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魔法
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「くっそ!なんなんだいったい!?」
嫌な想像を引きずりながらも窓ガラスに椅子を思いっきりたたきつけた。
「壊れない…!」
びくともしなかった。何故か理科室から出れなくなっている。
「ッッ!」
化け物はこちらに歩いてくる。ケタケタ何か言いながらゆったりと。おそらくやつが理科室から出られないようにしているのだろう。
何を考えてかわからない、ひょっとしたらこの状況を楽しんでいるのかもしれない。
距離をとることしかできず、ジリジリと壁隅に追いやられていた。
「ケケケケケ、ヘヘへ」
「(このままだと死ぬ…間違いなく殺される…!)」
手を銃のような形にして化け物に向けた
「(【黒い雷】…!これでどうにかしないと!)」
「!雷が出ない!?」
この力、加減して使うことに慣れてしまっていた。どうすれば放出できるのか、その感覚を忘れてしまっていた。
「!」
俺は思いっきり横にとんだ。化け物が手を振り下ろしたのだ。
振り下ろされた箇所はクレーターのようにへこんでしまっていた。
あれに当たったらどうなるかなど、言うまでもないことだろう。
「くっそ死にたくない!死にたくない!死にたくない!
俺はただ生きていたいんだ!」
生きている目的何てわからないけど、死にたくない、今はそれだけを思っていた。
「(俺はずっと【黒い雷】は親指と人差し指の間でしか出していない。放出できないんじゃ近づくしかない…)」
この化け物を倒さないとおそらく出ることはできない、倒すためにはこの小さな望みにかけ近づくしかない。
「(…足が動かない!近づけない!)」
こんなちっぽけな雷に俺の生死を賭けることなどできない。化け物の攻撃を食らってしまう範囲に近づいてしまえば死ぬことになるのだ。そうそう近づけない。
やはり【黒い雷】を放出するしかない。こんな化け物を倒すはこの力に頼るしかない。
「加減を忘れるんだ…昔やりすぎてしまったときのように、イメージだ...イメージするんだ…」
化け物が近づいてきている、後ろに下がれるだけ下がる
「手のひらに力をためるイメージ…あいつを倒せるだけの力を放つんだ…!」
化け物が近づいてくる、もう下がる場所がなくなった。
「(怖い、怖い...頼む、出てくれ!)」
化け物が振り上げると同時に【黒い雷】を出そうとした
突如闇が空中を舞った。
その闇は目にもとまらぬ速さで化け物の腕を貫き、壁まで到達した。
化け物の腕が吹きとんだ。いや【黒い雷】が腕を焼き焦がしたのだ。後ろの壁も焼きただれている。
やはりこの力の威力はこの化け物を殺しうる。
「出た…出たぞ、もう一度だ!...あ?…」
体が重い、いきなり疲れが押し寄せてきた。この力を使った反動だろうか。
それよりもまだ化け物は生きている。顔が怒りでゆがんでいる。
もう一度撃たなくては…体が動かない。
もう片方の手を振りかぶった。
逃げなくては…体が動かない。
「(あ、死んだ)」
恐怖から逃げるように俺は目をつぶった。
「(何もない...人生だったな...)」
そのまま意識は深く闇の中に落ちていった。
・
・
・
「グルゥゥ…ガァ…」
「そんなに殺気立つなよ、それにしても間に合ってよかった」
理科室の窓が割れている。理科室内は赤く、熱いもので充満している。
「にしてもこのクラスの腕を吹き飛ばすなんてなぁ…もうそんな魔法が使えるのか」
「ガァァァァァァァッァ!!!」
化け物が襲い掛かる。
「【炎庭(えんてい)】」
一瞬で化け物の体は炎に包まれた。それは渦を巻くようにして化け物の体を巻き付ける。
「ゲア…ア…アァァァ..ァ」
化け物は消えた、その場から炎も消えた。いくつかの物が壊れた理科室だけがそこに残った。
