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気まずい
しおりを挟む気まずい…出ていくか?
「りと」
「先生」
「大丈夫か。具合悪いんだろ、少し寝てろ」
兄貴は泉川の肩を抱いて奥に連れて行った。
すぐ戻ってくると、ため息をついて俺を見た。
なんだ?
「りとは寝かせた。お前も好きなだけいろ。カウンセリングルームみたいになってるからな、ここ。生徒の駆け込み寺って広まってるらしいな」
ふーん、知ってたけど。
「泉川のこと、兄貴、名前で呼ぶんだ」
「…空耳だろ」
「嘘つけ。何回も言ってたって」
「あー。りとは俺の恋人…引くだろ。教師が一人の生徒に振り回されてんだ…あいつのことになると俺は先生でいられなくなる…お前、この前悩んでただろ?年下の子らしいな。俺も同じってのはこういうことだ」
いや、納得したんだよ。
あいつ、諦め悪そうだったのに、追いかけても来ないし、誰かが拾ってやったんだって思ってたから。兄貴だったんだ。
「泉川のこと頼むわ。ずっと気になってたんだ、俺が振ったから泣いてたんじゃないかって。あいつを幸せにしてくれよ」
「…お前…大きくなったなぁ」
頭撫でられて子供扱いだし、バカにされてると分かり腹立たしくなった。
「気持ち悪いことすんな!泉川かまってやれよ。俺、やっぱ出てくわ」
なにか言いたそうにしていたけど、構わず廊下に出る。
くっそー。どいつもこいつもふやふやしやがって。俺のは小学生で同じ学校じゃないんだぞ。
…屋上いくか。
風が身体を勢いよく包んだ。
「うっ…さむ…しみるぅ」
もう、会いてぇな…。
他人の色恋見てたら恋しくなるよな。
つーか俺の周り、ゲイとカップルばっかか。
ためには変わったことないかな。
「ねぇ、ちょっと。風邪引くよ」
声をかけられて慌てて周りを見る。
フェンスに寄りかかって以下にもチャラそうな男が話しかけてきた。
「いや、行くとこないんで…」
「授業でたら」
「気分じゃないんで」
「サボりか」
「あなたもでしょ…」
「たしかに。…なぁ、お前名前は」
なんだろ、めっちゃ話しかけてくる。
全然見たことも無い…。何年生?
「…獅子雄真琴」
「獅子雄さ、お前、ガキと付き合ってんの?」
「は!?」
え?なんで知ってんの、どこで見られた?
やばいだろ、どうしたらいいんだ。
「おい、落ち着けって。変な話じゃねぇって」
「どういう意味だよ」
「見たんだよ。手繋いで歩いてるとこ。俺は直感したね、お仲間だって。年下好きになると大変でしょ。俺も中学生が恋人だから」
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