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天高く陰謀巡る秋
もたらされた事実は重すぎます
しおりを挟む「なっ、何のために色々根回しして、結婚の用意を……」
お義母様? 私が視線をやれば、はっとした顔で口を押さえておりました。
つまり、旦那様の結婚自体が枷ということですか? ということは、私が枷になるんですか?
「麻帆佳ちゃん、龍雅君からどんな話聞いてるの?」
「えっと、結婚を望んだのは旦那様だって……」
「そう、それで正解。龍雅君の不満が結構高くなっててね。ちょうどいい機会だったから、了承したってところかしら」
明日さんの言葉に、何も言えなくなりました。だって、お義母様もお義父様も皆さん、私のこと最初はともかく、今は歓迎してくれているものだと思っていたのです。
「ちょっ、誤解招くからやめてくれないかな、その発言」
「あら、事実でしょう。あの御大がお気に入りなのは、三つ子の孫。その中でも真ん中が大のお気に入り。多少の我侭なら聞くくらいに、ね」
それすらも否定しない、義実家の面々。あ、そういうことですか。なんだかすとんと納得しました。
「龍雅君はね、ずっと我慢してたのよ。私が龍雅君を庇ったのがあの御大は許せなかったらしくてね。あっという間にり・こ・ん。その時誰も止めなかった、それに対する言い訳は?」
「出来ないね。そのあとに続く一連の流れも」
お義兄様もあっさりと。
「じゃあ、龍雅君は解放できるでしょう? なんだったら、ここから龍雅君を追い出してもいいのよ」
「それは困るな。ここにいてもらう方がいい。龍雅が他の場所行ったら、あれがどう出てくるか分からないし」
「あら、言っちゃ悪いけど、御大の命令で麻帆佳ちゃんを連れ出すってこともあり得るんじゃないの?」
「さすがに俺が止めます。それだけは信じて」
「むーりー。買い物出ただけで、五回ほど誘拐未遂にあいましたし。その間、護衛の方々は動きませんでしたし」
うふふふ。そんな声まで聞こえてきますよ。
どこへ行っても同じと言わんばかりの明日さん。お義兄様は頭を抱えておりますとも。
「これで分かったでしょう? 龍雅君との間には深い溝が出来てるってことくらい」
「分かったよ。……やっと頼ってくれるようになったのに」
お義兄様が、お二人を促しました。
「帰ろう。龍雅に帰ってきてほしかったら、御大くらい何とかしないと。
麻帆佳ちゃん、君にこんなことを頼むのはお門違いだって分かってるけど、龍雅をよろしく」
ぺこりと頭を下げてそのまま出ていきました。
「麻帆佳ちゃん、気にすることないわ。罪悪感に苛まれることなんてこれっぽっちもないからね」
「……はい」
おそらく明日さんは色々知っているのでしょう。だからそんな言葉が出てきたのだと思います。
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次回は龍雅さんのターン(`・ω・´)
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