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一章 アナザ・ガーデン
第6話 ヒメ
しおりを挟む「ねぇ、そこの。お兄ちゃんとねぇちゃん。
こっち来てよね。ヒメはあまり動きたくないから」
床に寝そべる女子小学生は重い口を開いた。
「か…い」
アスカが何かを呟いた。
「ん、どうした?アスカ?」
「可愛い!なんでこんな小さい子がこんなとこいるのよ」
アスカは溢れる母性を全開にして女子小学生の元へと一目散に駆けていった。
「はなさんか、このロリjk!私は今ご立腹なのよね。あんたの相手をしてる暇なんてないのよね!」
そう言ってヒメは元の席に戻った。
「リーダー、早速お願いします」
「じゃあ、まずロリjk。私の元に来るのね」
「はーい」
こいつ、どんだけ呑気なんだ。
さっき人が死んでるのを見て、あんなに怯えて居たのにもう立ち直りやがった。
馬鹿というか素直というか。
「能力“千里眼”!」
ヒメはアスカの頭の上に手を置き、目を閉じていた。
目を閉じていたが頭の中で何かを見ているような…
「あなたの能力は…」
「能力?私になんか能力あるの?」
あ、やっぱり馬鹿だ。
「これはAかね?“覚醒”って言ったところかな?なかなかいい能力を持っているじゃん。将来有望株なのね」
「A?覚醒?なんのことなの?」
「A級能力“覚醒”という事だ。能力の細やかなところは戦闘を通して確かめる事だ。そこまではリーダーも見れんからな」
すかさずウラベがフォローへ回る。
「ほんとは見えるけど教えないだけなんだからね」
ヒメはそっぽを向いて頬を膨らませた。
「“覚醒”か?なんかわかんないけど面白そう。
しかもAってなんかいい響き。私Cしか見た事ないから」
それは成績表だろうな、その場の全員が納得した。
「次、そこのお兄ちゃん」
「あぁ」
「頭出して」
言われた通り女子小学生の小さな手の近くに頭を持っていく。
「能力“千里眼”!」
再度、ヒメは目を閉じた。
「うーん、なんかな…」
「どうしたんですか、リーダー」
ウラベが心配そうな目をしてこちらを覗く。
「なんかこのお兄ちゃんの頭ジャングル。
何かがグルグルしててよく見えない」
グルグル?どんな表現だよ。
「お兄ちゃん、相当何かあるね?」
「まぁ、ないと言ったな嘘になるけど…」
こいつどこまで見えるんだ?
不信感が募るばかりだ。
「で…」
「え?」
「D、変化?」
「D級能力“変化”という事ですか?」
ウラベが不審げにこちらを見て来る。
こいつリーダーとなんかあるのか?
「うーん、なんか突然誰かの声がしたんだよね。私もどこかで聞いたことあるだけど、思い出せない」
「D級…」
「ランク最下位だな。まぁ、落ち込むな。能力は使い方次第で大きく変わる。ちなみにリーダーの能力はA級だ」
「ふふん、私はA♪A♪」
隣で上機嫌のアスカにこれまでにない怒りを覚えたことはこの先ずっと忘れないだろう。
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