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過去へ

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 未来を言い当てることはできるのだろうか。

 ラプラスの悪魔というテーゼがある。

 この世の分子の動きを全てシミュレーションすれば、未来や過去のことが全てわかるという仮説だ。

 この仮説は置いておくとして、実際、未来は確定されていないというのが、一つの答えに近い回答だろう。

 図を思い描いてほしい。行く先々で分岐する線。ある地点である重大な選択を取ると、もう片方を選んだ世界と分岐して先に進んでいく。

 こうして、未来は作られていくと考える。

 だが、もし、違う分岐線に行きたければどうだろうか。

 線を過去へさかのぼらなければならない。

 いや、それはできるのだろうか?

 研究者たちは、過去へさかのぼる方法を見つけようとした。

 そして、見つけられなかった。時間に逆らおうとして、あらゆる実験を行い、ことごとく失敗した。

 だが、違うんだよなぁ。

 遡ろうとするからダメなんだ。

 生半可に作ろうとするからダメなのだ。

 答えは、『破壊』だ。

 この、荒廃した、詰みゲーと化した世界。

 一部の人間が権力を握り、一般人を家畜としていたブル世界。

 蛮族が世界に溢れ、社会の形成と破壊を繰り返す世界。

 知能が退化し、まるで猿のように進化してしまった世界。

 このデッドエンドの世界を変えるために、過去に遡ろうとするからダメなんだ。

『壊す』こと。

 時間線を破壊して、再び世界が現れるのを待つこと。

 これが、最も簡単にできる、過去にさかのぼる方法だ。

 一人残らず観測者を討伐するべし。

 生命を滅亡させなくては過去へと戻れない。
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