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第64話
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咲太らは作戦を練った後、後日にそれを実行することに決定して解散する。しかし、シャドウファングはすでに行動を開始していた。
さらなる情報投下はしていないが、牙狼は別の先制攻撃を仕掛ける……。
――プルルルルッ。プルルルルッ。
『こちらはD.U.S.T。ご用件は?』
「……俺だ、シャドウファングの牙狼だ。依頼を頼む」
『ほう……デリバリーですね? お目が高い』
「ちげぇよ! 殺しの依頼に決まってんだろ!!!」
〝神極の刀軍〟、略してD.U.S.T。この組織は、主に刀を使用する者たちが集う殺し屋だ。
裏社会では知らない者はいないほど有名な殺し屋だ。しかし、ボス・構成員・アジトなどの情報がほぼ出回っていないだけでなく、依頼成功率は八割を超えるという頭一つ抜けている組織である。
『死の配送ですよね、はいはいわかってますって。いつ、どこで、誰を殺してほしいか教えてください』
「今夜、さっき送った住所で、サクたん……藍堂咲太を殺してほしい」
『ふぅむ、今夜ですかぁ。いきなりすぎて困りますが、一人手が空いているので向かわせましょう。金が振込まれ次第任務を始めます。では、今後ともご贔屓に』
「あぁ。テメェらなら大丈夫だと思うが任せt」
――ブツン。ツーッ、ツーッ。
牙狼が話し終わる前に電話を切る。
プルプルと震えながらこめかみに血管を浮かべているが、一旦深呼吸をして自身を落ち着かせた。
「成功率と失敗率は五分五分とみたが、別にどちらに転んでも良い。せいぜい怯えとくんだなァ、藍堂咲太!!」
牙狼は高笑いをしながら奥の部屋へと戻っていく。
この先制攻撃が、後々己をの首を絞めることも知らずに……。
###
――深夜、愛知県某所にて。
「…………。配信を始める」
◆お、始まったな
◆待ちくたびれたぞ!
◆貴重な情報収集の時間よ~
◆殺し屋の配信キターー!
◆刀とクナイが武器の殺し屋は初めて見るゾ
◆失敗して捕まるに5万賭けるわw
◆↑じゃあ俺は花○院の魂をッ……
◆っぱDuntubeよりこっちのが刺激あるな
◆早く殺しに行こうよ
◆テンポ良くしろ
世間一般での動画配信サイトは主にDuntubeだ。しかし、闇に生きる者などの間ではこのUndertube、略して〝Untube〟が広く一般的になっていた。
配信者はもちろん、その配信を見ている九割は犯罪者たちだ。よって、常にコメント欄は殺気立っていたり荒れたりしている。
「藍堂咲太。それが今回のターゲット」
全身黒い外套で身を包み、フードを被る小柄な人物。腰には小太刀とクナイが備え付けてあり、殺気が見て取れる者だ。
これがこの配信主であり、咲太を殺害しようとしている殺し屋である。
◆誰?
◆巷で有名なサクたんじゃん!!ww
◆この子の懸賞金今えぐいよ
◆咲太って昔から体質で有名だよな……
◆捕まえたら幻獣も付いてくる超ハッピーセッツ!
◆これ失敗したら俺も行こうかなw
◆実はまだ誰もサクたん'sハウスに侵入できていないという偉業
◆ここのリスナーにわかしかおらん……
◆触らぬ神に祟りなしって知らないんだなぁ
殺し屋は手のひらを地面につけ、数秒集中した。そして次の瞬間目にも留まらぬスピードで駆け出し、塀を乗り越え、草むらを掻き分け、到着した。
悪意を持っている者は入れないようになっているこの空間をくぐり抜けてみせたのだ。
「ここが……」
表札に〝藍堂〟と書かれている大きな一軒家。
満月の夜。月明かりに照らされる一軒家はどこか威圧感があり、塀や屋根の上から見下ろすただの猫やカラスまでもが恐ろしく見える。
殺し屋とリスナーらを嘲笑うように、ミシミシと家鳴りが響き渡った。
◆うおおおおおおお!
◆マジで到着しやがったww
◆期待値上がるな~
◆な、なんかこのい怖いんですけど……
◆殺し屋より圧がある家ってなに?w
◆マジでここ化け物ハウスだからやめとけやめとけ
◆この殺し屋ならワンチャンあるか……?
◆いけるいけるww
◆殺した金で焼肉行こーぜ!
「……任務を開始する」
フードの奥から覗く桃色の瞳には、覚悟と若干の恐怖が混じっていた。
咲太の恐ろしさを何も知らないリスナーたちは咲太をナメており、殺し屋が簡単に任務を遂行できると考えている。
殺し屋も自分の腕には自信があり、いけるだろうと意気込んでいる。
――なぜ動物たちは殺し屋をスルーしているのか?
