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天高く陰謀巡る秋

怒らせてはいけない人がもう一人増えました

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 毎度のことながら、身体が重いです。思うように動かないという感覚には、慣れれそうもありません。
「……」
 しかも声までまともに出ないし! 今何時なのか時計を見ようにも指一本動かすのすら辛くて、無理なようです。
 ……ということでメールも無理。旦那様が戻ってくるまでこのままなのでしょうか。

 というか、このままでいたらまた襲われそうな感じがするのですよ。

「麻帆佳ぁぁぁ!! 生きてたぁぁ」
 煩いです。頭に響きます。……って、千夏?
「兄貴が麻帆佳の旦那さん、つやっつやだったって聞いて嫌な予感がしたんだよぉぉぉ。メールにも反応しないし、電話も出ないし。明日さん夫婦には感謝だ」
 ……どうやってこの部屋に入ったんでしょか。
「えっとね、夫婦であんたの旦那さん締め上げて、鍵ぶん捕ってた。現在事務所で説教中。あたしらは麻帆佳の無事を確認しに来た」
「あ……と」
 ありがとうすら言えないほど、声が枯れてるってどういうことでしょうかねぇ、本当に。

 そんなことを考えていたら恵美香さんがお盆をもって入ってきました。
「お粥なら食べられると思うの」
 千夏と花音が私の身体を起こして、恵美香さんが匙を口もとに持ってきてくれるという、ある意味看護状態ですよ。
「……男はどうしてこうも獣なのかしらね」
 恵美香さんが呟きましたが、あえて聞かなかったことにしていいですか?

 暴走原因の一端に自分の発言があったかも、と千夏は気にしておりますが、元はと言えば旦那様の責任だと思うのですよ。
 やっと声が出るようになったので、そんなことを言えば、恵美香さんはうんうんと頷きます。
「麻帆佳ちゃんの言うとおりよ。自分の理性も制御できないなら、切り取ってしまった方がいいのよ」
 お上品な外見に似合わず、物凄く恐ろしいことを言ってのけた恵美香さん。同じことをロードリックさんと東輝さんにも言ったことがあるそうです。
「差別と区別は違うのよ。男女差で色々と違いがあって当たり前です」
 ……そうもはっきり仰っていただけると嬉しいです。
「それも分からない人間など話になりませんのよ」
 と、続いた言葉に何も言えなくなってしまいました。どうやら恵美香さんも色々と苦労なさったようです。

 そこまで言うと、しまったという顔をなさっていたのですが、おおむね同意なので思わず頷きましたとも。気づけば千夏と花音まで頷いています。
麻帆佳あんた見てれば同意できるって。ただでさえ麻帆佳の体力は人並み以下なんだからさ」
 という花音の言葉に、恵美香さんは苦笑なさってます。
 アルバイト始めてから、だいぶ体力ついたんですけどね。


 で、少し動けるようになってから時間をきけば、既に夕方とのこと。確かにこんな生活はよくないです。
「麻帆佳、そういう問題違う」
「千夏の言うとおりだよ。とりあえず今日はあたしたちお泊りで、旦那さんは全員からの説教だってさ」
 あ、久しぶりの女子会ですね! 千夏のところにお世話になってた頃は毎日が女子会でしたけど、ご無沙汰でしたし。
「やっぱり女の子はいいわぁ。あんなむさくるしい息子おとこよりも、娘が欲しかったわぁ」
 先ほどまでの空気を感じさせない口調で恵美香さんがおっしゃいます。
「この調子だと伽耶ちゃんもアメリカに来てくれそうだし、三人でのお買い物とか、同年代の人たちのとのお買い物とかできそうだわ」
 小母さんたちもきっちり人数にいれる恵美香さんが凄すぎです。
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