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人肌恋しくなる冬模様
二人に感謝
しおりを挟む旦那様に文句をつけたのですが……。
「私なりに見えにくいところを選んだつもりだけど」
と返されました。
いや、そういう問題じゃなくてですね。見つけられたら恥ずかしいんですよ!! 旦那様には分からない感覚の模様。何せ「じゃあ、私にもつけてみる?」と笑顔で言われましたとも。
そちらでも私が揶揄われそうなので遠慮申し上げましたが。
「つけてくれて構わないのに」
残念そうに言ってもつけませんよ!
晩御飯の時に話す内容ではないのは重々承知です。ですが! 今! 言わないと言えないのが私です。
「旦那様、お願いです。もうすぐ卒業式ですから遠慮してください」
「……そういうことなら仕方ない」
どうしてそうも不服そうなんですか!
「卒業式の時、東輝たちが来るって張り切ってたな」
「初めて聞いたんですけど」
「本当は両親と一緒にサプライズで卒業式に参列するって言ってたけど、止めておいた」
「ありがとうございます」
あ、養子の件、担任や学校に伝えてませんでした。
「私が伝えておいたよ」
いつの間に!? と思ったら、養子になってすぐと言われました。結婚後、保護者連絡先は旦那様になっておりましたが、東輝さんたちが「お前は保護者じゃないだろう」と言ったそうで。それもあって学校先に伝え、もう一か所の連絡先として登録したそうな。
「……初耳です」
「私も伝え忘れた」
私も結構報告せずに動きましたので旦那様のことを言えませんが、報告が欲しかったです。
「今日もこっちで休んでね」
先ほどよりも五割以上増し増しのキラキラとした笑顔でそんなことを言われました。
旦那様が今後獣にならないためには、できうる限り毎晩のお相手が望ましいんだそうです。
生理の時は無理ですけどね!
でも、どっちにしても体力が続きそうにないです。
旦那様の馬鹿みたいな体力、少し分けてもらえないでしょうか。私より絶対遅く寝ているのに、早く起きてますし。
旦那様の腕枕で寝るのも悪くないな、とか思うようになって。
私は今更旦那様と離れられるのか、とふと思いました。
千夏と花音は親友としてこの先も連絡を取り合いながら、離れても付き合いがあるというのは、想像がつくのです。
実際、就職を進路先にしたときはそのつもりでしたし。
旦那様と結婚したあたりは、旦那様がいなくて当たり前で。今は一緒にいるのが当たり前で。
それどころか朝起きた時、旦那様のご尊顔が目の前にあるとほっとするようになっていて。
もし、一年限定なのかずっとなのか分かりませんが、離れて暮らすのが当たり前になった時、それが無いのを想像しようとしたのですが、それが思いつかなくなってました。
「……麻帆佳、どうしたの?」
「いえ、色々と考え事を」
「あまり悩みすぎないうちに教えて欲しい」
「そうですね」
だって今後に関わることですから、言わないという選択肢はないです。さっさと決めないといけないですけど。
と、悩んだまま二人のおさんどんに行けば。
当然二人にはばれておりまして。
「たまに我侭になってもいいと思うけど」
と千夏がのたまいます。花音も頷いているあたり、同じことを思っているのでしょうが。
「私、十分我侭言ってる」
「どこが!? あんたが我侭なら、世の中の殆どの人が自分中心で世界が回っとるわ!」
と花音に怒られました。
いや、こうやって進路で悩んで未だ答え出していないところとか、我侭だと思うんですけど。
「あんたの場合、事情が事情だ」
二人揃って同じこと言わないでくださいな。
「どこに行こうが、親友なのは変わらんだろ。麻帆佳が海外に行くなら、あたしらはいい刺激になるんだよ」
二人とも、ありがとうございます。
応援ありがとうございます!
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