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第19話
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ついに二人で【奇跡に寵愛されし一撃】を完成させることができた。
朝飯を食べさせてもらい、ついにここを出ることになった。
「【念話】はいつでもどこでも使えるから、困ったらいつでも連絡してくれ。多分近いうちにまた来るだろうから」
「りょ~。……これがいわゆるセ○レ?」
「ぶっ! それは違ッ……くわない、のか?」
女の子のところを転々として飯を食わせてもらうという……。肉体関係を持った女誑しのヒモニートみたいになってないか!?
そのためにはちゃんと働かないとな。面倒だけど仕方ない。
「アッシュ、私の料理もっといらない? まだ作れるよ」
「いや、もう十分【無限収納《ストレージ》】に入れたから大丈夫だよ。珍しい食材見つけたら【転送】して送るから」
「感謝」
イアの料理に惚れてしまい、僕も手伝いをしてだけれど作ってもらった。それくらい僕を狂わせた料理だ。
「イアの料理めっちゃ好きになっちゃったんだよなぁ……」
「む……私は?」
「ん? そりゃイアも好きだよ」
「……え。~~っ!!? も、もう……っ!!!」
僕が面白い反応をするかと思っていたのか、鳩が豆鉄砲を食ったような反応をイアがしていた。
今までにないほど目が大きくなったと思えば顔が真っ赤に染まり、とんがり帽子を深くかぶって顔を隠した。
「長い付き合い……というか、永遠の付き合いになりそうからな。そういうイアは? 僕のことどう思ってるんだ?」
「う……わ、私は……。私も、アッシュのこと、好き。……だいすき……」
顔は隠れて見えないが、もごもごしている口だけを見せながらそう言い放つ。
「よかった。聞きたいの聞けたし、僕はもう行くよ」
「ん、またね。すぐ会いに来てもいいからね。そんで子供作ろ」
「う、うん……。子供はまだもう少し先がいいけど……」
イアはニコッと笑い、小さく手を振った。僕も負けじと笑い、大きく手を振って見せた。
###
「それでお嬢様、今後はどんな仕事に就いたらいいと思います?」
「えぇと……どうして私のとこに来たのかしら、アッシュ。う、嬉しいけどね!?」
街に戻った僕はシエルお嬢様の下に向かい、相談に乗ってもらうことにした。
イアには泊めてもらったり料理作ってもらったりと、なんとなく貰いすぎかと思って聞くのを自然と忘れていた。
「知り合いがあまりいないし、お嬢様なら街について詳しいかと思いまして。……ところでなんですけど、それは一体?」
お嬢様の手とは思えないほど汚れており、金属を組み立てて何かを作っている様子だった。
てっきりゲームに夢中かと思ったが……。
「ゲームよ? ゲーム機から作ってるけどね」
「この短期間でゲームを作ろうという意思に成長したッ!!?」
なんかお嬢様の横にパソコンみたいな機械もあるし、アレも自作なんだろう。子供の成長って早いんだなぁ……。
「シエルお嬢様、アッシュさんがいらしてから活発的になりましてね。勉強、魔術、剣術がどれも右肩上がりなんですよ」
「そうなんですね……ところでメイドさん、旦那様や奥様はこれをご存知で?」
「はい。『娘がよくわからん発明をしようとしておる! 儂感激~!』とか言って喜んでおりました」
「子に好きなことさせる親は信頼できますね。良い親です」
「うふふ、そうですよね」
おっと、話が逸れてしまった。閑話休題。
軌道修正をし、お嬢様に相談に乗ってもらうことにした。
「私のとこで働きなさい」
「却下」
「むぅ! ……というか、なんかアッシュから他の女の匂いがすごい臭ってくるんだけど!」
「い゛っ!? あ、あぁ……それはイア、星空の魔女のとこで働いてたからですよ」
「……働いてただけでこんなにつくのかな……」
妙に鋭いなお嬢様。聖眼を持っているからか? それとも流石に深夜までイアとシてたのはまずかっただろうか。
けれどまぁバレてはいないか、まだそれを知らないので気づかれることはなかった。
「そうね……自由がいいなら冒険者になればいいんじゃない?」
「冒険者、とは?」
「依頼をこなせば報酬がもらえる。働かないとお金はもらえないけれど、仕事をするもしないもの自由だし」
「いいですねそれ、採用」
この前の試合で確か冒険者を束ねるギルドマスターとやらも倒したことだし、もしかしたら簡単になれるかもしれない。
やはりお嬢様に聞いて正解だったな。
「次は冒険者の職場体験をしてきます。ありがとうございましたお嬢様」
「え、も、もう行っちゃうの……? もう少しいればいいのに……」
「善は急げと言いますしね。まぁ、落ち着いたら一日中ゲーム三昧とかしてあげますから」
「本当!? 約束よ!!!」
ポンポンと頭を撫でながらそう言った。すると嬉しそうに「えへへ~」と鳴き声を漏らす。
「ふふっ、今度会うときはもっと良い女になっておくから覚悟しておきなさいよっ!」
「はぁ、そうですか。なんで良い女になろうと?」
「えっ!?(別れ際にしたのが実は婚姻の儀のやつだけど、満更でもなくアッシュを好きになって良い女になろうとしてるなんて言えないわ……)」
どうやら言いたくなさそうだったので、深く言及はせずに置いてこの場を立ち去った。
……しかし冒険者か。僕が住んでいた村でもたま~に見かけたが、果たしてどんな仕事をするのだろうか。
国王の娘の騎士してたら惚れられたり、魔女から子作りを要求された身だ。また何か、厄介ごとが舞い込んできそうな気がするのは果たして気のせいなのか。
朝飯を食べさせてもらい、ついにここを出ることになった。
「【念話】はいつでもどこでも使えるから、困ったらいつでも連絡してくれ。多分近いうちにまた来るだろうから」
「りょ~。……これがいわゆるセ○レ?」
「ぶっ! それは違ッ……くわない、のか?」
女の子のところを転々として飯を食わせてもらうという……。肉体関係を持った女誑しのヒモニートみたいになってないか!?
