隠密少女は気づかれたいっ!

ぽん

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69話 ネットの奴ら

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「私のでいいから早速聞いてみようよ――って思ったけど、なんて聞いたらいいと思う? 『呪いについて詳しい方いませんか?』とかでいいかな?」

「私が考えたら前みたいに荒れそうで嫌だからノーコメントにしておくよ……」

「なら私もことねさんと同じで……」

 そう言ってことりさんは涼っちから目を逸らした。
 私の場合は隠密があるから逸らす必要が無い。

「2人とも薄情すぎない?」

「信頼されてるってことだよ……たぶん」

「たぶんって信頼されてない可能性があるってことだよね? なんか腹立つけどまあいいや。これで聞いてみよーっと」


 320 名無しの冒険者
 呪いについて詳しい方がいませんか? いたらDMください!


「これでOKだよね?」

「それでおっけーだよ。あとは待つだけ!」

 たぶん1時間くらい待てば結構反応があると思う。

「なら私、その間にお風呂入ってくるよ!」

「私もほかりんと一緒に入るー」

「却下!」

「即答……少しくらい悩んでくれてもいいじゃん!」

「悩む時間がもったいないよ」

 私の家の風呂は2人で入れるほど広くない。
 広くても涼っちと2人で入るのは嫌だ。
 だって何されるか分からないもん!
 恐怖だよ、恐怖!

「くそー、こうなったら強行突破するしかないか……」

「ことりさん、私が出るまで涼っち取り押さえてて」

 私を巻き込まないでくださいオーラを放ちまくっていることりさんを強制的に巻き込む。

「……………………………分かりました」

 なんかすごい間が空いたけど、ちゃんと涼っちを取り押さえてら良しとしよう。

「ことりん、分かる! そう、!」

 ことりさんに取り押さえられている涼っちがしょうもないことを言ってるけど、私は無視して風呂に向かった。





 ★





「スッキリしたねー!」

「もう二度と一緒に入らないから……」

「そんなこと言わないでー」

 お風呂って疲れが取れるはずだよね?
 なんで私さっきよりも疲れてるんだろう……
 まあ理由は分かってるんだけどね。
 120%涼っちのせい。

「ことりんお風呂上がったよー!」

「なら私入ってきますね!」

「どうして涼っち離しちゃったの!! そのせいで私……」

「私お風呂入ってきますね…………」

 この薄情者ぉ!

「ほかりんさっきからどうしたの? 気分でも悪い?」

「うん、ものすごく気分が悪い。涼っちのせいで……」

「もしかしてさっき言ったことまだ気にしてるの? 私よりおっぱ――ぐへっ!?」

 私は禁句を言おうとした涼っちの脇腹に一撃を入れる。

「影を纏ってガードしたのにめちゃくちゃ痛い…………」

「次言ったら、どうなるか分かってるよね?」

「…………はい、もう言いません琴音様!」

「ならアイス持ってきて。早く!」

 涼っちは全速力で冷蔵庫からアイスを取り出して私の前に持ってきた。

「どうぞ…………」

「ありがと涼っち! もうすることないからことりさんが出るまで大人しく待っていようねー!」





 ★





「お風呂上がりま…………した……」

「あ、ことりさん! アイスあげるよ!」

「ありがとうございます――わぁっ、このアイスおいしいですね!」

 土下座している涼っちを二度見したことりさんは何事もなかったかのようにアイスを食べ始めた。
 昔のことりさんなら絶対にスルーしてなかったと思う。

「ことりさんもお風呂出たし、そろそろ掲示板見ようよー」

「はい! どうぞ、こちらになります!」

 涼っちは私が言ったとほぼ同時にスマホを差し出してきた。


 320 名無しの冒険者
 呪いについて詳しい方がいませんか? いたらDMください!


 321 名無しの冒険者
 固有スキルとか羨ましくもないんともないわー


 322 名無しの冒険者
 なんか呪いの話してるやついるんだけど


 323 俺TUEEEEの冒険者
 俺の固有スキルガチ最強だから。Sランクダンジョン余裕だから


 324 名無しの冒険者
 >>523
 スライムダンジョンと間違えてるよ
 もうスライムダンジョンないけど


 325 名無しの冒険者
 >>320
 呪われてんなら冒険者とかしないで大人しく家にいろ
 ダンジョンに来てうつされる迷惑


 326 名無しの冒険者
 >>325
 それな
 呪い持ちとか邪魔でしかない


 327 名無しの冒険者
 >>320
 呪いあってダンジョンのスレ来るとか勇者かよww
 叩かれるに決まってんじゃんw


 328 名無しの冒険者
 >>320
 大人しく呪われて死んどけ


 329 名無しの冒険者
 みんなあたり強くて草
 死んどけとまでは言わないけどダンジョンには来ないでほしい


「何これ? 私の見間違いだよね?」

「やっぱりこうなるよね……」

 ここまで言われると文句を言う気にすらならない。

「あ、DM1つ届いてますよ!」

「どうせ死ねとかそんなことだと思うよ。私の時はそんな感じだったし」

「とりあえず見てみるねー」

 涼っちはそう言ってDMを開いた。
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