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第2章 クエスト編
第16話 千本桜復活
しおりを挟む「もう開けていい?」
「まーだ。あともうちょっとで着くから」
カタナはハルを目隠ししてとある場所へ向かった。
というか、もうわかっているんだけども。
「はい、ジャジャーン。完成したよ、ハルのお店!」
「まぁ、分かってたけど、改めて見ると嬉しいもんだな。前と同じような感じだな、外装は」
少し上機嫌で店内へ入る。
「内装もいつも通りだな。
けど、床のギトギトがなくなってるのが残念だけど、またここから、一から作っていくのも心機一転って感じで悪くないな」
「ふふん、それは私とフェニックスちゃんの功績よ。これからはカタナ様と呼びなさいよ」
カタナの上から目線で話す態度に頭に血が上ったが、何とか耐えることができた。
「あれ、ここまた開店したんですか?」
ふと、店の入り口を見ると前の店での常連の姿。
「いや、開店というか、リニューアルというか、まだ閉店中というかなんというか…」
「はっきりしなさいよ、店長」
カタナの空手チョップが脳天を直撃した。
「いやでも、あかさたもいないし。
あいつがいなきゃできない気がするんだよなー」
「いいじゃないか?やっても」
さらに常連の後ろに大きな影。
ベルが口を挟んできた。
「といっても、ベル。俺一人じゃ幾ら何でもできないよ」
すかさず反論。
「私たちが手伝えばなんとかなるんじゃない?」
「そうだ、ハル。金も稼がなきゃだし」
「うーん、じゃあやるぅ?」
こうしてあかさたの復帰を待つことなく店は新たなスタートラインに立った。
俺には遠くでえんえんと泣くあかさたの声が聞こえてきそうで少し申し訳ない気持ちもあったが、あいつが帰ってきた時にさらに店を大きくするのも悪くない、という口実を自分の頭に叩き込んだ。
「そう言えばここ魔王が来たんですって?」
「え、なんでそんなことを?」
冷や汗が止まらない。
「なんか目撃者したらしいっすよ?この前の魔王襲撃で魔王がこの店に入っていくのを見たっていう人が多数いて、だから来たんですよ」
一応、ベルはバレないように少し衣装を変えているが、まぁ、バレなければいいか。
「そうなんですよ、あの魔王が来たんですよ。やぁ、驚きましたねー。なんか雑誌かなんかを読んで来たらしいっすよ?魔王が雑誌なんか読むなんて笑っちゃいますよね?まあ結構評判良かったですよ、あの人には」
「そうなんですか!じゃあ、今度また来ます!」
常連はそう言い残して帰っていった。
「おい、ハル」
やばい、流石に言いすぎたか。
俺はベルが魔王ということを忘れていたのかもしれない。
「やるぞ」
「え?」
「ラーメン屋やるぞ!俺の夢がまた一つ叶うのだー!」
「えーー、そうだったのー!?」
こうしてラーメン屋千本桜リニューアル&開店スタート。
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