ビジネス・オブ・異世界

松村レイ

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第一章 ラウス湖ビジネス編

第六話 スズキガエル食堂始動!

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 翌日も早く起きて仕込みを始める。

 ミリには最早手慣れたラウスガエルの卵の採取を頼んだ。

 広大な湖のため、卵を採取することは容易かった。

 昨日に引き続き、大量の卵を採取することができた。

 卵の体積を膨張させるために、採取した卵を沸騰した鍋にぶっ込む。

 開店は11時。

 あっという間に開店時間になった。

「来ないな、客」

「やっぱりこの店名がおかしいんじゃないの?スズキガエルってやっぱりおかしいって」

「それぐらいのインパクトが重要なのよ!」

 オネエ口調になってしまうほど焦る俺。

「すいません」

「あ?」

 二人揃って言い合いの最中、ふとした声に振り向く。

「ラウスガエルの串焼き二つ」

「あ、500ゼニーです」

 ミリが呆気にとられた表情で呟く。

「いやー、ラウスガエルって意外と美味いんだよねー。漁師しか知らないと思ってたけど、店ができるとはねー」

 気づけばミリはお釣りを渡し、一連の流れは終了していた。

「よっしゃー、取り敢えず利益出た」

「やっぱり昨日貼った広告が効いたのかも」

「昨日は場所を誰も知らなかったし、開店したことに誰も気づいていなかったからな」
 
 その後も客は少しずつ来た。

 昼を回ると、湖からボートで一斉に漁師達が港へと帰還してくる。

 気がつくと、移動車兼出店の前には何人か長蛇とは言わないまでのなかなかの列ができていた。

 車の中は熱気でかなり暑くなっていたが、その前に客が来たという喜びからそれさえも気にならなかった。

 クタクタになって倒れそうになった時には、夕方の16時。

「やったな、ミリ」

「ミリちゃんが考えたメニューなんだから当然じゃん!」
 
 この日の利益8万ゼニー。

 当初の開店時の目標5万ゼニーを優に越す成績。

 この日は着実に今後への道標となる利益となった。

「一番売れたメニューは?」

「唐揚げ」

「その次は?」

「タピオカ」

「うーむ、最終的な目標はやっぱり観光地でも大人気のタピオカ販売なんだよ。ここでタピオカを大人気メニューにする策はあるか?」

「でも若者が少ないじゃん、漁師って結構おじさんが多いから‥」

「そこなんだよなー、この調子で続けて、店名を覚えてもらえるようになったら、若者も来れるような策を練らなければ‥」

 現在考えたメニューは
唐揚げ、串焼き、卵スープ、タピオカ、生卵等。

 生卵とはそのままということ。

 意外にこれも人気。

 この日は前日よりも大きく進歩はあったものの、肝心のタピオカが売れていないため、今後への課題が残る1日となった。

 『現在プラス36万ゼニー』
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