その疑問はすぐにわかることとなる。
そう……地獄が始まろうとしていた。
さらなる情報投下はしていないが、牙狼は別の先制攻撃を仕掛ける……。
――プルルルルッ。プルルルルッ。
『こちらはD.U.S.T。ご用件は?』
「……俺だ、シャドウファングの牙狼だ。依頼を頼む」
『ほう……デリバリーですね? お目が高い』
「ちげぇよ! 殺しの依頼に決まってんだろ!!!」
〝神極の刀軍〟、略してD.U.S.T。この組織は、主に刀を使用する者たちが集う殺し屋だ。
裏社会では知らない者はいないほど有名な殺し屋だ。しかし、ボス・構成員・アジトなどの情報がほぼ出回っていないだけでなく、依頼成功率は八割を超えるという頭一つ抜けている組織である。
『死の配送ですよね、はいはいわかってますって。いつ、どこで、誰を殺してほしいか教えてください』
「今夜、さっき送った住所で、サクたん……藍堂咲太を殺してほしい」
『ふぅむ、今夜ですかぁ。いきなりすぎて困りますが、一人手が空いているので向かわせましょう。金が振込まれ次第任務を始めます。では、今後ともご贔屓に』
「あぁ。テメェらなら大丈夫だと思うが任せt」
――ブツン。ツーッ、ツーッ。
牙狼が話し終わる前に電話を切る。
プルプルと震えながらこめかみに血管を浮かべているが、一旦深呼吸をして自身を落ち着かせた。
「成功率と失敗率は五分五分とみたが、別にどちらに転んでも良い。せいぜい怯えとくんだなァ、藍堂咲太!!」
牙狼は高笑いをしながら奥の部屋へと戻っていく。
この先制攻撃が、後々己をの首を絞めることも知らずに……。
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――深夜、愛知県某所にて。
「…………。配信を始める」
◆お、始まったな
◆待ちくたびれたぞ!
◆貴重な情報収集の時間よ~
◆殺し屋の配信キターー!
◆刀とクナイが武器の殺し屋は初めて見るゾ
◆失敗して捕まるに5万賭けるわw
◆↑じゃあ俺は花○院の魂をッ……
◆っぱDuntubeよりこっちのが刺激あるな
◆早く殺しに行こうよ
◆テンポ良くしろ
世間一般での動画配信サイトは主にDuntubeだ。しかし、闇に生きる者などの間ではこのUndertube、略して〝Untube〟が広く一般的になっていた。
配信者はもちろん、その配信を見ている九割は犯罪者たちだ。よって、常にコメント欄は殺気立っていたり荒れたりしている。
「藍堂咲太。それが今回のターゲット」
全身黒い外套で身を包み、フードを被る小柄な人物。腰には小太刀とクナイが備え付けてあり、殺気が見て取れる者だ。
これがこの配信主であり、咲太を殺害しようとしている殺し屋である。
◆誰?
◆巷で有名なサクたんじゃん!!ww
◆この子の懸賞金今えぐいよ
◆咲太って昔から体質で有名だよな……
◆捕まえたら幻獣も付いてくる超ハッピーセッツ!
◆これ失敗したら俺も行こうかなw
◆実はまだ誰もサクたん'sハウスに侵入できていないという偉業
◆ここのリスナーにわかしかおらん……
◆触らぬ神に祟りなしって知らないんだなぁ
殺し屋は手のひらを地面につけ、数秒集中した。そして次の瞬間目にも留まらぬスピードで駆け出し、塀を乗り越え、草むらを掻き分け、到着した。
悪意を持っている者は入れないようになっているこの空間をくぐり抜けてみせたのだ。
「ここが……」
表札に〝藍堂〟と書かれている大きな一軒家。
満月の夜。月明かりに照らされる一軒家はどこか威圧感があり、塀や屋根の上から見下ろすただの猫やカラスまでもが恐ろしく見える。
殺し屋とリスナーらを嘲笑うように、ミシミシと家鳴りが響き渡った。
◆うおおおおおおお!
◆マジで到着しやがったww
◆期待値上がるな~
◆な、なんかこのい怖いんですけど……
◆殺し屋より圧がある家ってなに?w
◆マジでここ化け物ハウスだからやめとけやめとけ
◆この殺し屋ならワンチャンあるか……?
◆いけるいけるww
◆殺した金で焼肉行こーぜ!
「……任務を開始する」
フードの奥から覗く桃色の瞳には、覚悟と若干の恐怖が混じっていた。
咲太の恐ろしさを何も知らないリスナーたちは咲太をナメており、殺し屋が簡単に任務を遂行できると考えている。
殺し屋も自分の腕には自信があり、いけるだろうと意気込んでいる。
――なぜ動物たちは殺し屋をスルーしているのか?
その疑問はすぐにわかることとなる。
そう……地獄が始まろうとしていた。
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