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塩の妖魔

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「うおおおお!!

 俺は路地裏を走った。

 いましがた刀で断ったムカデの妖怪が逃げている。

 奴は人を殺す。

 今のうちにやらないと、これ以上の犠牲をだしてはならない。

「取った!!

 だが、、やつは切っても切ってもだめだ。残ったほうの体で逃げていく。

 狙うなら脳か!

 絶つ。だが、、割れた頭からまた小さなムカデが。

「っ!!」

 寸前で刀で両断した。

 だが、その汁が顔にかかる。

「くそっ・・!ばっちい!!

 妖怪はあまり知られていない生物だ。なにか毒があるかもしれない。

 自分は普通のどくは効かないが、妖怪は良く分からないのだ。

 故に、安全策を取って唯一妖怪の弱点ともいえる素材を使うことにした。

「あ!

「よう、ちょっと塩貸してくれ

「あら塩でよければいくらでもあるけど・・

 塩。それが妖怪に対抗できる唯一の素材だ。

 塩屋を営んでいる幼馴染のところに来た。

 これを頭につけておけば、害はないだろう。

 言葉に甘えて部屋で休んでいると、

「そういえば、昔よくこうしていたねー

「まあな。ところで、今回のことが無いように、フルフェイスの鉄プレートを付けようか迷うなー

 毒以前に、あまり妖怪は好きじゃないのだ。

 汁が付くというだけでおぞけが走る。

「もー、なんかロマンチックじゃないんだから!!

「そんなことよりも、フルフェイスのやつ、どこに討っているか知っているか?

「はぁ・・金物屋とか・・でも特注になるんじゃないの?すくなくとも数万円以上はするでしょ

「そうか。そんな金はない。どうするか・・

 奴の弱点は塩

 塩で作る・・?

「そうか!

 おれじしんが塩になればいい。

 俺は体の中身を塩にした。

 あら塩は対魔性が弱いが、量でカバーする。これで妖怪も近づくだけでダメージがあるはずだ。

 そして、もう一ついいアイディアを思いついた。

 回復アイテムとしてしか見ていなかった塩。

 それを武器にするアイディアが。

「ちょっとこの塊借りるぜ

「あっ、それは・・

 塩の透明な塊を打って刀の代わりにする。

 透明な刃。よし、これなら、

「ちょっと試してくるわ

 そう言って、竹やぶの中にいる適当な妖怪を見つけ、切る。

 すると、相手は一瞬で爆散した。

「これなら不死性が高い妖怪も簡単に倒せるかもしれないな・・!!

 もう夕暮れなので町に戻る。すると幼馴染が。

「あの塩の塊・・20万はするやつだよ!

「え?

 しまった。自分は食べなくてもいいから特に稼ごうとは思っていなかったのだが・・

 妖怪の依頼をこなさないといけないようだった。

 普通に倒していきたかったのだが・・


 そして、数年後。


 ある邪悪な妖怪がいる。

「ん?

 いや、いた

 過去形なのは、いましがた死んだからだ。

「なっ・・!!

 背後から来た人影に、背中から刃で刺されている。

 刃・・?いやそれにしては形が歪だった。

 いや、それは結晶。

 塩の結晶が一瞬で形成されてその妖怪を貫いていた。

 さらに結晶はおおきくなっていき、そして・・爆散。

「少し大きめの妖怪だったが・・不意打ちでなんとか倒せたか。

 そう、彼は塩の能力者・・ではない。

 無の能力者。

 いや、無の妖怪。

 彼の体の中は空っぽであり、その中にいろいろなものを入れて置ける。

 塩を入れることで、妖怪に対して攻撃性耐性を手に入れることができた。

 だが、彼の本質は塩を操ることではない。あらゆる者になれることだった。

 例えば、炎を取り込むことにより、炎となって敵を焼くことも可能。

 
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