れよ!
:ムキムキピーマンが泣いてるぞ;;
:ムキピーとの日々を思い出せ!
:ピーマン信者多すぎワロタw(ムキピー教入信済み)

「リリーは魔物どもを排除をして。わたしは……さくたを救ってくる」
「自信満々ならばお任せしましたわ! ワタクシの大切な幼馴染であり、マイダーリンの親友なので丁重にお願いしますね♪」
「わかってる。【縮地】!」

 大地を蹴り、一気に咲太が囚われている触手の元へと向かう。
 それを許すはずもなく、操られている魔物がルハに襲いかかった。だが、こちらもその行動を許さない。

『ポ、ポ……ポポポポポッッ!!』
『『ア゛、ア゛、ア゛、ア゛……!!』』

 八尺様は奇声を上げて魔物をスタンさせた後、長い髪を自由自在に操って魔物を切り刻む。
 だが、くねくねと邪視の合体魔物――邪狂腕紫眼じゃきょうわんしがんは視界に収めても大丈夫な魔物へと変化している。しかし逆にシナジー効果を発揮し、己より下の魔物ならという能力を開花させた。

:妖 怪 大 戦 争
:みんなサクたんに居て欲しいんよ
:↑呪いっスよ、居て欲しいってのも……
:ヤンデレ(?)の魔物にタヒぬほど愛されて眠れない配信はここのようだ
:八尺様って髪操れたんだ……
:大体なんでも切れる魔法で対抗しよう
:邪狂腕紫眼も触れただけで倒してるww
:いつもの教訓・サクたんに手出すべからず

 三匹の怪異が魔物の大群を蹴散らすが、クラゲの幻獣による触手はルハに向かう。

「ふっ!!!」

 ――ゴォォォッ!!

 その触手は不可侵ゆえに、ルハの刃は通り抜ける……と思いきや、スパッと切れて青い炎に包まれる。

『――!』
「びっくりした? 使いたくないけど使この魔法……〝幽霊を燃やす蒼炎〟。効いてよかった、よっ!!」

 ――ズバババババババババッ!!!

 迫り来る無数の触手を一本ずつ、迅速に青い炎を纏った小太刀を使い細切れにした。
 他の魔物を足場に使い、みるみる咲太の元へと近づいていく。

:ふぁっ!?
:ルハちゃんつんよww
:サクたん陣営のメンツえぐいことなってきた
:触手全部斬り刻んでる……
:カタギじゃあねぇなァ
:手裏剣持ってるし忍者でしょ
:ジャパニーズニンジャ!?(英語)
:うぉおおおおおお!(英語)
:海外ニキネキは忍者好きね~

「(この距離なら……斬れる!)」

 刀を構え、一気に足に力を込めて咲太の元へ。
 確実に触手を仕留められる射程範囲に入り、刀を一閃する。

「あ」

 だが、咲太に一歩及ばずに刀は空を斬る。
 背後から触手でぐいっと引っ張られれており、咲太に届かなかった。

:あっ
:オワタ
:触られちゃった……
:あと頼れるのはもう……汚嬢様しか……
:ムキムキピーマンかあまみやちゃん来てくれぇ!

 誰もが諦め、幻獣のクラゲも勝ち誇ったようにうねうねと触手を動かしている。
 ルハは脱力し、刀の切っ先も下を向いてしまう。そして、少し微笑んでこう言い放った。

「……残念、ば~か♪」
『――!?』
「わたしのさくたを、返せ……!!!」

 不敵な笑みを浮かべながら、背中に取り付けてある巨大な手裏剣を手に持ち、蒼炎を纏わせて投げる。
 その手裏剣は見事に咲太に触れていた触手を斬り、支配から解放された。ルハは触手の追撃が追いつかぬよう、咲太をお姫様抱っこして安全地帯へと逃げる。

 今のルハの脳内には電子鰻うなぴがいたことで、触手による支配をレジストすることに成功していたのだ、

「……あれっ、ルハ?」
「うん。もうわたしから離れないで」
「う、うん? あれ、なんか雰囲気変わった?」

:おほ~^^
:ルハサクてえてえ
:脳が回復……脳が震える!!
:姫ポジのサクたん草
:推しカプ誕生だぜ~
あまみやch:今来たけどこのルハって子誰??
:あっ、ヒロイン(?)きちゃ
:あまみやちゃんちっすちっすw
:圧を感じるなぁ……
:負けヒロインが怖すぎる!
:↑まだ負けてねぇだろうが。ええ加減にせぇ

 咲太は周囲を見渡し、大体だが状況を把握した。

「リリー、やっちゃっていーよ!」
「わかってますわ。やはり、爆発オチこそ最高ですわ~~!!!」

 ――チュドォオオオオンッッ!!!!

 クラゲの傘にロケットランチャーを直撃させ、大爆発を引き起こす。

 幻獣にお灸を据えることができ、無事に咲太の救出・幻獣の確保という目的が達成された。
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