「さて、移動して話を聞こうかな」
嫌な想像を引きずりながらも窓ガラスに椅子を思いっきりたたきつけた。
「壊れない…!」
びくともしなかった。何故か理科室から出れなくなっている。
「ッッ!」
化け物はこちらに歩いてくる。ケタケタ何か言いながらゆったりと。おそらくやつが理科室から出られないようにしているのだろう。
何を考えてかわからない、ひょっとしたらこの状況を楽しんでいるのかもしれない。
距離をとることしかできず、ジリジリと壁隅に追いやられていた。
「ケケケケケ、ヘヘへ」
「(このままだと死ぬ…間違いなく殺される…!)」
手を銃のような形にして化け物に向けた
「(【黒い雷】…!これでどうにかしないと!)」
「!雷が出ない!?」
この力、加減して使うことに慣れてしまっていた。どうすれば放出できるのか、その感覚を忘れてしまっていた。
「!」
俺は思いっきり横にとんだ。化け物が手を振り下ろしたのだ。
振り下ろされた箇所はクレーターのようにへこんでしまっていた。
あれに当たったらどうなるかなど、言うまでもないことだろう。
「くっそ死にたくない!死にたくない!死にたくない!
俺はただ生きていたいんだ!」
生きている目的何てわからないけど、死にたくない、今はそれだけを思っていた。
「(俺はずっと【黒い雷】は親指と人差し指の間でしか出していない。放出できないんじゃ近づくしかない…)」
この化け物を倒さないとおそらく出ることはできない、倒すためにはこの小さな望みにかけ近づくしかない。
「(…足が動かない!近づけない!)」
こんなちっぽけな雷に俺の生死を賭けることなどできない。化け物の攻撃を食らってしまう範囲に近づいてしまえば死ぬことになるのだ。そうそう近づけない。
やはり【黒い雷】を放出するしかない。こんな化け物を倒すはこの力に頼るしかない。
「加減を忘れるんだ…昔やりすぎてしまったときのように、イメージだ...イメージするんだ…」
化け物が近づいてきている、後ろに下がれるだけ下がる
「手のひらに力をためるイメージ…あいつを倒せるだけの力を放つんだ…!」
化け物が近づいてくる、もう下がる場所がなくなった。
「(怖い、怖い...頼む、出てくれ!)」
化け物が振り上げると同時に【黒い雷】を出そうとした
突如闇が空中を舞った。
その闇は目にもとまらぬ速さで化け物の腕を貫き、壁まで到達した。
化け物の腕が吹きとんだ。いや【黒い雷】が腕を焼き焦がしたのだ。後ろの壁も焼きただれている。
やはりこの力の威力はこの化け物を殺しうる。
「出た…出たぞ、もう一度だ!...あ?…」
体が重い、いきなり疲れが押し寄せてきた。この力を使った反動だろうか。
それよりもまだ化け物は生きている。顔が怒りでゆがんでいる。
もう一度撃たなくては…体が動かない。
もう片方の手を振りかぶった。
逃げなくては…体が動かない。
「(あ、死んだ)」
恐怖から逃げるように俺は目をつぶった。
「(何もない...人生だったな...)」
そのまま意識は深く闇の中に落ちていった。
・
・
・
「グルゥゥ…ガァ…」
「そんなに殺気立つなよ、それにしても間に合ってよかった」
理科室の窓が割れている。理科室内は赤く、熱いもので充満している。
「にしてもこのクラスの腕を吹き飛ばすなんてなぁ…もうそんな魔法が使えるのか」
「ガァァァァァァァッァ!!!」
化け物が襲い掛かる。
「【炎庭(えんてい)】」
一瞬で化け物の体は炎に包まれた。それは渦を巻くようにして化け物の体を巻き付ける。
「ゲア…ア…アァァァ..ァ」
化け物は消えた、その場から炎も消えた。いくつかの物が壊れた理科室だけがそこに残った。
「さて、移動して話を聞こうかな」
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