そのためにはちゃんと働かないとな。面倒だけど仕方ない。
「アッシュ、私の料理もっといらない? まだ作れるよ」
「いや、もう十分【無限収納《ストレージ》】に入れたから大丈夫だよ。珍しい食材見つけたら【転送】して送るから」
「感謝」
イアの料理に惚れてしまい、僕も手伝いをしてだけれど作ってもらった。それくらい僕を狂わせた料理だ。
「イアの料理めっちゃ好きになっちゃったんだよなぁ……」
「む……私は?」
「ん? そりゃイアも好きだよ」
「……え。~~っ!!? も、もう……っ!!!」
僕が面白い反応をするかと思っていたのか、鳩が豆鉄砲を食ったような反応をイアがしていた。
今までにないほど目が大きくなったと思えば顔が真っ赤に染まり、とんがり帽子を深くかぶって顔を隠した。
「長い付き合い……というか、永遠の付き合いになりそうからな。そういうイアは? 僕のことどう思ってるんだ?」
「う……わ、私は……。私も、アッシュのこと、好き。……だいすき……」
顔は隠れて見えないが、もごもごしている口だけを見せながらそう言い放つ。
「よかった。聞きたいの聞けたし、僕はもう行くよ」
「ん、またね。すぐ会いに来てもいいからね。そんで子供作ろ」
「う、うん……。子供はまだもう少し先がいいけど……」
イアはニコッと笑い、小さく手を振った。僕も負けじと笑い、大きく手を振って見せた。
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「それでお嬢様、今後はどんな仕事に就いたらいいと思います?」
「えぇと……どうして私のとこに来たのかしら、アッシュ。う、嬉しいけどね!?」
街に戻った僕はシエルお嬢様の下に向かい、相談に乗ってもらうことにした。
イアには泊めてもらったり料理作ってもらったりと、なんとなく貰いすぎかと思って聞くのを自然と忘れていた。
「知り合いがあまりいないし、お嬢様なら街について詳しいかと思いまして。……ところでなんですけど、それは一体?」
お嬢様の手とは思えないほど汚れており、金属を組み立てて何かを作っている様子だった。
てっきりゲームに夢中かと思ったが……。
「ゲームよ? ゲーム機から作ってるけどね」
「この短期間でゲームを作ろうという意思に成長したッ!!?」
なんかお嬢様の横にパソコンみたいな機械もあるし、アレも自作なんだろう。子供の成長って早いんだなぁ……。
「シエルお嬢様、アッシュさんがいらしてから活発的になりましてね。勉強、魔術、剣術がどれも右肩上がりなんですよ」
「そうなんですね……ところでメイドさん、旦那様や奥様はこれをご存知で?」
「はい。『娘がよくわからん発明をしようとしておる! 儂感激~!』とか言って喜んでおりました」
「子に好きなことさせる親は信頼できますね。良い親です」
「うふふ、そうですよね」
おっと、話が逸れてしまった。閑話休題。
軌道修正をし、お嬢様に相談に乗ってもらうことにした。
「私のとこで働きなさい」
「却下」
「むぅ! ……というか、なんかアッシュから他の女の匂いがすごい臭ってくるんだけど!」
「い゛っ!? あ、あぁ……それはイア、星空の魔女のとこで働いてたからですよ」
「……働いてただけでこんなにつくのかな……」
妙に鋭いなお嬢様。聖眼を持っているからか? それとも流石に深夜までイアとシてたのはまずかっただろうか。
けれどまぁバレてはいないか、まだそれを知らないので気づかれることはなかった。
「そうね……自由がいいなら冒険者になればいいんじゃない?」
「冒険者、とは?」
「依頼をこなせば報酬がもらえる。働かないとお金はもらえないけれど、仕事をするもしないもの自由だし」
「いいですねそれ、採用」
この前の試合で確か冒険者を束ねるギルドマスターとやらも倒したことだし、もしかしたら簡単になれるかもしれない。
やはりお嬢様に聞いて正解だったな。
「次は冒険者の職場体験をしてきます。ありがとうございましたお嬢様」
「え、も、もう行っちゃうの……? もう少しいればいいのに……」
「善は急げと言いますしね。まぁ、落ち着いたら一日中ゲーム三昧とかしてあげますから」
「本当!? 約束よ!!!」
ポンポンと頭を撫でながらそう言った。すると嬉しそうに「えへへ~」と鳴き声を漏らす。
「ふふっ、今度会うときはもっと良い女になっておくから覚悟しておきなさいよっ!」
「はぁ、そうですか。なんで良い女になろうと?」
「えっ!?(別れ際にしたのが実は婚姻の儀のやつだけど、満更でもなくアッシュを好きになって良い女になろうとしてるなんて言えないわ……)」
どうやら言いたくなさそうだったので、深く言及はせずに置いてこの場を立ち去った。
……しかし冒険者か。僕が住んでいた村でもたま~に見かけたが、果たしてどんな仕事をするのだろうか。
国王の娘の騎士してたら惚れられたり、魔女から子作りを要求された身だ。また何か、厄介ごとが舞い込んできそうな気がするのは果たして気のせいなのか。
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